前回の記事は,特別支援教育12のあること 前編として,
6つの項目について書かせていただきました。
今回は,その後編になります。
特別支援教育12のあること 前編 は,こちら。
その言動の背景をみよう!
「今日もあの子は,勝手なことをした」
「図工になったら,いっつも友だちをたたく」
など,放課後の職員室の空気は,悪くなっていないでしょうか。
子どものとる言動には,必ず理由がある
https://www.manabinoba.com/tsurezure/19528.html
もしかすると,教師が思っている優先順位が違うのかもしれませんし,
教師の期待している関心・意欲までに,子どもが達していないのかもしれません。
怒る前に,次の手立てをとりたいものです。
不適切と思われる行動が起こった時は簡単に,
・起こしたこと
・いつ?
・何をしていて?
・直後の状態は......
の4つをメモしておくといいでしょう。対人の場合は,相手の名前や様子も綴っておきます。
これを1週間~2週間ほど続けます。すると,一つひとつの行動に共通することが見つかるでしょう。
そこで不適切行動が起こりにくくするため,きっかけが起こりにくいように,環境調整をするのです。
家具を置くときに,仮に置いて周りも考えて,机はここだ!と決めるように,
一度の環境調整では,なかなかなうまくいかないので,微調整も必要です。
子どもたちは,飽きずにのってきます。
子どもも大人も楽しいことには,時間を忘れて取り組むでしょう。それと同じです。
研修会で難しい話をスライドなどもなく聴かされたら,私は睡眠学習してしまいます。
難しいところですが,いわゆる「活動あって学びなし」ではいけません。
わたしは,付けたい力を念頭に起きながら,キャラクターの力,ゲーム化,ICT機器活用で楽しさを
味わわせてきました。
ぜひ,教材開発をしていきましょう!
楽しく学んで国語力アップ「楽習」授業ネタ&ツール
https://www.manabinoba.com/tsurezure/23392.html
アドベンチャー学習
https://www.manabinoba.com/tsurezure/23384.html
ロールプレイングゲームを導入する算数教材
https://www.manabinoba.com/tsurezure/18556.html
「勉強しろ!」「活動しろ!」とは,言ってはいけない教師です
自分の仕事を他人に振ったり,自分の案をもたずに他人の案をそのまま使ったり,
調べれば分かることも,他人任せ......。
「これ,やったことない。」
「知らないから無理。」
など,ちょっと手を足をのばして,調べたり読んだり,学びに行ったりすればいいのに,
しない教師はいませんか。
子どもから,上記の言葉を言われたら,丸ごと受けとめてあげなくてはいけませんね。
A させたいなら, B,C,D,E......の手立てをもて
https://www.manabinoba.com/tsurezure/18452.html
静かに,うるさい,黙りなさいは,魅力のない話の必須ワード!
これは,よく聞きますよね。
例として,座ることで考えると,
ちゃんと座る きちんと座る しっかり座る
は,違いがよく分かりません。また,
静かに うるさい
も,教室,図書館,運動場では,静けさは,違います。
話が魅力的であれば,みんな耳を傾けて聴きますよね。
そう言わないといけない状態を作っている場合もあります。
子どもの困り感を受けとめること
https://www.manabinoba.com/tsurezure/19533.html
せめて,視覚型,聴覚型,体得型の3つを意識しよう
ハーテックの高山恵子さん・平田信也さんの著書
「ありのままの自分で人生を変える 挫折を生かす心理学」
にもある3つの学習型です。
もちろん,我々教師も同じ。みんな学びの型をもっています。
いわゆる
・目で見た方が学びやすい
・耳で聴いた方が学びやすい
・実際にやってみた方が学びやすい
の3つです。
また,同じ内容を3度繰り返すと,定着しやすいとの脳科学の知見もあるので,
上記の3つを意識すると,まさに「変化のある繰り返し」で学習できそうですね。
3つの学習型を入れた授業の組み立てを
https://www.manabinoba.com/tsurezure/18022.html
子どもの学び型にあった教え方かどうかがポイントです
教科テストをして,子どもたちの点数が振るわない。または,授業がなんだかしっくりこない。
「あぁ,授業が下手だあ。」
と,すべてを背負いこむ必要は,ないかもしれません。
教師のほとんどは,学力をつけようとして,授業をしているはず(苦笑)
仕事ではありますがきっと,
仕事だから......とか,教科書を終わらせないといけないから......。という理由ではないはず(笑)
つまり,やり方がまずいのです。
上記の3つを意識し,子どもたちの実態に合わせた授業を仕組みたいものです。
もちろんこちらも,一朝一夕では,いきませんが......。
メインではなく,子ども一人ひとりの背景にあった
視覚化・焦点化・共有化することです。
ユニバーサルデザイン化は,目的ではなく,手段ですよ
「うちの教室は,ユニバーサルデザインしてます!」
と,言って,風が吹くと揺れて,ぴかぴか光るような掲示物を貼ってしまってはダメです。
ユニバーサルデザインで大切にされる時に,ロン・メイスの7原則に出合うことがあるでしょう。
1 公平性 2 自由度 3 簡単 4 明確さ 5 安全性 6 持続性 7 空間性
です。
これを授業に当てはめて考えると,次の7原則がぴったりではないでしょうか。
「授業のユニバーサルデザインの7原則」
(長江清和・細渕富夫(2005)小学校における授業のユニバーサルデザインの構想)
1 全ての児童が学びに参加できる授業
2 多様な学び方に対し柔軟に対応できる授業
3 視覚や触覚に訴える教材・教具や環境設定が準備されている授業
4 欲しい情報がわかりやすく提供される授業
5 間違いや失敗が許容され、試行錯誤をしながら学べる授業
6 現実的に発揮することが可能な力で達成感が得られる授業
7 必要な学習活動に十分に取り組める課題設定がなされている授業
という考え方です。
そこで,よく言われるキーワード3つが,
視覚化 焦点化 共有化
です。でも,大切なポイントがあります。それは,
子どもの背景にあるもの
なのです。つまり研究会などで,
「こんないい取組を聞いてきた!すぐに取り入れよう!」
は,アウトです。そこに,自分の目の前の子どもが当てはまっているのかということです。
つまり子どもたちが困っていることの背景にあるものを探らないと,どのような構造化や
教材の導入の手立てをとっても,効果がない場合があるのです。子どもは,一人一人違うからです。
子どもの背景をみて,そしてそれから,視覚化・焦点化・共有化なのです。
手立てが先ではなくて,子どもの背景,実態把握が大切なのです。
絶対ではないですが......
いかがでしたか。12個のポイントすべてをクリアするのは,難しいかもしれません。私も試行錯誤しながら,学級をつくってきました。
でも12個すべて,はずれではないでしょう。
明日への学級づくり,家庭での教育に少しでも役に立てれば,幸いです。
いっしょに学びませんか
教材・授業開発研究所 in神戸2016冬
関連リンク
関田 聖和(せきだ きよかず)
兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV)
主な単著:『楽しく学んで国語力アップ!「楽習」授業ネタ&ツール』(明治図書)、『新学期から取り組もう!専手必笑 気になる子への60の手立て』(喜楽研)、『専手必笑!インクルーシブ教育の基礎・基本と学級づくり・授業づくり』(黎明書房)、国語・算数が苦手な子どもへの個別支援プリントシリーズ(全10冊:清風堂)
その他、特別支援教育すきまスキル(明治図書)等共著多数。
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