2014.02.27
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子どもの困り感を受けとめること

兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV) 関田 聖和

 先日,友人とフェイスブックで一時間あまり話しました。

ある県の先生で,同い年ながら追究心旺盛な方です。

わたしの教師修業の中で,学ばさせてもらっている実践家の一人です。

その話を「学びの場に……」と,許可を貰ったので,今回の話題にします。

特別支援教育での子どもの困り感の話です。

 

見えているのは、氷山の一角

 よく特別支援教育のセミナーに出かけると,

「見えているつまずきは、氷山の一角です。

 見えていない部分を理解しなくてはいけません。」

なんて,話される先生に出会います。

その通り!と深く頷くわたしです。

だから,

氷山の見えている部分を一生懸命に

さわったり,なでたり,たたいたり(苦笑)しても,

ほとんど効果が無い

のです。

 

 

氷山全体を特性と考える

 わたしは,

 氷山そのものを特性

と考え,

 見えている部分を困り感

と捉えるようにしています。

 こう明示すると,先ほどの見えているところを触ることだけでは,

不十分であることが分かると思います。

 見えていない部分も実は,

環境次第では,もっと見えてくる

のです。

 次のようなことはありませんか。

昨年は,落ち着きがなく,クラスで困っていたのに,

担任が変わり,その先生は,高圧的な態度を取っていないのに

落ち着いてしまった子どもたち。

 これが,氷山そのものにうまく触れていることなのだろうと考えています。

その担任の先生が,意識しているかどうかは,別にして……(笑)

 

環境と特性を意識して

 門眞一郎Dr.は,ある文献の中で,

氷山が浮いている周りの海水を環境

と捉えて説明しています。 さらにわたしは,その

環境である海水

特性である氷山全体そのもの

との関係性を意識して捉えれば, 氷山の見え方,つまり,

困り感は少なくなる

のでは無いかと考えています。

 ただし,氷山そのものは,特性です。

だから,医学の進歩により小さくなるものだと考えています。

もちろん,たたき壊してはいけません(笑)

 海水である環境とその子どもがもっている氷山である特性を意識して,

療育・指導にあたるとよいのではないでしょうか。

 困り感を受けとめ,特性を知り,手立てを模索することで,氷山の見える部分を

小さくしていくことができることでしょう。

 

 

困り感の原因を探る

 今,2月の末。その困り感の原因も,もう見えているでしょう。

・算数の計算問題になる → 機嫌が悪くなる。

・その子のプライドが傷つけられる → 課題に取り組まない。

・分からない課題の提示 → 立ち歩き始める。

など,A があると,B が起こる状態を見極めているかどうかということです。

 これらを箇条書きにして,次年度へ送ることが大切です。

そうです,その引継き書類は,

個別の指導計画

です。

 次回の記事は,個別の指導計画について,私の取組をお伝えします。

 

春のセミナーのお知らせです。

教材・授業開発研究所 in 兵庫 2014年春セミナー

を開催します。平成26年3月29日(土)です。

講師は,

関西国際大学の中尾繁樹先生(午前),

ほめ言葉のシャワーの菊池省三先生(午後)です。

 昨年度は,キャンセル待ちになりました。お早めにお申し込みを!

関田 聖和(せきだ きよかず)

兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV)
主な単著:『楽しく学んで国語力アップ!「楽習」授業ネタ&ツール』(明治図書)、『新学期から取り組もう!専手必笑 気になる子への60の手立て』(喜楽研)、『専手必笑!インクルーシブ教育の基礎・基本と学級づくり・授業づくり』(黎明書房)、国語・算数が苦手な子どもへの個別支援プリントシリーズ(全10冊:清風堂)
その他、特別支援教育すきまスキル(明治図書)等共著多数。

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