2020.04.01
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「主体的・対話的で深い学び」を支える言語スキル -学級&授業開きは対話を練習するチャンス!-(NO.1)

前回までは「生徒の読解力を高めるためにはどうしたらいいか」を中心に「読むこと」に関する授業のご紹介をしてきました。今回から半年間、全9回の連載では、「話すこと・聞くこと」の領域に焦点をあて、その中でも特に「対話」や「話合い」についてお話していきたいと思います。

小平市立小平第五中学校 主任教諭 熊井 直子

話合いは自然にできるわけではない。学級をつくるための「話合いのきまり」

 「主体的・対話的で深い学び」が新学習指導要領のキーワードになっていますが、「対話」を効果的に進めるための工夫を皆さんはどのように行っているでしょうか。司会者の台本を作ったり話合いをする上でのきまりを作ったりと、様々な方法がありますが、「話合いをさせたことがない」「生徒を動かすのが苦手である」という先生もいると思います。

 私が国語科の教員になったのは平成20年度。ちょうど現行学習指導要領が施行間近の時期であり、言語活動が重視され、都立高校の推薦入試で集団討論が導入され始めた頃でした。それまで自分が受けたことも行ったこともない「話合い活動」を、どのように指導していけば良いか試行錯誤を続ける中でわかったことが二つあります。

それは、

①話合いは自然にできるわけではない。

②話合いの指導が学級経営を支える。

ということです。

課題を与えて「さあ、これについてグループで話し合いましょう!」と言っても、どうしても国語が得意な生徒に発言が偏ったり、日頃あまり話したことがない生徒とは活動が気まずくなってしまったりします。でも、どのような発言を意識すると良いかを指導するだけで、全員が活発に・・・とまではいかなくても、困った時の対処の方法を知ることができます。また、日頃あまり話したことがない生徒とも話合いをすることが「当たり前」という雰囲気をつくることによって、気まずい空気も乗り越えなければならなくなります。話合い活動は、学級の人間関係形成に関係する活動なのです。だから、このような話合いの場づくりを、国語という言語活動の技術を教える教科でしっかり指導をしておけば、日頃の学級活動や他教科の授業での話合い活動に活かすことができます。

学級開きや授業開きにおすすめの「お見合いタイム」

そんな話合い指導の最初に私が行うのが、メンバーを変えながら行う1対1の対話です。

話合いが苦手な生徒の不安は、「何を言っていいかわからない」「話に入っていけない」「自分の考えを伝えるのに時間がかかる」などだと思います。これはまとめると、「自分の話を相手に聞いてもらえない」ということです。でも、1対1であれば相手の話をきちんと聞かなければ対話ができないので、自分の話を絶対に聞いてもらえます。だから、人と話すことに恥ずかしさを感じる生徒や、複数での話合いにはなかなか入っていけない生徒でも、対話へのハードルが下がります。

また、「自分で二人組を作りなさい」という指示を出すと、どうしてもこれまで小学校が一緒だったりクラスが一緒だったりした話しやすい相手とペアを作ることになります。こうしたグループづくりが目的に適している時もありますが、特に学級開きや授業開きなどの人間関係がまだ固定していない時期は、教員がグループ分けをした方が学級のいろいろな友達と話をするきっかけをつくることができるのでおすすめです。私が意識しているのは、

  • 教員自身も生徒の人間関係を気にしないで分ける。
  • グループは固定せず、1~2分でどんどん回す。
  • 話につまった時の切り抜け方を示したり考えさせたりする。

の3点です。

進学、進級したばかりの時期というのは、これまでの自分をリセットして新しく頑張ろうという気持ちをもちやすい時期であり、これからのクラスや人間関係がどうなっていくのか期待と不安の両方を感じている時期でもあります。この時に、できるだけいろいろな人と上手に話す方法を教え、練習させてあげたいと考えています。

〈指導の実際〉

①隣の人と机を向かい合わせにする。

②1分間テーマを与えずに対話をさせる。

③1分たったら机をもとに戻し、感想を共有。

④もう一度机を向かい合わせにし、右側の生徒が前にひとつずつずれる。

⑤時間と雰囲気を見ながら繰り返す。

ここでのポイントは「③1分たったら机をもとに戻し、感想を共有。」です。この時に、上手に話せたと思うペアにどんな工夫をしたかを聞きます。すると、主に、次の三つが出て来ます。

  • 相手の話をうなずいたりあいづちを打ったりしながら聞く。
  • 相手の話に対して感想を言ったり質問をしたりする。
  • これから楽しみなことなど共通の話題を探す。

うまくいかなかったところは、これを参考にしてもう一度ペアを変えて挑戦し、2回目が終わったら「前回よりもうまくいったかどうか」を聞くと良いです。そのとき、「うまくいった」という生徒には「何を意識したか」を聞きます。そうすることで、うまく対話を進めるための方法が学級全体に定着していきます。

また、この時テーマを教員が与える場合もありますが、私は最初の導入ではできるだけテーマを与えず、自由に話をさせるようにしています。生徒に自発的に話題探しをさせることで、授業の外でも生徒がこの活動を活用できるようにさせたいからです。場合によっては、対話が終わったあと、「どんなことについて話したか」を聞き、それを全体で共有することによって他の生徒がすることができるので効果的です。

終わりに

今回は、学級開きや授業開きに役立つ対話スキルの指導についてご紹介しました。「お見合いタイム」は、10分から15分程度でできるので、新年度の最初の活動のひとつにいかがでしょうか。次回からは、「お見合いタイム」から始まり、どのように話合いのスキルを段階的に指導していくと良いかについてご紹介していきたいと思います。

熊井 直子(くまい なおこ)

小平市立小平第五中学校 主任教諭
英語もできる国語の先生を目指しています。2016年度に1年間フィンランドの高校で国語の授業を研究していました。英語教育に力の入る今だからこそ母国語教育のあり方を今一度よく考える必要があるのではないかと考えています。

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