保護者と学校側が同じ方向を向けていない場合、どんな勘違いがあるのか?
今回よりエッセー執筆の機会をいただきました。
小学校で図画工作の専科教諭(現在育休中)をしているものです。
墨田区立八広小学校 教諭 遠藤 千裕
はじめまして
今回の執筆を通じて
「保護者と学校側が同じ方向を向けていない場合、どんな勘違いがあるのか?」
を考察していきたいと思います。
ベースとなる体験は主に、育休生活の中で出会う様々なママ友、パパ友そして児童館や子ども家庭センターの職員、ボランティア、町に住んでいる方々とのおしゃべりです。
今年度は、学校の先生以外の方とたくさん触れ合う機会を得て、
「自分がそう思っていたんだ!」もしくは、「学校以外の方からそう思われていたんだ!」など、
自分なりに見つけた新たな視点や気づきを得ました。稚拙ではございますが何かのお役にたてられたらと思い筆をとった次第です。
保護者と学校で異なる視点

先日、仲良しのママ友の5人とのおしゃべりで、こんな話題が出ました。
小学校の息子の忘れ物の頻度が高い。
朝、間に合えば学校に届けたりしている。
ただ、それだと本人のためにならないのでは?
一度、忘れ物があったとしても届けないで授業中に本人が課題を受けられず困った方が反省して今後忘れ物をしなくなるのかしら?
保護者として、同じお悩みを持った方も、少なくないのではないでしょうか?
そして、このサイトをご覧になっている多くの方は、教育関係の方だと思うので学校側でどのような対応、指導、その後の授業が行われているかもご存知かなと思います(もちろん対応は児童、先生方一人ひとりいろいろなやり方があると思います)。
きっとどの学校でも、忘れ物に対する指導と連絡帳等の対応はするものの、道具がないから授業に参加させないという指導は現在では行われていないはずです。
ここが、一部保護者の方に伝わりきれていないのかもしれないと感じました。
学校は、勉強だけでなく、生活習慣を含めた様々な「指導すること」が求められています。
しかし、年間の時数も余裕がなく、カリキュラムが学習指導要領で定められている以上、反省のために授業の活動に参加させずに「反省」させることが適切でないのは明白です。
児童の授業を受ける権利を侵すことになる上、後日別の授業の時間に呼び出して図工をさせることも不可能ですよね。
家庭側から見える課題:忘れ物が多い
学校側から見える課題:課題を通して、目標を達成させたいが(忘れ物が多く)スムーズに活動に入れない
学校の役割と家庭の協力
保護者の方々に、そもそも学校が何をしているのかを広く知らせることが、学校のやっていることをスムーズに進める解決策なのかなと思いました。
図工の授業を受ける児童は、絵の具が欲しいのではなく、絵の具を使った課題を通して配色の美しさや、色の特性を感じたり、味わったりすることで感性を刺激して最終的に人としてバランスの良い人格の完成に至りたい(はず)です。
自分自身、学校が何をやっているのか、伝えきれていない部分がまだまだあるなと感じた会話でした。
「ただ忘れ物をしないから親がフォローしなくて済む子」を目指しているのではなく、
「豊かな感性や、様々な技能、創造性のあるバランスの取れた子」を学校と家庭が一緒に目指して行けたらいいなと思いました。
同時に、忘れ物をなくすための作戦を一緒に考え実行できるような関係をご家庭ともスムーズに結べるようになって行きたいなと思います。

今回は、意見を求められたので
「学校では多くは、指導した後に予備の道具を貸与して授業を受けている(理由も伝えて)」
「もし本人に反省させたいから道具がない状態にしたい場合は事前に担任と相談の上作戦を立てて臨んだ方が良い」
かなと伝えておきました。
今の保護者の方が小学生だった時代と、令和の現代では意識や子ども観が大きく違います。
教育に関わる情報のアップデートするための発信や共有、アウトリーチ活動等も併せて行える教員になれたらな・・・と思いました。

遠藤 千裕(えんどう ちひろ)
墨田区立八広小学校 教諭
脱サラして教員になった育休中の教諭です。
一般市民、保護者、ママ友、ニュースの視聴者、地域の人間として 「学校」というものを俯瞰してみることを初めて経験しています。
ママ友との会話等を通して、学校側から見た時は理解できなかった「地域からのお言葉」や「保護者とのすれ違い」について、腑に落ちることが多くありました。
この経験を現場の先生方にもシェアすることで学校と周りの環境の摩擦係数を減らす方法を考えていけたらと思います。
ご意見・ご要望、お待ちしています!
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