戦略的思考〜同じ学級=「友だち」ではない!最初は仲間! 〜(5)
今期も担当させていただくことになりました。が、今期の連載で私の連載も最終になります。今期は「戦略的思考」をテーマに、学級づくり・授業づくりについて綴っていきます。深い学びを実現するにも、より良い学級を実現するためにも
「戦略的思考」は必要不可欠です。
ブログ毎日更新中
※戦略的思考の書籍化のオファー、待っています!
京都教育大学付属桃山小学校 樋口 万太郎
新学期初日、
白石さん「先生、私たちもう友だちになったの」
衛藤先生「今日からみなさんは四年二組の友だちです。1年間共に学び合いましょうね」
私は白石さんと衛藤先生の言葉に違和感全開です。みなさんはそんなことないですか。
みなさんには友だちが何人いますか。私は角谷、田中……と数名しかいません。学級の子供たちに伝えると「少なっ!」といつも驚かれます。
でも、知り合いはたくさんいます。研究会の仲間はたくさんいます。学校にも仲間はいます。とてもステキな先生方に囲まれています。でも、友達は少ないのです。
新しい学級は1つの教室という箱に同じ学年の子たちが30~40人集まられたグループです。学級のメンバーは教師が決めたもので、自分たちの意図はありません。つまり、自分たちで選ぶことのできない、偶然的な人間関係からのスタートです。
これは4月1日の職員室でも同じことが言えます。異動があり、新たなメンバーでスタートします。そんな初日に、他の先生方のことを友だちと思いますか。思いませんよね。同僚とは思いますが、友だちとは思いません。これと同じことだと思うのです
私は「友だち」「仲間」を
友だち……信頼関係がある間柄
仲間……何かを一緒にする間柄
と考えています。最初から学級の中で信頼関係があるわけではありません。昨年度、同じ学級の子達、家が近所の子達、幼馴染の子達の間には信頼関係があるから、友だちと言えるのかもしれませんが、新学期の初日に学級全員が友だちと言うことはあり得ません。
そして、学級全員と友だちになれるとは思っていません。
合う人、合わない人がいます。性格の一致、不一致もあります。大人でもそうです。どうしても仲良くなれない人はいます。だから、学級全員と友だちにならなくてもいいと思っています。
だからといって、友だちになれない人に意地悪をしてもいいわけではありません。困っているときに、見捨てていいわけではありません。同じ学級の仲間として、助けたり、協力し合ったりしないといけません。表情や態度にも出してはいけません。休み時間の友達関係と授業中の友達関係は別物として行っていかないといけません。
こういった話は、樋口学級では必ず子供にします。そして保護者にもします。
私がこのように考え、子供たちに伝えるには理由があります。それは「友だち」という言葉には、相手を批判したらダメというような雰囲気を感じる時があるからです。本当に信頼関係があるのなら、相手から批判されてもビクともしないはずです。
でも、子供たちの定義の友だちでは、子供たちは傷ついて、喧嘩が起こってしまいます。逆に友だちだからと相手の顔色を伺い、批判をしない子もいます。
これではお互い成長できません。授業では批判をすることで、学びが深まることがあります。
だから、今の関係ではまだ友だちとは言えないんだということに子供自身が気づいてほしいのです。その上で授業の中でお互いの成長のために批判するように我々教師が促していく必要があります。
そして、子供たちには信頼関係を築き、仲間から友だちになってもらいたいのです。

樋口 万太郎(ひぐち まんたろう)
京都教育大学附属桃山小学校
みんなが「わかる」「できる」、そして「楽しい」授業を目指し、目の前にいる子に応じた指導を行っています。キーワード「学級経営」「算数」「タブレット端末」。
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