私たちは、相手とかかわるとき、あるいは相手に何か伝えようとするときに、どのように表現しているでしょう。「目は口ほどに物を言う」と言われるように、言葉だけでコミュニケーションを取っているわけではありません。しかし、子どもたちが、そういったことを知識としてもっているかというと、そうではないようです。相手や周囲から、「謝りなさい」と言われて、不貞腐れた態度で「ごめん」と言っている子どもを見かけた経験はないでしょうか。そして、「謝ればいいというものでなはないでしょ!」とさらに叱られている子どもを見かけたこともあると思います。
では、ノンバーバルな表現(言葉以外での表現)を、どのように意識していくべきなのでしょうか。知っておくべきことを、整理してみようと思います。
漫画の3コマ目以降をご覧ください。まず、相手との距離の取り方に気を付けることが大切です。身体の距離は、お互いが腕を伸ばしても触れない程度にすべきです。親しいからといって、あるいは幼い子どもだからといって、近過ぎる距離で話すのは好ましいことではありません。人と人との間には、適切な距離が必要なのです。それは、心の距離感とも繋がります。心の距離感は、後述する言葉のチョイスにも関わりますので、心に留めておいてください。
次に、身体の向きにも注意が必要です。相手と正対して話すのは、緊張を伴いがちです。90度か、それより開いた角度で話すと、話しやすいです。場合によっては、横に並んで話すこともよい結果を生みます。特に自閉的な傾向のある子どもに対しては、横に並んで方向性を示しながら話すことが効果的だといわれています。
それから、態度や仕草にも気を配りましょう。仕事の話をするのか、プライベートな話をするのかでは、表現の仕方が違ってくると思います。そうであっても、相手に不快な思いをさせない態度や仕草を、常に心がけるべきであることは言うまでもありません。
また、視線をどこに向けるのか、表情でどのように気持ちを表そうとしているのか、そういったことにも意識を向けてほしいと思います。相手を正面から直視することは、自分にとっても相手にとっても、息苦しさを感じることが懸念されます。面と向かって話す必要があるときにであっても、視線を少しだけ下に落とし、口元の辺りを見つめることが気持ちを和らげるコツになると思います。
最後にセリフについても、考えてみましょう。同じ言葉を発したとしても、言い方によっては誤解を与えてしまいます。優しい言葉はふんわりと、自分の主張ははっきりと伝えていきましょう。目上の人に対しても、タメ口をきくような風潮が見られます。自分自身にも反省すべきところがあるのですが、教師と子どもの関係が、友達のようになっていることも多いように思います。たとえ親しくても、心の距離感をもって接していくのは大事なのかもしれません。
荒畑 美貴子(あらはた みきこ)
特定非営利活動法人TISEC 理事
NPO法人を立ち上げ、若手教師の育成と、発達障害などを抱えている子どもたちの支援を行っています。http://www.tisec-yunagi.com
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