2016.10.10
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特別支援教育12のあること 前編(1)

兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV) 関田 聖和

 10月に入りました。今年は多いと感じる台風には,困惑してしまいます。

でも,秋は,様々な楽しみがあります。読書の秋,食欲の秋……。私は,紅葉を楽しみたいです。

 さて今年度は,障害者差別禁止法が施行され,
特別支援教育の研修などでは,テーマに挙げられ,
話題にされていることでしょう。
 特別支援教育を学んでいる仲間内で,
時折,話されることを綴りました。題して,
「特別支援教育12のあること」
今回は,前編の6つです。

1 環境の構造化は,教師の子どもへの接し方から始まる。つまり,教師自身も環境なのです。

  よく特別支援教育の手立てに,
「雑情報を減らし,構造化しましょう」
「見る力が強いお子さんです。見える化を図りましょう」
などのアドバイスをもらうことがあります。
これは,とってもいいことです。でも,やり過ぎに注意です。
「見える化だ!」と写真を貼り過ぎて,
かえって雑情報になってしまうこともあります。

子どもたちにとっての環境は,物理的なものだけではありません。
そうです,教師自身も環境なのです。
私の座右の銘,
「子どもにとって最大の教育環境は,教師自身である」
との言葉のように,教師自身も環境です。

話が長すぎたり,「えっと……」「あのう」などの
無駄な言葉が多く入れられると,
子どもによっては,雑情報
となります。

派手や華美の服装もそうです。
「私は,きらきら光る服が好きなのよ」
と,日光が当たると,光る飾りがついていると,
せっかく教室内を構造化し整理していても,
残念な結果になります。
 雑といえば,子どもへの対応もそうです。雑では,ダメです。

2 怒鳴る,怒るは,自分が決める。感情で話すのではなく,理性と知性をもって指導しよう。

 怒鳴ることも,怒ることも自分で決めています。
いらいらしてしまうのならば,6秒我慢します。
すると大抵の怒りは収まるそうです。
もちろん,大きな声を出さないといけない時もあるでしょう。
そのような時は,
 ・命に関わったり,怪我をしそうなぐらい危険な時
 ・いじめを代表とする 
  他人の不幸の上に自己の幸福を築くような行動を取った時
 ・4度言っても改めようとしない時
「これらの時は,大きな声を出すよ」
と,年度当初に子どもたちに約束しておきます。
大きな声を出す必要のない,
「専手必笑」の指導を心がけるのです。


3 「専手必笑」!一時一笑!笑顔のない指導は,崩壊の始まりです。

 子どもたちは,何よりも先生の笑顔が大好きです。
笑顔でいてくれるクラスは,自然と温かいクラスになります。
「教師の専門性で,先手を打ち,
 千の手立てで子どもを育んでいく。
 そのために,笑顔は必須」
であると私はよく話します。
「専手必笑」を心がけたいものです。
https://www.manabinoba.com/tsurezure/22102.html 

 

4 居心地のいい教室から子どもは,飛び出しません。楽しくて分かりやすい授業を心がけよう。

 「先生,あの子どもいつも飛び出していくんです」
これには理由があります。飛び出すきっかけを与えているのです。
 子どもは,楽しいところへは,意欲をもって動きます。ということは……。
授業を,学級を,学校を,楽しいものにしていきましょう。
 楽しいだけでは,「活動あって学びなし」になりかねません。
「楽しい」→「分かった」→「できた」→「さらに」となるような学習を仕組みたいものです。
https://www.manabinoba.com/tsurezure/20030.html
 理想論?いえいえ,そう語る前に,まずは,目指して取り組みたいものです。もちろん,一朝一夕には,創り上げられませんが……。

 

5 怒鳴る教師は,「私は無力,完敗です。」と宣言していると心得よう。

 怒鳴って子どもを従わせ,子どもたちが恐くて
したがっている状態を指導と勘違いしている
先生がいます。困ったものです。
 また,同調圧力を使って,NOと言わせない
従わせ方をする先生もいます。これは,どうなんでしょうか。
 もちろん,「あかんもんは,アカン!」
とはっきりとした態度は必要ですが,
怒鳴ることや同調圧力は,教師の指導とは言えない
のではないでしょうか。

https://www.manabinoba.com/tsurezure/19528.html

6 子どもが起こした言動で一喜一憂せず,その言動の背景をみよう!

 子どもの言動には,必ず理由があります。
不適切行動であれば,減らしてやりたいものです。
そのためには,子どもの言動の背景を探ります。
また,行動については,観察し分析をします。
これをABC(ABA)分析,応用行動分析と言います。
 一度できたからと言って,子どもの前では,褒めたとしても,
心の中では,まだ完璧に習得したと捉えずに,
何度も「できた」経験を積ませたいものです。
その逆の失敗についても,同じ失敗はできるだけ
避けたいですが,
私の指導が甘かったと,落ち込む必要もありません。
次に失敗しないように,励ましていきましょう。

https://www.manabinoba.com/tsurezure/19084.html

とりあえず……

 いかがでしたか。
過去記事にも少しリンクさせていますが,
私が若い頃にしていた失敗の6つ例でもあります。
日々の指導に対して,少しでもヒントになれば幸いです。


いっしょに学びませんか
教材・授業開発研究所 in神戸2016冬

関田 聖和(せきだ きよかず)

兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV)
主な単著:『楽しく学んで国語力アップ!「楽習」授業ネタ&ツール』(明治図書)、『新学期から取り組もう!専手必笑 気になる子への60の手立て』(喜楽研)、『専手必笑!インクルーシブ教育の基礎・基本と学級づくり・授業づくり』(黎明書房)、国語・算数が苦手な子どもへの個別支援プリントシリーズ(全10冊:清風堂)
その他、特別支援教育すきまスキル(明治図書)等共著多数。

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