2026.09.14
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6年ぶりのオランダで見つけた、「変わったもの」と「変わらないもの」

6年ぶりに訪れたオランダのイエナプランスクールで、私は一つの大きな変化に驚きました。以前は当たり前のように使われていたタブレットが減り、紙のドリルに戻っていたのです。
一方で、デジタルを手放したわけではありません。変わったものと、変わらないもの。その両方を目の当たりにしたオランダ研修で、改めてイエナプランの魅力を感じました。

合同会社Toyful Works 代表社員・元公立小学校教員 川崎 知子

6年ぶりのオランダで感じた「変化」

 

算数の学習をする子どもたち 

昨年の8月、日本イエナプラン教育協会の第10回オランダ・イエナプラン・オリエンテーション研修に、協会スタッフとして同行しました。2019年に帰国して以来、6年ぶりにオランダを訪れました。

オランダ北部、フローニンゲン郊外にある3つのイエナプランスクールを視察しました。どの学校も、私にとっては「懐かしく」感じる、とても素敵なイエナプランスクールでした。

家具がカラフルで、子どもたちも大人も生き生きとしている。でも、決して騒がしいわけではなく、そこには自然な静寂が感じられる空間がありました。

一方で、6年前と大きく変わったと感じたことが一つあります。その違いに、私は驚きを隠せませんでした。

タブレットから、紙のドリルへ

8年前、私たちがオランダに移住した当時、日本よりもずっと早く、多くの学校で一人一台のタブレットを使って学習していました。
特に算数に関しては、タブレットのドリルがとてもよくできていて、間違えても次の問題に進める一方、2回間違えると簡単な問題に戻ったり、解説を読んだりできるようになっていました。

日本よりもずっと早く、「個別最適化」が進んでいる。そんな印象を持っていました。

ところが、昨年訪れた3つの学校では、どの学校でも、6~8年前に比べてタブレットを使っている子どもたちが激減していたのです。「紙のドリルに戻っている」様子を、まさに目の当たりにしました。

一方で、前回も書いたように、教室(イエナプランスクールではリビングルーム)には、子どもたちがいつでも自由に使えるようにタブレットが置いてあります。担任の先生が私の息子に「これで翻訳して会話するといいよ」と気軽に貸してくれたこともありました。

そして、町の図書館には、とても立派なデジタルセンターと、さまざまな材料が置いてあるクラフトセンターが隣り合っていました。

つまり、オランダではデジタルも進んでいるけれど、アナログもきちんと大切にしている。まさに、デジタルとアナログの融合を成し遂げていたのです。

「わかった」ではなく、「問い」を持ち帰る

そして、今年もまた、8月19日から21日までの3日間、第11回オランダ・イエナプラン・オリエンテーション研修を行いました。

今回は、数年ぶりに3日間を通して、『イエナプラン 共に生きることを学ぶ学校』の著者であるフレーク・フェルトハウズ氏が、イエナプランを体感できるプログラムを組んでくださいました。
フレーク氏は、リヒテルズ直子氏、ヒュバート・ウィンタース氏とともに、日本のイエナプランの礎を築いた方です。

一つの学校をじっくりと視察し、イエナプラン教育を体感する3日間です。

フレーク氏は、私にとっても、2015年の1週間の研修、2017年の3か月の研修で本当にお世話になった恩師です。その彼の研修の様子を、今回は少し客観的な立場から見ながら、ただただ感嘆していました。

そして、参加者も、研修を通して感銘を受け、次々と問いが生まれていくのがよくわかりました。

イエナプランでは、答えよりも「問い」が生まれていくことを大切にしています。だからこそ、参加者が「よくわかった」と言って帰るのではなく、新たな問いを持ち帰ることが、何よりうれしいのです。

日本の現場に「手法」だけではなく、魂や静寂を持ち帰ろうとしている参加者の姿にも、とてもうれしく感じました。

心に残った、温かい「お別れの催し」

3日間、子どもたちともたくさん触れ合い、先生たちにもたくさん質問をした参加者のから、「学校にお礼をしたい」という声が上がりました。

そこで、全校児童約180人が学校の真ん中のスペースに集まりました。

参加者からは手話を交えた「ふるさと」の歌をプレゼントし、学校からはオランダ名物のストロープワッフルとメッセージカードのプレゼントをいただきました。

そのメッセージには、「訪問ありがとう。ワンダフルで意味ある学びの体験ができていたことを願います」と書かれていました。

この「お別れの催し」は、私がこれまで何度かお邪魔したイエナプランスクールの催しの中でも、本当に温かく、ベストなものの一つになりました。

そして、フレーク氏が「来年は別の学校でやろう!」と言ってくださり、すでに学校探しも始めています。

私もスタッフとして、よりよい研修をつくれるよう、じっくりと準備を進めていきたいと思います。

今年度から、日本イエナプラン教育協会ではオランダ研修の特設サイトも作りましたので、ぜひご覧ください。

「一に遊び・二に対話」を、これからも

6月の総会をもちまして、一般社団法人日本イエナプラン教育協会の代表理事に就任したことも、併せてご報告いたします。

「一に遊び・二に対話」をモットーに、イエナプランを体現する組織となるように。そして、日本のイエナプランの普及と発展のために、スタッフ一同、協働して、楽しく進んでいきたいと思います。

これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

川崎 知子(かわさき ともこ)

合同会社Toyful Works 代表社員・元公立小学校教員


元公立小学校教員。東京・広島の小学校で約20年勤務。
2017年からは家族とともにオランダに渡り、イエナプラン教育を学ぶ。日蘭イエナプラン専門教員資格を取得し、現地のイエナプランスクールでアシスタントとして2年間勤務。20校以上の小中学校を視察した。
帰国後は、広島県福山市立のイエナプランスクール開校に携わり、現在は日本イエナプラン教育協会理事。
不登校支援や特別支援教育、保護者との関係づくり、対話・探究・遊びを通して、子どもも大人も、安心できる学びの場づくりに取り組んでいる。

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