2021.05.28
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たった1つだけ変えるだけでいい。オンライン授業が成功する方法(No.2)

私は最近、Facebookを始めました。FacebookのあるグループでもGIGAスクール構想について本気で考えている先生方がたくさんいらっしゃいます。投稿された一つ一つの記事を見ると、大変勉強になる提案ばかりです。緊急事態宣言中の現在(令和3年5月20日現在)、本校では毎週水曜日にオンライン授業をしています。そこで気が付いたことも加えて今後も発信していきたいと思います。

今回のテーマは「無理しない」です。よろしくお願いします。

東京学芸大学附属大泉小学校 神保 勇児

「無理しない」の前に,最近の動向

「無理しない」というのは、サボるのとは違います。細く長く、誰でもやっていけるようにすることが大切です。つまり、「無理しない」というのは、普段の授業と同じように、無理なくできる手立てという意味です。

学校では、校務分掌にGIGA構想担当の先生がいらっしゃると思います。でも、GIGA構想は他人事ではありません。もうすぐ、やらなければならないのか……。
でも、私だって人間です。何でこのようなことになっているのかを知りたいと思いました。現在の私たちの取り組みがなぜ行われているのか、その背景を知っておくことは大事だと思ったからです。そこで、まず、オンライン授業を取り巻く最近の動向について述べていきたいと思います。

文科省の『「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実』をご存知でしょうか。そこには,『学習指導要領の趣旨の実現に向けた個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に関する参考資料』という資料があり、「協働的な学び」について次のように書かれています。
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ICT の活用により、児童生徒一人一人が自分のペースを大事にしながら共同で作成・編集等を行う活動や、多様な意見を共有しつつ合意形成を図る活動など、「協働的な学び」もまた発展させることができます。ICT を利用して空間的・時間的制約を緩和することによって、遠隔地の専門家とつないだ授業 他の学校・地域や海外との交流など、今までできなかった学習活動も可能となります。」(太字は筆者)
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太字の部分は「確かになぁ」と思う内容です。それには理由があります。
実際に,海外との素敵な交流があったからです。それは,緊急事態宣言中,そして卒業間近の3月中旬の出来事でした。オンラインで朝の会をしている時に,海外へ転校した2名の児童がZoomで最後のあいさつにきてくれました。当時 6年生の担任でした私は,転校した2名の児童も含めた,卒業前の粋な計らいに感動してしまいました。

また、同資料では、「個別最適な学び」についても触れています。個別際的な学びとは「指導の個別化」「学習者の個性化」を学習者の視点から整理した概念です。

ちなみに、
「指導の個別化」とは、教師が支援の必要な子供により重点的な指導を行うことで効果的な指導を実現することです。
「学習者の個性化」とは、教師が一人一人に応じた学習活動や学習課題に取り組む機会を提供することで、子供自身が学習が最適となるよう調整することです。

そして、同資料では、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を図ることで、学習活動の充実の方向性を改めて捉え直し、これまで培われてきた工夫とともにICTの新たな可能性を指導に生かすことで、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善につなげていくことが重要であると述べています。

ここで気になるのは、なぜICTなの?ということです。同資料ではICTを活用することで、以下の利点があると述べています。

  1. これまでにない量・質のデータを収集・蓄積・分析・活用し、個々の特性等にあった多様な方法で児童生徒が学習を進めることができる可能性が高まる。
  2. 時間的・空間的制約を超えて音声・画像・データ等を蓄積・送受信し、今までにない方法で、多様な人たちと協働しながら学習を行うことができる可能性が高まる。
  3. AI技術が高度に発達すSociety 5.0時代にこそ、様々な場面でリアルな体験を通じて学ぶことの重要性もより一層高まる。

1、2の内容がオンライン授業の双方向型の授業とオンデマンド型の授業のどちらにも当てはまります。
今回は、オンライン授業に関わる最近の動向についてご紹介しました。また、お時間のある時に、別の資料についても紹介していきたいと思います。

最初は「無理しない」心得から

皆さんも薄々お気づきのことだと思いますが,実はオンライン授業は授業参観と環境は同じです。保護者の方は,先生方の授業をご覧になっています。
でも,よく考えれば当たり前のことですよね。私も4人の子どもがいますが,子ども達の通う学校で、もしオンライン授業があったら私も見たいと思います。

