必見!道徳授業のアイテム
今回は、私が道徳授業で活用しているアイテムを紹介します。全国的によく紹介されている物もありますが、今回紹介するアイテムを使うと授業技術はもちろんのこと、子どもたちが道徳的な課題を「自分事」として捉えやすくなります。ぜひ、何度も見返して作成していただくことをオススメします。
東京都公立小学校 主任教諭 柿原 健吾
①感想交流カード
1つ目は、「感想交流カード」です。これは、主に資料の範読後に使用します。以前、私はどうしても道徳が国語的な授業になってしまうことが悩みの一つでした。特に高学年にもなると、内容が複雑になったりボリュームが多くなったりしますよね。道徳的価値となる「大事な部分を押さえなければ…」となると、どうしても人物の言動や内容の事実だけを聞きがちになってしまう授業をしていた過去があります。道徳資料は当然のことながら、単なる読み取りではありません。「どうにか一発で教材を理解させる方法はないだろうか」と悩み続けていたところに、私が所属する教師道場で知ることができました。
子どもたちにとって、教材で心に残る部分は大体は同じでありますが、この「感想交流カード」を使うことで、教材に浸る時間を取ることができます。全体で感想を共有したり問いが立ったりして面白いです。また、自然と自分の経験とも重ね合わせて話す子もいるので、授業に活気が出てきます。発問に入る前に教材に浸らせて、内容理解は全員を同じ土台に立たせてから発問に入りたいですね。
②心情メーター
2つ目は、「心情メーター」です。
この教具は、ご存じの先生が多いのではないでしょうか。
ハートの形をした「ハートメーター」もありますね。
主に、子どもたちが自身の心情の様子を可視化したり、友達との考えの違いに気付かせたりする際に使用します。
多様な考えを、視覚的にも共有しやすいですね。最近では、ICTのソフトに組み込まれているものも多く、数値でも表せるようになってきているので、そちらを使ってもよいです。
「心情メーター」は意思表示になるので、子どもたちにとっては、道徳的な課題をグッと考えたくなることでしょう。
③気持ちカード
主に低学年で、視覚優位の子たちのために使う場合があります。
私の学級にはよく、聞いただけでは理解できない子たちがいるので、その際に挿絵や子どもたちの発言の横に貼り付けておきます。
この「気持ちカード」は、教材理解をする際のみに留め、他では使用しません。
というのも、低学年の子ほど、感情が挿絵に引っ張られやすく残りやすいので、自己を見つめる時間や議論をする際にはそのまま未使用で授業を進めます。
他教科や学級会などでも使用できるので、道徳に限らず、それぞれの「気持ちカード」が複数枚あると便利ですよ。
④発言ボール
発達段階を問わず、誰が話しているのかが分かり、発言する児童が自覚を持てるよう活用しています。ボールでなくても、何かおもちゃのマイクでもいいかと思います。発言した後は、次の人や聞いてみたい児童に手渡してもいいですね。ちなみに、議論させたい場合は、机や椅子を取っ払って円になって行う方法がよいです。これは、1年生にも6年生にも聞いたところ、「机や椅子がないと、顔も見えて安心するし近くで話せるからいい」という声が大多数でした。物理的な排除をすることもまた、議論を活発にさせる手段の一つなのです。
いかがでしたでしょうか。
どれもすぐに準備ができる物ばかりなので、ぜひ授業内で活用してみてください。また、私はデジタル教科書は使わないので、毎回の資料の挿絵をファイルに保存しています。こうすることで、次年度に誰が担任になっても、授業準備の手間が省け、働き方改革にもつながります。何よりも負担がなくていいです。ワークシートもデータとともに残しておくと、次年度の先生からはとても喜ばれます。
柿原 健吾(かきはら けんご)
東京都公立小学校 主任教諭 道徳推進教師
全学年の担任を複数回行い、単学級の小規模校、1学年4学級の大規模校まで幅広い経験が最大の武器です。
道徳を専門としたきっかけは、6年生を担任している際に、本音で語り合う子供たちの姿に心を打たれて道徳を学び始めました。
道徳は、子供たちがよりよく生きるための「種まき」です。
授業のことはもちろん、組織として取り組むべき子供たちの心の育成について共に考えていきましょう!
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