道徳を楽しく、身近であるために
子どもたちの心の礎となる道徳教育。その中でも基盤となるのは、やはり授業であることは否めません。ご存知の通り、道徳科は数値で評価をすることはできません。しかし、私は他教科と同じように目に見えた、分かりやすい評価がせめて「授業者」だけでもできるのであれば、「少しは意欲的に、楽しくできるのになぁ」と感じていました。
そこで、今回は研究授業ではもちろんのこと、日頃から使える道徳科の授業評価シートを紹介します。これまでの50回以上の研究協議会などで、必ず話題に挙がる視点だけを洗い出して作成しました。100点満点で、尚且つ授業レベルも確認できるので、ご参考にしていただければ幸いです。
東京都公立小学校 主任教諭 柿原 健吾
「わくわく動徳授業シート」
~教師も子どもも道徳性を見つめよう~
私は、道徳を専門とした頃から「道徳から動徳へ」というテーマを掲げて、日々の授業に向き合っています。
授業で扱った内容が、子どもたちの日常生活において、本当の「徳」として身に付いてほしいという思いからこのテーマにしています。
この理由から、授業者も子どもたちも、楽しさを感じてほしいという願いを込めて、「わくわく動徳授業シート」と名付けました。
1項目につき、5点満点×20項目で100点満点となっています。
授業評価の5つの基準
- 1点…インプットしよう→参考書を読んだり先輩教員の授業を見たりして、技を盗もう。
- 2点…もう少しね→もう一歩、技術を上げる必要がある。録画したり発問を練り直したりして、改善しよう!伸びしろ満載!
- 3点…できてるよ→標準レベル。子どもたちにとって、道徳が楽しいと垣間見える授業。事足りてはいるが、もう一歩「自分事」として捉えさせるためにレベルを上げたい。
- 4点…すごくイイ!→楽しい道徳の授業であり、子どもたちが毎週の道徳を楽しみにしている。教材内容から「自分事」として考えたくなる技を持ち合わせている。校内で、道徳の先生と言えば、あなたに決定!
- 5点…惚れちゃう!→文句なしの素晴らしい指導技術!若手教員はもちろんのこと、どの先生にも真似してほしい。子どもたちが自然に授業へと誘われている。
いかがでしょうか。上記のような感じで、私なりに楽しく、前向きになれるような点数基準にしました。例えば、1点であると、「頑張ろう」や「もう少し」といった言葉が思い浮かびそうですが、頑張っていない先生はいらっしゃいませんし、前向きになれる視点であってほしいのでプラスの面を意識して作成しています。
道徳授業レベルを要チェック!
~総合評価~
さぁ、全20項目の合計得点を出してみましょう!
直近の道徳授業を振り返ってみて、何点でしたでしょうか?
以下に、道徳授業レベルを示しましたので、チェックしてみてください。
☆20~35点
→道徳の旅人(道徳の世界を歩き始めた先生)
☆☆36~50点
→道徳の冒険家(道徳的な冒険を楽しんでいる先生)
☆☆☆51~70点
→道徳の探検家(道徳の奥深さを探求している先生)
☆☆☆☆71~89点
→道徳の達人(道徳的な経験を豊富に持つ先生)
☆☆☆☆☆90~100点
→道徳のレジェンド(全国どこでも通用する先生)
「星、4つです!」なんていきなり取れていたら、目の前の子どもたちは幸せですね。星5つなんていうレベルができる先生は、なかなかいないかもしれません。でも、どんな授業でも、参観者が増えれば増えるほど、課題があって当然です。大切なことは、「先生と子どもたちで、授業がつくられているか」です。
大人が議論したくなる授業であるか
大人が考えたくなるような授業内容でなければ、やはり子供たちにとっては何も響きません。「一緒に考えたい!」「〇〇さんは、何て言うかな」などと感じる授業を組み立てていきましょう!
実際に、校内の先生などとフラットに職員室などで何気ない会話の一つとして話題にしてみるのがよいかと思います。大人でも話し合っても、「納得解」は異なるのが議論です。そこを授業の中で、少しでも意見を擦り合わせたり戦わせたりすると、楽しさが生まれるのではないかと、私は感じています。
柿原 健吾(かきはら けんご)
東京都公立小学校 主任教諭 道徳推進教師
全学年の担任を複数回行い、単学級の小規模校、1学年4学級の大規模校まで幅広い経験が最大の武器です。
道徳を専門としたきっかけは、6年生を担任している際に、本音で語り合う子供たちの姿に心を打たれて道徳を学び始めました。
道徳は、子供たちがよりよく生きるための「種まき」です。
授業のことはもちろん、組織として取り組むべき子供たちの心の育成について共に考えていきましょう!
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