「話し合い×ICT」の可能性(後編)
今回は前回に引き続いて後編を書きたいと思います。
前回は、「おたずね」の重要性について最後に書きましたが、なかなかうまくいかなかったという内容で終わっていたと思います。
明石市立錦が丘小学校 教諭 川上 健治
「おたずね」がうまくいかない原因とは
私が考えた「おたずねができない」根本の原因は、「友だちの意見を理解しきれていない」ということです。
それもそのはず。
グループトークをする際、例えば4人グループでグループトークをするとなると、自分以外の友だちの3人の意見を聞かなければなりません。
しかも、「言葉だけ」でです。
そもそも、「言葉だけ」でグループトークを成立させようとしていたところに問題があったわけです。
考えてみても大人の我々でさえも、自分以外の3人の意見を1回聞いただけで、「おたずね」をすることは結構ハードなものです。
それを子どもに求めていたことに原因があると考えました。
子どもからすると、「先生はおたずねしようというけれど、3人目の意見を聞くときにはもう1人目の意見なんか覚えていないよ」という感じでしょうか。
ロイロノートの「共有ノート」を活用
そういうわけで、「音声言語」だけにたよるのではなく「文字言語」としても振り返られる手立てが必要だと感じました。
そこで、私の自治体に導入されている「ロイロノート・スクール」(クラウド型授業支援アプリ)を使用することにしました。
このロイロノートには「共有ノート」という機能があります。
この「共有ノート」とは、グループ全員の意見がリアルタイムにみられるものです。
つまり、意見を入力している最中にも見ることができるし、もちろん、どんな意見を書いたかも即座に共有できるのです。
それを試してみてからというものの、やはり子どもたちはおたずねをする際に、ロイロノートの共有ノート内にある友だちの意見が書かれたテキストをしっかり再度見返していました。
そして、その意見が書かれたテキストをもとにおたずねをしていました。
おたずねをする材料さえあれば自分の意見とどこが違うのか、その友だちは何を伝えたいのかがより明確になります。
そして、子どもたちは今や、もう以前のようなグループトークには戻れません。
圧倒的に今のロイロノートの共有ノートを使ったやり方の方がやりやすいと言います。
時間もかからずに友だちの意見を可視化できるロイロノートの共有ノートは、おたずねをするには有効な手立てだと思います。
もし、読者の自治体がロイロノートを使えるのであれば、「共有ノート」是非おすすめです。
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川上 健治(かわかみ けんじ)
明石市立錦が丘小学校 教諭
クラスの全員が楽しく学び合い「分かる・できる」ことを目指して日々授業を考えています。また、様々な土台となる学級経営も大切にしています。
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