2019.04.17
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

Let's enjoy Social skills ! ~ソーシャルスキルを学んでみませんか?~(vol.1)

特定非営利活動法人TISEC 理事 荒畑 美貴子

社会が変化し、人との関わり方も変化してきました。家族の人数が減り兄弟の数も減ったことで、個性がぶつかり合ったり、ぶつかったときにクッションになったりする経験が激減しました。社会の中での関わりも減り、人間関係を学ぶ場所として学校が担う役割が増大してきたことを痛感しています。

私たちはずっと家の中で暮らすわけにはいきませんし、引きこもって暮らすことが好ましいことだとは思えません。また、ひとりぼっちで山奥や孤島で暮らすことを選択できるのは、限られた人だけです。一歩外に出れば誰かと出会い、社会とつながっていく。それが人生なのだと思います。そして、関わることが面倒に思うことがあっても、関わることで楽しさや嬉しさを共有し合い、悲しさや苦しさを癒し合うことができれば、生きるエネルギーが湧いてくるのではないでしょうか。関わることで幸せな気分になれるとしたなら、相手と良好な関係を築くことに挑戦するのも、悪くないのではないでしょうか。

そうはいっても、簡単なようで難しいのが人間関係です。私は、国語や算数などを勉強するより、相手との円滑な関係を維持していく方が、何倍もややこしいのではないかと思っています。学校の勉強といわれるものは、言うまでもなく大切なのですが、それらは努力によって克服できることもあります。たとえ算数ができなくても電卓の使い方がわかれば計算はできますし、漢字がわからなくてもスマホやタブレットが助けてくれます。しかし、人間関係のための辞典はありません。もしあったとしても、それを使えばうまくいくとは限らないのです。人との関わりに正解はなく、相手やシチュエーションが変われば、想定していた手法が役に立たないこともあるからです。

では、人との関わり方をどうやって学んでいけばいいのでしょうか。ひとつにはコツを知っていること、もうひとつは基本的な場面での手法を練習しておくことだろうと思います。人間関係を築くのに何が大切かを知り、どうやればいいのかを試しにやっておく。そうすることで実際の場面でも、それを活かせるのです。

ただ、関わり方の学びは、一朝一夕にできることではありません。一度練習したからといって、必ずしも成功するわけではないのです。大人であっても失敗することがあるのです。ですからこの学習には、失敗を成功に変えようとする力、成功体験を次に生かす力も求められます。人間関係の学習は、まさに生涯をかけての学習だと思います。

人との関わり方のコツを、一般的にソーシャルスキルと呼びます。スキルとは「技能」を意味しますが、私はそこに関わり方の知識や心の持ち方も含めて捉えていこうと考えています。難しいけど、知っていれば役に立つ。知っているからこそ磨くことができる。そんなソーシャルスキルを、これから一緒に学んでみませんか?

荒畑 美貴子(あらはた みきこ)

特定非営利活動法人TISEC 理事
NPO法人を立ち上げ、若手教師の育成と、発達障害などを抱えている子どもたちの支援を行っています。http://www.tisec-yunagi.com

同じテーマの執筆者
  • 松井 恵子

    兵庫県公立小学校勤務

  • 松森 靖行

    大阪府公立小学校教諭

  • 鈴木 邦明

    帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師

  • 川村幸久

    大阪市立堀江小学校 主幹教諭
    (大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年)

  • 髙橋 三郎

    福生市立福生第七小学校 ことばの教室 主任教諭 博士(教育学)公認心理師 臨床発達心理士

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop