2021.09.08
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たった1つだけ変えるだけでいい。オンライン授業が成功する方法(No.7)

先月8月29日に、私の主催する学び合い授業スキルアップ研究会では、オンライン授業について約250名の先生方と語り合いました。参加された先生方の中には、2学期から始まるオンライン授業をどのようにするのか不安に感じている方がたくさんいらっしゃいました。オンライン授業はもう他人事ではありません。子どもたちのためにどのように実践していくのか、これから考えていくことが大切だと感じました。

今回は、学び合い授業スキルアップ研究会で出てきた先生方の不安をもとにオンライン授業についてもう一度考えていきたいと思います。

東京学芸大学附属大泉小学校 教諭 神保 勇児

オンライン授業に対する先生方の不安

先生方の不安には以下のようなものがありました。不安の内容を見ていると、どれもまだオンライン授業を行っていない中での不安が大きいようです。これらの不安を取り除くためには一体どのようなことをしたら良いのでしょうか。この後その方法について説明します。

オンライン授業の不安を取り除く方法

オンライン授業の3つの不安について,それを取り除く方法を説明します。

(1)子どもとのやりとりがうまくいくか不安です。

「オンライン授業でもコミュニケーションを大切にした居場所づくり」で紹介した方法が使えます。この方法を使うことによって、子どもは安心してお話をすることができるようになり子どもたちとのやりとりがうまくいくようになります。

1つ目は自分のことを話す機会を作るという方法です。具体的には以下の2つの方法があります。

・オンラインの朝の会で日直のスピーチの時間を取る。
・「みんなからお話はありますか。」と先生が子どもたちに声をかけ、子どもが自由に話す時間を10分ぐらいとる。

上手に話した子だけではなく、話そうとした子をたくさん褒めてあげるといいと思います。このように子どもの話す時間を意図的に設定し、話そうとした子も褒めてあげることで、オンライン授業が子どもたちにとって安心して過ごせる場所になります。

2つ目に聞き手の反応で話し手を安心させるという方法です。 これはズームの拍手で反応させます。また、話し終わったら聞き手の子に1秒以内でリアクションをさせます。あえてミュートしないという方法もときには有効です。

(2)どんなアプリや機能を使ったらいいのかわかりません。

まず使うアプリについてです。zoomやteams、Google meetなどのアプリがあります。学校でどのようなアプリを使うのか決められていると思いますので、学校で決められた使い方に従ってアプリを使いましょう。

次にアプリの機能についてです。ここではzoomアプリについて説明します。 このアプリにはブレイクアウトルーム機能、ホワイトボード機能、チャット機能があります。

ブレイクアウトルーム機能は、グループに分かれて話し合うときに使います。教室でグループに分かれて話し合うのと同じような活動が期待できます。

ホワイトボード機能は黒板の役割を果たします。またグループで話し合う時に使っているホワイトボードの役目も果たします。

チャット機能は、LINEの機能に似ています。自分で思いついたことや相手に伝えたいことをチャット機能に打ち込んで、学級全体や特定の友達に知らせることもできます。教室で授業するときに聞こえるつぶやきもチャット機能に現れることが多いです。

(3)普通の授業とは違う形だろうなとは思っています。でも,具体的にどう変えないといけないのか、よく分かりません。

私は基本的にオンライン授業だからといって先生方の普段の授業の方法を変える必要はないと思っています。それは普段教室で行っている授業に近づけるために、zoomなど会議アプリを使うからです。それに先生方が普段行っている授業は、教科の目標を達成するために苦心して生み出されたものばかりだと思うからです。

もちろん、教科の目標を達成するために、動画を作成したり、PowerPoint等で資料を作成したりすることは効果的だとは思います。しかし、あくまでも、教科の目標を達成するための補助的な道具だということを忘れてはいけません。ですから、動画作成やPowerPoint等で資料を作成することに楽しくなり、時間を費やしてしまうのは感心できることではありません。時間をかけても,教科の目標を達成できない授業になるのは避けたいところです。

素敵な方法に聞こえないかもしれませんが,黒板を使って授業をする様子をzoomで子どもたちに見せる方法だけでも十分に効果はあります。まず、オンライン授業で教科の目標を達成するために、自分ができることから始めてみませんか?例えzoomで映しているだけの授業であっても、小さな努力を積み重ねていけば必ず素晴らしい授業になります。一緒に頑張っていきましょう。

神保 勇児(じんぼ ゆうじ)

東京学芸大学附属大泉小学校 教諭


2020年度はコロナウィルスでの休校期間でオンライン授業を多く行うことがありました。その時に得た、オンラインでも使える問題の見つけ方、子供の自力解決の見取り方、つぶやきの拾い方、発表検討のさせ方など紹介していきます。
「jimbochanのブログ」https://jimbochan.hatenablog.com/

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