戦略的思考〜どんどん評価をしていこう!〜(2)
今期も担当させていただくことになりました。が、今期の連載で私の連載も最終になります。今期は「戦略的思考」をテーマに、学級づくり・授業づくりについて綴っていきます。深い学びを実現するためにも、より良い学級を実現するためにも「戦略的思考」は必要不可欠です。
京都教育大学付属桃山小学校 樋口 万太郎
(子供たちが一人で考えているとき)
「いいねぇ~。(ノートに小さな○をつける)」
(グループで話し合っているとき)
「いいねぇ~、おもしろそうだね~(親指をぐいっと上げた“いいね”ポーズ)」
みなさんは子供たちを評価していますか。評価というとマイナスなイメージがあるかもしれません。ダメなところを言われるとか、間違いを指摘されるとか…。もちろんそういう評価もありますが、それだけではないはずです。
この誤解は「反省をしよう」という言葉でも同様のことが起こります。評価にしろ、反省をするにしても、プラス面、いいところも言ってもいいはずです。
まずは私たち自身にこびりついている評価・反省に関するマイナスイメージを払拭しましょう。
子供たちが1人で考えているときには、教師は動き回り、プラス面の評価をどんどん行っていくことを勧めます。
「いいね」「すごいね」などと言うだけでも評価になります。子供たちが考えを書いたノートに小さく◯をすることも効果的です。この時、全員に丸をつけます。1時間通して全員ではなく、一つの活動で◯をつけていくのです。
例えば3分で学級全員35人を見るとしたら、一人にかけられる時間は約5秒です。倍の時間をとったとしても10秒です。そんな短い時間でそんなの無理でしょ!と思われるかもしれません。
もちろん普通にしていたら無理です。だから、授業中は内容を詳しく見ないで評価する、という戦略です。
そう書くと適当なの!?と思われると思いますが、適当ではありません!子供たちの考えをパッと見て、途中だったらその先に書きそうなことを予想して評価するのです。考えを全て書いているときには、全体から見て評価するのです。
これは教材研究をしっかり行っていないとできません。普段の子供達の様子をしっかり把握していないとできないことです。子供たちに問題文を写させているときには、ノートに一文字でも書き始めていたら、その一文字から今後を予想し、評価をし、○をします。○以外はしません。
「う~ん」と思うようなときには、声かけをして直させ、後で○をします。
直させているときには、他の子を評価しています。声かけも評価です。
「本当にそれだけかな」「いい感じだね~」「その考え、ステキ!」
「お、もう少しで解けそう」「頑張っているね~」「いいね~」
と、どんどん子供を評価し、声かけをしていきます。勉強が苦手な子、発表が苦手な子はこれだけで勇気がもらえます。頑張って解いてみようかな、発表してみようかなという気持ちになるかもしれません。
私はこれまでに土日の宿題に日記を出していたことがあります。月曜日、子供たちは日記を出すわけですが、基本的には月曜日のうちにコメントを入れ、返すようにしています。
コメントは長々とは書きません。短いです。その代わり、1週間のうちに日記で書かれていた話を子供たち全員とするようにしています。
そうすることで、「先生は私の日記をしっかり読んでくれているんだ」と子供たちは感じてくれることでしょう。だから評価を長々と書く必要はありません。
校内研究会の講師として授業を見ているとき、一人で考える時間に、子供たちの机の間を歩く先生を必ず見かけます。子供たち一人ひとりの様子をメモしている先生もいます。そのメモ、普段から書いているのかとても疑問です。
研究授業の時だけに行うメモって・・・・。
そのメモをこの後の時間でうまく活用することができていないことも多いです。その様子を見ていると「普段していないでしょ!」と思うようなときもあります。何か先生の姿が不自然に見えます。
普段からしていないのであれば、研究授業でも私はする必要はありません。研究授業という特別な場かもしれませんが、普段から行なっていることしかできません。
ただただ歩いているだけで散歩のようになっている先生も見かけます。とても気になります。
なんのために歩き回るのかを考えて欲しいです。私は評価のため、そしてサポートするためです。
短時間で学級全員を評価するために自分自身の頭の中は超アクティブです。授業中アクティブになるのは子供だけではありません。先生もアクティブにならないといけません。

樋口 万太郎(ひぐち まんたろう)
京都教育大学附属桃山小学校
みんなが「わかる」「できる」、そして「楽しい」授業を目指し、目の前にいる子に応じた指導を行っています。キーワード「学級経営」「算数」「タブレット端末」。
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