1 立ち位置
みなさんはどこの立ち位置で指導をしますか?
私が指導する位置は体育館の後ろの端です。
そこに「マイクを持ち、台本を開き、ペンを持ち座っています。」
なぜここにいるかというと、
「体育館の後ろの端まで声が響いているか」「表現している様子が後ろまで見えているか」を確認したいからです。
「みんなが一生懸命にしている姿が後ろの人まで見えなかったから残念でしょ?だから、先生は後ろからみているからね。」
と最初のときに伝えておきます。
私は基本的には「全然できていない!やり直し!」といった指導はしません。
(ふざけているときなどは別ですが)子供たちは精一杯しているからです。
子どもの声が小さいときには、やり直しはさせますが、
「おしいな!もう少し大きな声でいえれば、よりいいんだけどなぁ〜。どう思う?」
「~したほうがもっと上手になるんだけど、どう思う?」
「いいね!前より声出てる!もっとよくするために今の3倍声出ない?」
と子どもたちに提案し、判断させるような問いかけを行います。
だから「先生はこういう動きがいいと思うんだけど、どう思う?」と聞いたときに、
「この動きでいきたいです!」と言われたこともあります。私はそれでいいと思います。
自分で考えて、動くことが大事です。ちなみにこの子は私の提案した動きも取り入れてました。
私の提案を断っても、意識はしています。
ときには「おしいな~、○○すれば合格なのにー」と言ったりすることもあります。
長嶋茂雄?のような、「いいね〜」「そのビュッとした動きいいね〜」「めっちゃおもしろい!」といった擬音語を使ったり、抽象的な言葉を使ってどんどん褒めるようにしています。
2 すきま時間
劇では、全員がステージで演技をするということはほとんどありません。
役や場面によって、子供たちのなかで「すきま時間」が起きてしまいます。
そういったすきま時間をなくすために、劇にでない子たちは演じている子たちの様子を見させるということをします。
確かに見ることも学びの一つですが、「おしゃべりをしたり」「手遊び」をし始める子はいませんか?そんな子たちに対して、「しっかり見なさい」と叱ってしまう。叱られた子達は「見て学ぶ」ことの必要感を感じていません。
だから私は舞台で練習するチーム、フロアで練習するチームの2チーム制を組んでいます。
私は舞台をメインでみているので、フロアチームは自主練です。リーダーを作っておき、
リーダーを中心に協力して、練習をさせておきます。
3 表情豊かに
人前で表現するということはやはり恥ずかしいことです。だから、練習前には「声出し」をします。
声出しをします、先生のいった言葉を繰り返しなさい。
「おはようございます」
「こんにちは」
「さようなら」
「あいうえお」
「かきくけこ」
「さしすせそ」
「たちつてと」
ユニークな声出しをどんどんいれていきます。
「樋口先生」「イケメン」「かわいい」
「あこがれる」「すてき」
特に後半のユニークなほうではみんな笑顔になっています。
「みんな笑顔いいね。その笑顔を舞台では出したいんだよ。」
4 視線
子どもたちは恥ずかしかったりすると、下を向きがちです。だから、
「体育館後ろの時計をみなさい」と言っています。
体育の後ろの隅まで声を響かせるためです。
5 観客にお尻をむけない
基本的にはお尻を観客には見せない
と言っています。
「テレビでも芸能人は画面にお尻を基本的にはみせない。」
ということも伝えます。
どうしても演技上で後ろをふりかえる場合は、45度が限界です。だから「観客席にみせるのは、お尻
の半分が限度です」と伝えます。
6 なぜ劇をするのか。
運動会と違って、目標を子供たちに持たせることが難しいように思います。
私の場合は、
「普段の学習の成果を発揮する場」「自分を表現する場」
と伝え、子供たちに考えさせます。
7 ビデオをとる
ときどき映像にとり、子供たちにみせ、ふりかえりをさせます
8 本番当日にいうこと
「先生は特にアドバイスはありません。
一人一人台詞の長さは違うし、出演時間の長さも違います。
しかし一人一人が主役です。だから目立ちなさい。自分を精一杯表現しておいで。
先生は舞台袖にいるので、今日はあなたたちの舞台をきちんとはみれませんが、
絶対成功し、みんなから拍手を受けることは間違いないです。」
「ただ先生はみんなのことを思いこの劇の台本を書いてきました。 みんなは練習をとてもがんばりました。120点です。」
9 その他
・主役を決めるときは、オーディションがいい。
(そのときは声の大きさ、視線、間など観点を事前に伝えておく)
・まずはセリフを暗記させる。
・ステージ上で台本はなし 教室はあり
・音楽など細かいところは最後に。まずは声をしっかりださせ、動きを大きくする。
・演者が恥ずかしがると、おもしろい場面がおもしろくなくなり、笑いがとれない。
・学習発表会モードだけにはならない。違うこともしておく。
・セリフや動きのアレンジは認める
ただし、劇のイメージが壊れるときは認めない。
・「本番は練習の成果の8割しか成果がでない。だから、練習の最終日に
120%まで仕上げておく。すると本番で96%の力がでるよ。」
ということを子供たちに伝える。
1回の練習ですべてをもとめない。スモールステップ!
樋口 万太郎(ひぐち まんたろう)
京都教育大学附属桃山小学校
みんなが「わかる」「できる」、そして「楽しい」授業を目指し、目の前にいる子に応じた指導を行っています。キーワード「学級経営」「算数」「タブレット端末」。
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