戦略的思考〜テスト範囲を知らせていますか〜(3)
今期も担当させていただくことになりました。が、今期の連載で私の連載も最終になります。今期は「戦略的思考」をテーマに、学級づくり・授業づくりについて綴っていきます。深い学びを実現するにも、より良い学級を実現するためにも
「戦略的思考」は必要不可欠です。
※戦略的思考の書籍化のオファー、待っています!
京都教育大学付属桃山小学校 樋口 万太郎
質問です。来週火曜日に算数のテストを行います。子供たちにテストがあることやテスト範囲をいつ知らせますか。
中学校では、中間テストや期末テストの前には、テスト範囲などをしっかり提示されます。私は1週間前の火曜日に伝えるようにはしています。
なぜなら1週間の間にしっかりとテスト勉強をしてほしいからです。
とはいっても、コツコツとテスト勉強をしているのは、学級のごく一部でしょう。なぜコツコツとテスト勉強をしないのでしょうか。
- テスト勉強をしなくても点数が取れる
- テスト勉強をするのが面倒くさい
- テスト勉強をする習慣がない
- テスト勉強の仕方がわからない
といった4つの理由があると考えます。この中で3つ目と4つ目の理由を心配しています。
テスト勉強というと中学校の中間テストや期末テスト、受験勉強というイメージがあるかもしれません。小学校では早いと思われる方もいるかもしれません。
では、いつテスト対策の仕方を学ぶのでしょうか。対策の仕方は学ばないのです。私自身学んだことはありません。みなさん教えたことがありますか。
そこで、「テスト勉強の時間を授業で取る」という戦略です。時間の関係で、全てのテストに対してできるわけではありません。ただ、テスト勉強の仕方さえ身につけば、あとは一人でもできるはずです。
たくさん問題を解いて理解する子もいれば、書いて覚える子、声に出して覚える子など、私はテスト勉強の仕方は人それぞれだと考えています。理想はそういった姿ですが、まずはその第一歩として、グループでテスト勉強の時間をとったこともありました。
私の学級では、
- 3人班もしくは4人班
- プリントを何種類も用意しておく
- わからないことがあればグループ内で質問する
- 班のメンバーが全員わかる、できるように助け合う
- ホワイトボードや計算用紙を使ってもいい
- 答え合わせは自分でする
というルールで行なっています。
このとき先生は、班をまわり、アドバイスするようにしています。ただ基本的には口を出さないようにしています。
グループで行うことで、関わり合う機会が増えます。自分が苦手なところや間違えているところを言いづらい子もいることでしょう。なかなかうまくいかないこともあるでしょう。そこで、この時間の最後には、
テスト勉強の取り組みがどうだったのかをふりかえり
をさせます。自分の取り組み、そして友だちに対して助けることができたかという観点でふりかえらせます。この流れを何度か行っていくことで、仲の良さが深まり、よりうまくいくようになります。何事も経験が大切です。
そしてできればテスト直しも一緒に行いたいです・学級の子達には「間違いは宝」と、よく言っています。中には点数が知られたくないという子がいることでしょう。そんな時は、点数の部分を折って人に点数をみられないようにしてもいいと言っています。

樋口 万太郎(ひぐち まんたろう)
京都教育大学附属桃山小学校
みんなが「わかる」「できる」、そして「楽しい」授業を目指し、目の前にいる子に応じた指導を行っています。キーワード「学級経営」「算数」「タブレット端末」。
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