先生にとっての 『何だかとても大切なもの』 保護者と一緒に歩み出せる、実りある面談・相談には、自分の持つイメージが大切かもということ (8)
前回は教室で面談・相談するときの机の配置など環境設定の話をしました。
今回は、面談・相談時の自分のイメージの持ち方の話です。
色々な考え方がありますのでこれはあくまでも一例です。自分の方法を確立できたら幸いです。
静岡市立中島小学校教諭・公認心理師 渡邊 満昭
相談室と教室との違いとは
相談は相談室で行うものと思う方も多いと思います。相談室はどちらかというと無個性ですよね。それは相談そのものに集中してほしいという願いのあらわれでもあります。相談室を使ってこそ進む話もありますし。
ですが、担任による面談・相談は、教室で行われることがほとんどです。相談室で行われることのほうがむしろ少ないのです。子どもたちとの相談は勿論のこと、私の場合は、保護者との相談も相談室を使うことはほぼありませんでした。
となると、教室という場でいかに実りある相談をするべきかということを考えたくなります。
教室での面談・相談は、相談室でのそれとは少し違った性格のものと考えています。教室にはその先生につながるものが必ずあります。だから教室ごとに感じるイメージが違います。構造はみんな同じなのに、不思議なものですね。
教室で話すときの自分のイメージはどんな人?
そんな教室で面談・相談をするとき、私たちはどのような自分のイメージを持ち、話すとよいのでしょう。
余り構えず自然体でいるのは基本だと思います。その先生の人となりやあり方は、教室が語ってくれます。だから肩ひじを張ったり、過度に自分を語ったりする必要もなさそうです。ただ、自分が保護者の立場で相談するとしたら、どのような人なら相談をしやすいのかなとイメージすることは、実りある相談のためには大事な気がします。
年を重ね、学業・仕事・子育て等を乗り越える中で、それなりに面談・相談の機会があったこと思います。だから、自分の相談をした経験から 一番話しやすかった、安心できた、示唆を得られた相手の姿を思い浮かべて、その方のようにあろうとするのも一つの方法だと思います。面談・相談には、自分の体験がかなり反映されるように思いますよ。
ではあなたが相談しやすかったのは、つぎのどなたですか。毎日顔を合わせる家族ですか、時々会う知人ですか、それとも初対面だけど確実に信頼できる方ですか。
自分の経験からすれば、余り身近すぎても話にくいものです。そこが子どもたちとの相談との違いだと思います。普段余り会わない人の方が、余計な気を遣わず話しやすいかも知れません。さりとて相手のことが全く分からないのは、やはり不安ですね。
市役所等の相談窓口の方々は相談しやすいなあと思うことがあります。どのような役目をされているか明示されているので、単刀直入に話ができます。「相談窓口」の名称を信頼してなのか、我ながらよく話してしまいます。
保護者の方々からすれば、我々先生とは「時々会う知人」のイメージでしょうか。ただそこには、子どもを通じてのつながりもあります。「時々会う、とても信頼できる知人」なら、場所はどこであれ、実のある相談ができるものと思います。
教室で行う面談・相談の場合その技術だけではなく、僅かながらであっても日々積み重ねてきた信頼が大きく関わるものだと思うのです。
渡邊 満昭(わたなべ みつあき)
静岡市立中島小学校教諭・公認心理師・学校心理士・環境教育インタープリター・森林セラピスト
いつの間にか、小中学校全学年+特別支援学級+特別支援学校+通級指導教室での担任を経験し、生徒指導主任+特別支援教育コーディネーター+教育相談担当経験も10年を超えていました。すると担任を離れたとたんに何かを忘れてしまって、担任に戻ってみると忘れていたことに気がつくということがたびたびありました。それはうまく言えないけど何だかとても大切なもの。先生を続けていくための糧のようなもの。
その大切なものについて、自分の実践と合わせお伝えしていこうと思います。
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