2022.08.23
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先生にとっての 『何だかとても大切なもの』ずばり教育相談の方法 相談・面談の時は相談者の目線で考えるということ (7)

誰もが学校に関わる経験があるのと同時に、誰もが先生と相談・面談をした経験をお持ちのはずです。それだけ私たちにとって相談とは必要不可欠なことです。ただ、ちょっと苦手だなという方もいるでしょう。でもね、こちらが勇気や元気をいただくこともあるんですよ。今回は、面談・相談をあまり区別せず、教室等で、保護者と話をする場面について少し考えてみましょう。

静岡市立中島小学校教諭・公認心理師 渡邊 満昭

「話せて良かった」教育相談を

教育相談とはなんでしょう。行政の各資料の定義には、助言や心理・教育的援助というこちら側からの言葉が見受けられます。加えて大切にしたいのは、相手にたとえわずかであっても「話せて良かった」と受け止めてもらえることだと思います。もちろん助言の必要性があると判断した場合は、私の側から話すこともありますが、それでも相手の受け止めの是非には配慮すべきです。

ただ、時間的に余裕がなかったりどうしても伝えたいことがあった場合、(自覚していませんが)ついつい私は一方的に話しているようです。「先生は話しすぎで聞いてない」と手厳しい子どもたちの声を、素直に受け止めるべきだなと時々思います。

相談者の視点に立ち自分も話しやすい環境づくりの大切さ

こんな机の配置はいかがでしょう

そこで、教室での面談・相談は、自分を保ち一方的な話しにならずにすむように環境設定をします。以下述べるのは、あくまでも教室での自分なりの方法です。

机といすは児童用の机といすを使って配置します。教卓は使いません。教卓とは先生の自我の延長上にある気がします。だから教室では、お互い同じタイプの小さな机の使用が相手とフラットな関係を築く上で良さそうです。一つは保護者のお子様の机を使うのも一案ですね。配置は、自分の気持ちが上がってしまうのでなるべく正面向かいを避けます。対面が必要なときは机を4つ出し、互い違いに座るようにしています(コロナ対策も兼ねます)。

また、光の方向にも気を遣います。窓を背にする方もいるのかも知れませんが、できれば自分も相手も顔が暗くならず表情が見えるようにしたいです。

自分の方法は、窓に向かってL字に机を組み合わせ、間にもう一つ机を置くというものです。これは、内省的な自分であっても落ち着けるので、多用しています。

ポイントは、雰囲気が対立にならないよう『視線を通わせる場所』を作ることです。間の机には子どもたちの工作やちょっとしたオブジェが並びます。話題作りで水槽を置いたこともありました。窓にも同じ役目を持たせています。

配置ができたら、相談者のいすにも一度座ってみましょう。相手の側に立ち自然な感じがすればなかなか良さそうです。

教室全体も子どもたちの日常がわかるようにしています。相談の主体は何よりも子どもたちですからね。先生のカラーの見える整った教室もよいですが、少々雑多でも子どもたちの主体的な活動の様子があちこちに感じられてこそ、相談もうまく進むのではないでしょうか。その意味で、相手が気を遣わないように自分の服装もいつもと同じです。

ただし、相談時間はあらかじめ伝えておくほうが賢明ですし、要望であってもできるできないは謙虚かつ誠意を持って答えておくべきだと思います。その上で、子どものために何ができるのかを一緒に考えるのも、教育相談の大きな役目なのですから。

渡邊 満昭(わたなべ みつあき)

静岡市立中島小学校教諭・公認心理師・学校心理士・環境教育インタープリター・森林セラピスト


いつの間にか、小中学校全学年+特別支援学級+特別支援学校+通級指導教室での担任を経験し、生徒指導主任+特別支援教育コーディネーター+教育相談担当経験も10年を超えていました。すると担任を離れたとたんに何かを忘れてしまって、担任に戻ってみると忘れていたことに気がつくということがたびたびありました。それはうまく言えないけど何だかとても大切なもの。先生を続けていくための糧のようなもの。
その大切なものについて、自分の実践と合わせお伝えしていこうと思います。

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