私の学級の保護者の方に「普段の様子が見られて良かったです」「あたたかい雰囲気なんですね」と感想をいただいたことがあります。では,私は何をしたでしょうか?答えは「何もしていません」です。普段通りの声かけをして,板書をして,失敗もしました。
どんな失敗かというと,Zoomのブレイクアウトルームをした時に,ルームの設定でミスをしてしまいました。30名を8つのグループに分けて、ルームを8つに設定したはずが,実際はルームが1つしかなかったのです。どうなったかは,おわかりですね。私が一人残された状態になり,児童全員が一つのルームに全員集合してしまったのです。1秒もかからず,全員ルームから出てきました。

その後,何が起こったと思いますか?
答えは、「全員が大爆笑した」です。後で聞いた話ですが,見ていた保護者の方も笑っていたそうです。でも,どうやらこれは失敗ではなく,成功だったようです。私が失敗したとき、誰一人私を責めることなく,笑ってみんなが許してくれました。その様子が,保護者にはとてもあたたかいクラスの雰囲気に見えたようなのです。
これは、普段の雰囲気と同じです。普段から,私の学級では誰が失敗してもみんな優しく許してくれます。「無理しない」心得とは、そんないつものクラスの雰囲気が伝わればいいということです。

※ブレイクアウトルーム:Zoomミーティングにおいて、参加者を少人数のグループに分けてミーティングを行える機能です。詳しくは,下にリンクを貼っておきますので,ご覧ください。

無理しない方法

無理しない方法をここで紹介します。今回は2つです。ここでは,Zoomを使った双方向型のオンライン授業についての無理しない方法について紹介します。

⑴板書をそのまま写す。

先生方にとって一番簡単なのが,板書をそのまま写す方法です。児童と授業をしながら,黒板に児童の考えをかいてまとめます。これは普段の授業と何ら変わらず,負担はとても少ないです。ただし,注意点が2つあります。

1つ目の注意点は,板書の前に立つと先生機から離れすぎてしまい,画面上の子どもの顔が確認できないことです。これを防ぐには,Zoomの先生機を2台にします。タブレット1台を板書を写すカメラ専用機にして,もう1台はパソコンを使って児童の顔の確認専用機にします。カメラ専用機は「画面の共有」をさせて,カメラオンにします。その状態で板書を写せばいいのです。テレビスタジオでいうところのカメラの役割です。児童の顔の確認専用機はテレビスタジオでいうところのモニターの役割です。

2つ目の注意点は,カメラ専用機が板書のどこからどこまでの範囲を写すか確認することです。先生が板書をしているときは,カメラ専用機は固定されたままです。当然動きません。そんな時に板書に夢中になっていると,先生がカメラからフェードアウトしてしまいます。これを防ぐには,予めカメラ専用機が写す範囲を確認しておくことが大事です。できれば,写る範囲をチョークで四角囲みをするとよいでしょう。

⑵ブレイクアウトルームをするときの話し合いのルールを決める。

話し合いをグループでしたい時は,Zoomのブレイクアウトルームを使いましょう。いざグループに分かれて話し合いをすると,意外な問題点が出てきます。

1つ目は,話し合いに参加できない児童が出てくることです。これを防ぐには,予め話し合いのルールを決めておくことが大事です。例えば①1人1回は発表すること②話す順番を決めること③「だめ」「違う」などの言い方を「〜するといいね」「〜するといいんじゃない?」と肯定的な言い方すること――といった感じです。チャット機能に書き込んでいつでも確認できるようにするのをおすすめします。

2つ目は,話し合いが終わった児童がブレイクアウトルーム内で遊びだしたり,話すことがなくなって黙ったままになってしまったりすることです。これを防ぐには,話し合いが終わったら先生のいる部屋に戻ってくることを伝えましょう。これも先ほど同様,チャット機能に書き込んでいつでも確認できるようにするのをおすすめします。

今回ご紹介した「無理しない」2つの方法は、普段の授業でもやっていることです。オンラインだからといって、先生方の指導方法を大きく変える必要はなく、たった1つだけ変えるだけでオンライン授業は成功します。
また、紙面の都合でここでお伝えできなかったことを「授業スキルアップ研究会」でお話ししています。前回は、オンライン授業のスキルについて扱いました。今後もオンライン授業についても扱っていく予定です。もしよろしければ、こちらも参考にしてください。

神保 勇児(じんぼ ゆうじ)

東京学芸大学附属大泉小学校


2020年度はコロナウィルスでの休校期間でオンライン授業を多く行うことがありました。その時に得た、オンラインでも使える問題の見つけ方、子供の自力解決の見取り方、つぶやきの拾い方、発表検討のさせ方など紹介していきます。
「jimbochanのブログ」https://jimbochan.hatenablog.com/

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