2026.08.16
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探究を探究する― 番外編:はっさくジャムづくりから広がる教科横断的な探究学習―(vol.12)

今回は、校庭にあるはっさくを取ってきてジャムにする活動について、教科横断的に学ぶ子どもたちの姿を紹介します。

兵庫教育大学附属小学校 箱根 正斉

くらしの課題から始まるはっさくジャムづくり

下級生がはっさくやザクロをとって、投げて遊ぶことが許せなかったクラスの子どもたち。そんな子どもたちは、全校生にはっさくやザクロをむやみにとることをやめてほしいと、各教室へ伝えにいきました。

そのタイミングで担任は、道徳で植物の命の尊さを学ぶ教材を取り扱いました。

道徳の授業の終盤には、子どもたちから「ザクロ、はっさく、柿は、毎年なるものだけど、必要だからとるほうが良い」という意見が出てきました。

そこで、担任が「取ってきているはっさくで、何かできないかな」と子どもたちに聞くと、「はっさくジャムは?自然学校でつくったし」と意見が出たので、はっさくジャムをつくることにしました。

担任は、ジャムをつくる活動を通して、比や百分率を使ったり、はっさくをどのくらい使うか考えたりする姿を想定しました。また、必要最小限のはっさくを取るに留め、1個当たりの実の量を平均から数理的に考える子どもの姿に期待し、探究的に学習を進めることとしました。

算数の力を使ったはっさくジャムづくり

見通しを立ててジャムづくりを計画する

 

板書「算数ではっさくジャムをつくろう」

「算数ではっさくジャムをつくろう!」と子どもたちに投げかけ、授業を始めました。
前半は、はっさくジャムづくりをどのように進めるか、個人で計画を立てる時間としました。そして、後半は、全体に戻って計画内容を整理しました。

授業では、「まず、次に、そして」と言葉を示し、何から計画を立てていくか考えるように子どもたちに促しました。ここで、Bさんが発言します。

「まず、材料。次に作り方、そして、時間。最後に作ってみる。食べてみる」

このような見通しを立てて進むことになりました。まず、材料から決めることになりました。

Bさんは、ひよカフェの試作品づくりの活動で、スイカゼリーをつくっていました。その活動の際に、固まるまでに6時間必要だということを調べ、朝早くから実習準備を行い、下校時刻を考えて計画的に進めることができていました。
そのため、こうした計画を立てるときにも、時間を意識して計画を立てることができたのだと思います。

平均を使ってはっさくの分量を考える

 

算数「はっさくジャムをつくろう」ふりかえり

どうやって作るか考える場面では、はっさく4個のまとまりで計画を立てたり、ジャムのレシピではっさくの分量を考えたりと、子どもたちはさまざまな作り方を考えていました。
また、マーマレードにするか、ジャムにするかによって、はっさくの分量も変わってきます。そのため、マーマレードではなく、皮を取り除いてジャムにするレシピになりました。

こうした話し合いから、皮の重さを調べないと実の分量が分からないことにも少しずつ気づいていきました。
すると、Cさんから、「今あるはっさくの平均を出して、それに近いものをむいたらいいんじゃないかな。だってそれより大きいものは、皮も分厚いし、小さいと薄くなると思うから」と意見が出ました。

5個の平均を求めると、162gとなったため、それに一番近いものを選んで皮をむいてみることになりました。159gと155gの2つがありましたが、159gのものは皮に傷が入っていたため、155gのものをむくことになりました。

1個だけでは分からないため、次は一番大きい199gのものを調べてみたらいいという意見も出ました。そこで、教室にある3個すべてのはっさくの皮をむいて調べることになりました。

Dさんは、黒板に書かれたはっさくの重さの表をじっと見ると、実のほうがばらつきの少ないことに気がつき、実の分量からだいたいの収穫量を求めることができそうだと考えていました。

この授業の振り返りでは、皮の平均を出して、考える子ども多くいました。一方、実の重さのばらつきをもとに考える子の姿も見られるなど、多様に考える子どもたちの姿がありました。

失敗から考えるはっさくジャムの活用方法

はっさくジャムづくりの計画を立てて、スタートしました。
しかし、計画を立てたはずが、時間内に完成しませんでした。また、やっと完成したものの、とても苦くて、作ったジャムのほとんどを食べ残してしまいました。
担任は、どうしたものか、もったいなくて捨てるに捨てることができませんでした。

そこで、ロイロノートのメッセージ機能を使って、子どもたちに残ったジャムをどうしたらいいか、聞いてみることにしました。
すると、Dさんからは、「みりんを入れると苦みが少なくなる。そのあと、お茶にして飲んでもおいしいらしい」という意見が出ました。

Fさんからは、「ポプリや芳香剤にできる。余ったジャムでつくって、配ってもおもしろいです」との意見が出てきました。

また、他の子どもたちは、苦くなった原因について白い薄皮が入っていたことや砂糖の量が少なかったなどを自主学習で調べていました。

結局、残った苦いジャムは、ポプリにして芳香剤として利用することとしました。ネットに載っていた作り方を試して、つくってみました。
2月に開催するひよカフェにも出す予定でしたが、うまく活用できませんでした。

道徳・算数・家庭科をつなぐ教科横断的な学び

今回は、はっさくジャムづくりについて紹介しました。
自分たちのくらしをよりよくするといった文脈で学習を進めることで、道徳や算数、家庭科など多様な学びへ広がっていくことが確認されました。

ジャムをつくるために、収穫量を考え、はっさくをいくつ収穫するか考えます。
こうして算数を使って、自分たちの思いや願いを実現する学びに答えはありません。算数の力を使って自分たちの生活を楽しくすることで、活用できる知識の獲得につながっていくのだと思います。

担任は、道徳や算数、家庭科の学びを活用して考える学習をデザインしていきました。
子どもの姿から立ち上がった教科横断的な学びを繰り返すことで、教科が自分の生活になじんでいくのだろうと考えています。

こうした学習の転移を促す練習は、どのようにすると効果的なのでしょうか。「正解のない問題」に対し、仲間と協働し、対話を重ねながらその子らなりの「応え」を導き出していく。そのプロセスが大事だと思います。

次回は、究極のひよカフェに向けて活動する子どもの姿を紹介します。活動がどのように進展していくのか、どうぞよろしくお願いします。

箱根 正斉(はこね まさなり)

兵庫教育大学附属小学校


個がくらしを見つめ、その個が育つことを考えて実践に取り組んでいます。個が立ち、協働し、探究する。個がくらしをつくり、個が生きる。
生活科・総合的な学習の時間を中心として、その個が自分の思いを膨らませながら、自らの願いを実現し、自己実現を更新していく。
そんな個の育ちを目指して実践しています。

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