2020.07.28
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「主体的・対話的で深い学び」を支える言語スキル-既習の学びをどういかす?-(No.7)

今、直面している新しい課題を乗り越えるために、これまでに学習してきたスキルを生徒自身がいかそうとしているーーこれが、「主体的に学習に取り組む姿」のひとつだと考えています。以前の連載では「読むこと」についてのスキルの積み重ねについてお話しましたが、今回は「話す・聞く」の領域についての取り組みをご紹介します。

小平市立小平第五中学校 主幹教諭 熊井 直子

これまでに学習したスキルを活用できる「場面」をつくる。

みなさんは日頃、どのような視点から文章を読んだり話を聞いたりしているでしょうか。私はいつも、「この人は何の目的でこのような説明をしているのだろうか」「その目的に対してこの説明の仕方や言葉の選び方は適切だろうか」という視点を意識しています。文章を書くにも、話をするにも、読み手や聞き手に対して何らかの影響を与えたいという「目的」があります。その目的を達成するための構成や表現であるかどうかを吟味・批評する視点をもつことで、自分自身が文章を書いたり、話をしたりする時にいかすことができます。この点を意識して授業することで、生徒が既習の学びをいかすきっかけを作ることができると考えています。


説明的文章の学習をスピーチへ活かす。

光村図書1年生の教材に「ダイコンは大きな根?」「ちょっと立ち止まって」というふたつの説明文があります。このふたつは、序論・本論・結論の構成も捉えやすく、本論の説明にも、読者をひきつける説明の工夫が見られます。

例えば「ダイコンは大きな根?」。以下のように、第2段落から第9段落までの本論で、問題提起に対する答えをふたつのものを比較しながら説明するという構成が2回繰り返されます。そこで説明された知識を日常生活でどのように活用できるか、という点にも触れられています。

「ダイコンは大きな根?」文章構成

また、「ちょっと立ち止まって」では、以下のように第2段落から3枚の絵の説明がそれぞれ具体的になされると共に、それぞれの絵の見え方の具体例も示されているのが特徴です。

「ちょっと立ち止まって」文章構成

この2つの文章の学習をした際、これから自分が文章を書いたり、話をしたりする時に、筆者のどのような工夫を参考にするか、ということについてまとめを行いました。すると以下のような点が挙げられました。

 ・問いを立てて、それに対する答えを示す。

 ・読み手や聞き手が何を知りたいかを考える。

 ・読み手や聞き手に関係のある話とつなげる。

 ・ふたつのものを比べながら説明する。

 これをふまえ、次の単元では「好きなものを紹介する」というスピーチを行いました。その原稿を考える際、こちらが指示をしなくても「ダイコンは大きな根?」や「ちょっと立ち止まって」の文章を読み返している生徒が多くいました。このように、文章の内容を読み取るだけでなく、文章の書かれ方を分析する視点をもたせることで、既習事項を自主的に学習に活かすことにつながります。連続した単元でなくても、これまでに学習した内容を振り返りながら課題に取り組めるようなしかけを今後も作っていきたいと思います。

おわりに

今回は、既習事項を異なる領域の単元にいかすための取り組みをご紹介しました。どのような言葉の力をつけるために今この学習をしているのか、という点を意識しながら授業を行うことで、繰り返し使える言語スキルの定着に結びつくと思います。単元の作り方や振り返りの仕方を工夫しながら、既習事項をふまえた授業づくりを行ってみてはいかがでしょうか。

熊井 直子(くまい なおこ)

小平市立小平第五中学校 主幹教諭
英語もできる国語の先生を目指しています。2016年度に1年間フィンランドの高校で国語の授業を研究していました。英語教育に力の入る今だからこそ母国語教育のあり方を今一度よく考える必要があるのではないかと考えています。

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