2026.09.08
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「管理統率」から「状況調節」へ  一人で抱え込まない学級経営(2)

連載をまとめる3部作の第2弾は、「状況調節型」学級経営の実践論です。
前回の記事では、全員をひとつの箱に縛り付けず、環境を柔軟に最適化する「状況調節型」の考え方についてお話ししました。
この状況調節を現場で実現するために不可欠なのが、教師自身の援助要請のスキルと、学校内外を巻き込むチーム体制のデザインです。

埼玉県公立小学校 石井 雄大

一人で抱え込む先生が教室に与えるリスク

毎日、クラスの子どもたちのために一人で責任を背負い、奮闘している先生は少なくありません。
ですが、「担任なのだから、自分のクラスの問題は自分で解決しなければならない」と、孤軍奮闘していませんか。

先生が一人で抱え込んで孤立すると、心身の余裕が削られ、無意識のうちに表情や声のトーンが硬くなってしまいます。子どもたちは大人が発するSOSや緊張感を敏感に察知します。そのため、教室全体の心理的安全性が揺らぎやすくなってしまうのです。

現代の教室では、子どもたちの抱える課題や成長差のあり方は多様で、かつ複雑です。それを担任一人の力だけで対応することは、最初から限界があります。
先生が「助けて」と言えない環境は、先生自身を追い詰めるだけでなく、巡り巡って子どもたちにとっても苦しい環境になってしまうことを、まずは知っておいてほしいのです。

実践!頼れる人リストの作成

では、どのようにしてチーム学校を動かしていけばよいのでしょうか。そこでおすすめしたいのが、自分自身を取り巻く「頼れる人リスト」の作成です。

教室の外に目を向けると、学校の中にはたくさんの頼もしい味方がいます。職員室の同僚、学年主任、管理職、専科教員、特別支援学級の担任、スクールカウンセラー、そしてスペシャルサポートルームのスタッフ。さらに、校外の医療機関や地域の専門機関まで、こうした存在があなたのチームのメンバーです。

誰に・どのタイミングで・何を相談するのかを整理し、具体的な頼り方のフローを自分の中でリスト化しておきましょう。
「先生一人で抱え込まなくていいんだ」と気づき、校内外のリソースを結びつけて支援していくこと。これこそが、これからの教師に求められる専門性なのです。

「助けて」と言える先生の姿が、子どもを育てる

先生が周りの大人を頼り、チームで問題を解決していく姿をオープンに見せることは、子どもたちに対する一つのお手本になります。

クラスの中にいる子どもたちもまた、日々の生活の中で「みんなと同じようにできない」「困ったな」という悩みを抱えています。
そんなとき、担任である先生自身が「みんなで相談しよう」と軽やかに周囲を頼る姿を見せることで、子どもたちは困ったときには、誰かに助けを求めていいという安心感を学びます。

大人が裏でこっそり処理するのではなく、お互いに頼り合って生きていこうという姿勢をオープンに提示すること。先生が「助けて」と言えるしなやかさを持つことが、子どもたちの間に誰にでも優しくなれる関係性と、互いを支え合う温かな文化を育んでいくのです。

一人で完璧なスーパーティーチャーを目指す必要はありません。先生自身が周りとつながり、みんなで子どもを包み込んでいきましょう。

石井 雄大(いしい ゆうだい)

埼玉県公立小学校


公立小学校教諭。教育学者。中学時代の入院がきっかけで教師を志す。大学院卒業後、教員となる。
全国の教育関係者と繋がりながら、日々の教育実践を理論化し、広く世の中に貢献したいと考えている。
執筆活動や学会発表などを精力的に行なっている。
業績等

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