いよいよ12月に入りますね。大きな行事も終わり,冬休みへまっしぐらでしょうか。
わたしは,この記事が出る本日,市の人権教育研究会で,算数「面積」の授業公開をします。
市や県レベルの研究授業は,20回目。さて,今回の研究の手応えは,どんなものでしょうか。
さて,様々な会で,先生方や保護者と話している中で気になることがありました。
一般的な先生って,そうじゃないですか!
以前,ある保護者と話す機会がありました。その話の中で,
「子どもたちに指示しても,なかなかその通りに動かないとき,
いらいらして,怒鳴るじゃないですか。」
と話されました。
わたしは,
「いいえ。若い頃は,ありましたが……。」
と,返答しました。
「じゃ,一般的な先生は,怒鳴るでしょ。」
と。
そういう先生もいるだけに,何だか悲しくなりました。
もう十数年前から,怒鳴って指導しても効果がないことは明確です。
保護者の認識がこうだったことに,残念に思いました。
私自身,特別支援教育を学び始めてから,
特別支援教育の視点からの手立てを知り,
自然と怒鳴らなくなっていったのです。
怒鳴ること
怒鳴る指導……
と,打ちかけてやめました。
子どもたちに怒鳴ることは,指導ではないでしょう。
大きな声を出すこととは,全く違います。
大きな声を出して,危険から守ったり,
大きな声を出して,子どもたちを励ましたり……。
これは,支援や指導と言えるでしょう。
怒鳴るときって……
・いらいらして,怒鳴る
・威嚇して,従わせる
・相手に怒りをぶつけて,考えさせない
時でしょうか。
子どもたちに怒鳴ると,場が静まり返って,指示通りに動きます。
しかしそこには,子どもたちが何も考えずに従っただけで,
子どもたちの力を伸ばすことには,残念ながら,繋がりません。
楽な指示だが……
怒鳴り続けていると,
子どもたちは,恐いから,その教師の言うことを聞きます。
以前,このような経験をしたことがあります。
ある研究会で素晴らしい授業を見ました。
子どもたちだけで,授業が進み,
教師は,板書をして,話し合いを見ています。
参観している先生たちも,すごいなって,話していました。
わたしは子どもたちに,
「他の教科もこんな感じで授業してるの。」
と,尋ねました。すると,
「そうだよ。先生,怒ったら恐いもん。」
と。ある授業形態に合うように,子どもたちに話をしていたのでしょうか。
「一人だけ呼び出されて,何で発表しないんだ。
って,怒るんだ。」
と話す子どもも……。
考えさせられてしまいました。
子どもたちが従わなかったら
怒鳴って子どもたちが従えば,良しとするのでしょう。しかし,それは,従った場合です。
怒鳴っても子どもたちが従わなかったら……。
考えるだけで,恐ろしいことです。
わたしは,怒鳴ることは,指導ではなく,
・悪循環に堕ちていく入口
・場当たり的な指示
だと考えています。
考えない子どもたちになり,怒鳴る教師の言うことしか聞かない子どもたちになります。
こういった子どもたち……。
次に出会う教師が,そうでなければ……。
俺の時には……
ある若手教師と話しました。前年度は,体格も良く,学校一恐いと
子どもたちから恐れられている教師が担任していたそうです。
4月の数日間,若手教師の指導も通じたようです。
しかし,だんだん,言うことを聞かなくなり,荒れが見え始めたのです。
前年度の先生からは,
「俺の時は,そんなことは,なかった。舐められてるじゃないのか。」
と,言われたそうです。
そうかと気づき,指導を厳しくし始めたのです。そうすると,荒れも消え,一学期は,終わりました。
二学期です。一学期よりも,ひどい荒れが見え始めたそうです。
もう怒鳴っても,ダメ。複数の教師で対応しているそうです。
怒鳴ること……。
次の年まで,影響するのです。
子どもたちの言動には,必ず理由がある
子どもたちが,指示した通りに動かないときには,必ず理由があります。
・聞こえていない
・分からない,できない
・指示されたことよりも,したいことがある
などが思いあたります。
子どもたちの不注意や発達年齢と能力との差。
教師の指示が分かりにくい,長いなどもあるかもしれません。
怒鳴ることよりも,そうしないで済む指導を考えたいものです。
元野球選手の桑田真澄さんのブログに,次のような言葉がありました。
桑田真澄 指導者 日本中,何百
と,検索すると,全文が出てきます。
日本中,何百というチームを見てきたけど,
子供達を怒鳴り散らしている指導者ばかり。
怒鳴らないと理解してもらえないほど,私には指導力がないんですと,
周りに言っているようなもんだよね。
そんなことも,わからないのかね?
恥ずかしいというか,あまりにもひどすぎるよね。
そりゃぁ,叱らなければいけない時もあるよ。
でも,試合中,練習中,最初から最後まで,怒鳴ることないよね。
その情熱は,素晴らしいと思うんだけど,方向が間違っているよね。
それだけ情熱があるのなら,もっと勉強して知識を身につけるべきだよね。
もっと怖いのが,知識はあるけど,その知識を間違って使っている指導者だよね。
どちらのタイプの指導者にも,
他人の大切な子供を預かるんだから,最低限の知識を身につけ,
知識があるのであれば,正しい方向に使ってほしいよね。
このことを,声を大にして,お願いしたいし,そろそろ「気が付いて」ほしいね。
(「桑田真澄公式ブログ:2009年3月10日 気が付く」より抜粋)
教師にも当てはめて考えることができるでしょう。
わたしは,怒鳴らなくても良い方法で,子どもたちの力を引き出すことができるために,
様々な指導について学び続けます。
2013年12月22日日曜日に,神戸にて,
野口芳宏先生,横山験也先生,山中伸之先生
をお迎えして,授業道場「を開催します。 」in 神戸
http://kokucheese.com/event/index/129860/
よろしければいっしょに学び合いませんか。
関田 聖和(せきだ きよかず)
兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV)
主な単著:『楽しく学んで国語力アップ!「楽習」授業ネタ&ツール』(明治図書)、『新学期から取り組もう!専手必笑 気になる子への60の手立て』(喜楽研)、『専手必笑!インクルーシブ教育の基礎・基本と学級づくり・授業づくり』(黎明書房)、国語・算数が苦手な子どもへの個別支援プリントシリーズ(全10冊:清風堂)
その他、特別支援教育すきまスキル(明治図書)等共著多数。
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