2023.05.17
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算数科の学習を通して「深い学び」を深く考える〜「活用性の学び」〜(第6回)

学んだことを別の学習に生かせたり、生活場面で活用できたりすることを、子どもたち自身がイメージできていることで、学びは深まります。学びを次にどう生かすかが重要なのです。このシリーズ『算数科の学習を通して「深い学び」を深く考える』も、今回が最後になります。「5学年 割合のグラフ」を例に挙げて、「深い学び」について深く考えていけたらと思います。

東京都品川区立学校 平野 正隆

活用性の学びは「深い学び」

これまで『算数科の学習を通して「深い学び」を深く考える』シリーズの中でも、活用性のある学習をいくつか紹介してきました。

算数科6学年 図形の拡大・縮小「校舎の高さを調べよう」(発想のある学び)
算数科5学年 割合のグラフ「『私たちの生活』統計調査発表会をしよう」(結合性の学び)

算数の問題を解くのは得意でも、実際の場面で算数を使うのは苦手な子も少なくありません。そのため、算数科において「活用する力」の育成により重点を置いた指導の充実が求められています。
そのためには、他教科や日常生活といった算数の授業以外の場面で、算数をどう生かせるか、教師自身がアンテナをはる必要があるかもしれません。
私の実践が少しでもお役に立てればと思います。

どんなことに子どもはつまずくのか

活用場面によって様々ですが、今回取り上げるのは、とある調査でも正答率が半分以下の問題です。○か×で答える問題です。
※問題は改変しています。

A小学校とB小学校では、算数が好きな人の数は同じだ。

比較する帯グラフの合計(総数)が異なっている場合、割合が同じでも絶対数が違ったり、割合が小さくても絶対数が大きくなったりすることがあります。見た目で判断できないことを取り上げ、全体や部分の数を確認することの大切さを実感させたいものです。

算数科の教科書各社を見ても、この学習に多くの時間を割いているものはありません。つまり、算数で学んでも、活用場面がなければ定着しないのです。

例えば、社会科の「国内の産業は、軽工業から重化学工業 へと変わった」ことに気付く学習で、せんい工業は 32%から 1%となったが、生産額は減ってしまったのかを問うことで算数の学習が生かされます。

まとめ

他にも、理科の実験で結果の平均値を出したり、国語の授業でグラフを使って自分の主張をしたりと、様々な場面で算数を活用させていくことが深い学びにつながると考えます。学びを生かせるという体験が、子どもたちの主体性を育み、学びをより確かなものに変えるのだと思うのです。

平野 正隆(ひらの まさたか)

東京都品川区立学校


研究会での実践報告や校内での若手教員育成などの経験を通して、自分の経験や実践が広く皆様のお役に立てるのではないかと考えております。大人・子どもに関わらず、「明日から頑張れそうです」「明日が来るのが楽しみです」と言ってもらえるのが私の喜びです。

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