特別支援教育のセミナーなどに行くと,時折,
「A させたいなら B です」
という話を聞きます。これは,みなさんご存じの
「AさせたいならBと言え」(明治図書) 「続AさせたいならBと言え―教師の言葉が生きる瞬間(とき)」(明治図書) |
の 岩下修先生お言葉です。
わたしは,そのお言葉の少しを頂戴して,
「A させたいなら, B,C,D,E……の手立てをもて」
と話をしています。Eの後の……は,あればあるだけ,なお良いものです。
子どもの特性には,百人百色
ADHDの特性のある子どもは,良く動く傾向が強いから,
授業時間の中で意図的に動く時間を取ろう
と工夫した先生。これはこれで効果のある指導の一つです。
しかし,
「ADHDのお子さんすべてに,これでいく!」
とは,言い切れない
のです。
それは,ADHDには,
- 不注意優勢型
- 多動性-衝動性優勢型
- 混合型
に分けられます。だから,タイトルにしている,
「A させたいなら, B,C,D,E……の手立てをもて」
なのです。百人いれば,百通り……。様々なタイプに分かれます。
複数の手立てをもっておこう
意図的に動いても良い時間をつくることだけでなく,以下のような手立てをもっていてはどうでしょうか。
・ 活動の確認のために,立ったり座ったりする (NGワード:ちゃんと,しっかりと,きちんと, がんばって,かしこくして,しずかに,何度言ったら 分かるの,ぐずぐずしないなど) (低学年なら,教師のすぐ近く,視界に入りやすいところ) ところで終わる |
などが挙げられます。
教師が,このように複数の手立てをもっていると,様々な子どもに対応できると言うだけで無く,
教師自身にゆとりがうまれます
ゆとりがあると,顔もほころび,子どもに対する笑顔も増え,突発的なことが起こっても動揺が少ないと考えています。
子どもも,教師も……
わたしは,この指導で学習を進めるのだ。
だから,新しい話は別に聞かなくていい。
と,明言される方は少ないかも知れませんが,
1つの考え方,指導法に固執すると,さらに良い実践と出合ったときに,
認めにくいと言うことが起こるのかも知れません。
子どもも教師も,ゆとりを生むために,そしてどちらも笑顔で過ごすために,
複数の手立てをもつ
つまり,
教師として指導の引き出しを,引き出しの中身を増やすこと
それが,
「A させたいなら,B,C,D,E……の手立てをもて」
なのです。
だからわたしは,様々なところに出かけて,たくさんの先生方から学び,
引き出しを引き出しの中身を増やし,たくさんの手立てをもち続けたいです。
関田 聖和(せきだ きよかず)
兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV)
主な単著:『楽しく学んで国語力アップ!「楽習」授業ネタ&ツール』(明治図書)、『新学期から取り組もう!専手必笑 気になる子への60の手立て』(喜楽研)、『専手必笑!インクルーシブ教育の基礎・基本と学級づくり・授業づくり』(黎明書房)、国語・算数が苦手な子どもへの個別支援プリントシリーズ(全10冊:清風堂)
その他、特別支援教育すきまスキル(明治図書)等共著多数。
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