2024.11.20
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個人(三者)面談大作戦Ⅱ

今年も残すところ1ヵ月ちょっととなりました。3学期制の学校では、学期末が近づき、学校によっては個人面談や三者面談を予定しているところも多いかと思います。

1年ほど前に「個人面談大作戦」という題目で、私の実践を紹介させていただきましたが、本記事もそれとあわせて読んでいただければ幸いです。

東京都品川区立学校 平野 正隆

はじめに

15分程度の短い時間で、保護者が知りたい情報を的確に与え、伝えなければいけないことを伝え、知りたい情報を得るのが面談です。しかし、何から話せばいいのか、言いにくいことを伝えるにはどうすればいいのかは、教師として悩むことも多いのではないでしょうか。
本記事では、私なりの考え方を具体例を挙げながら紹介させていただきます。

面談の目的は?

教師側も「面談を通して〜したい」という主体性をもって面談をすることが大切です。あなたは面談を通して、どんな成果をあげたいですか。
私の場合はいつも「家庭力を引き出したい」と思っています。具体的には保護者を「もう少し我が子に向き合ってみよう」っていう気持ちにさせることです。
「◯◯さんには〜という力があり、それを〜な場面で発揮できるように学校でも支援しております」「算数では、授業中にたくさん発言していると聞いております。きっとご家庭でも意欲的に学習に取り組んでいると思いますので、成果は少しずつ出てきますよ。あせらず応援していきましょう」って感じで。

ストレングスアプローチの視点で

親はきっと教師以上に子育てに悩んでいる」という前提をもっておくのが大切だと思っています。もしかしたら、教師の一言が家庭内の亀裂になるかもしれないのですから。

なかには、学校側として伝えたい学習面や生活面の課題がある子もいるでしょうが、まず子どもの良い点をしっかりと伝える「ストレングスアプローチ」を忘れてはいけません。
課題については相手から関連する話題が出ればお伝えしますが、家庭ではもっと悩んでいる可能性もあるので、追い打ちをかけないようにします。家庭力の低下につながります。
たくさん良さを伝えていれば、おのずと「うちの子は迷惑かけてないでしょうか」という言葉を引き出せます

どうしてもその言葉を引き出せない状態で課題を伝えなければいけないのなら、家庭での悩みを受け止めるなどして、相手の心の準備ができたと確信してからです。時間がなければ、今回は見送ります。

話の主導権はその場にいる全員にある

授業と同じで、一方的な教師の話は退屈そのもの。教師が主役ではないのです。
主役が喋らないドラマが無いように、面談のストーリーの主役は子どもです。ドラマの場面が様々なカットをつないで作られるように、面談でも語り手が移り変わっていれば、いい感じに進んでいると思います。

未来が楽しみになるような終わり方

課題に対する具体策をそこにいる全員が見えていて、希望を抱いていればベストですが、なかなかそうもいきませんよね。
だから、情報を伝えてくれたことに感謝し、真摯に受け止めたことを態度で示します。学校は課題を一緒に考えて、一緒に解決していくところであることを伝えて終わります。

事前準備が大切

①個々の良さを2,3個は言えるように
リフレーミングの視点をもってリストアップしておくと良いです。

②交友関係を少なくとも2,3人は言えるように
事前アンケートを取るなどして把握しておくと良いです。

③学力面を整理しておく
期末考査や小テストの結果、授業中の取組みの様子(担当教科以外も)を整理しておきます。

④生活面を整理しておく
係活動、委員会活動などでどんなことをしているかを、先述した事前アンケートで把握しておくと便利です。

面談の流れ

面談の例

 

この具体例は、あくまで架空の生徒です。

終わりに

最も重要なのは、子どもたちの過去ではなく未来です。過去は、未来をよくするための参考資料でなければいけません。私は面談を通して、学校と家庭が連携するだけでなく、家庭内の教育力が向上していけばいいなと思っています。

いまは副担任として、担任の先生方が実施する面談が充実したものになるように、どうすればいいのかを考えながら過ごしています。本記事が先生方の参考に少しでもなれば嬉しいです。

平野 正隆(ひらの まさたか)

東京都品川区立学校


研究会での実践報告や校内での若手教員育成などの経験を通して、自分の経験や実践が広く皆様のお役に立てるのではないかと考えております。大人・子どもに関わらず、「明日から頑張れそうです」「明日が来るのが楽しみです」と言ってもらえるのが私の喜びです。

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