普段の授業にひと工夫 主体的に学ぶ授業へ「会社制度」(第3回)
ここでは、主体的に学びたくなるきっかけをどうつくるか、私なりの実践を例示しながら具体的に紹介します。今回は、「会社制度」です。協働的な学びを実現しながら、主体的に学習に取組むことができます。
東京都品川区立学校 平野 正隆
⑴「会社制度」概要
私のクラスでは、男女2人ずつの4人班をつくっています。この班を「会社」と呼び、授業中は、この4人がいつでも協力しながら課題に取組めるようにしています。
仕事中、分からないことや不安なこと、自分だけでは判断がつかないようなことがあれば、大人は上司や先輩、同僚などの仲間に相談します。だから子ども同士も、基本的にはいつでも相談し合っていいのです。
この4人という数は、話し合う際にちょうどいい数だと思います。3人ではアイデアが乏しくなってしまったり、学びが深まりきらなかったりします。5人では、人数が多すぎて意見を出さない子が出てきてしまいます。この4という数が、話し合ったり、活動したりするうえで絶妙な数なのです。
「会社」と呼んでいるのは、成果を残すとポイントが貯まるシステムだからです。時間内に解けたり、素晴らしい案を出したりした際にポイントをもらえます。ポイントを競い合うことで、意欲も高まります。
⑵領土問題の解決に向けて(5年生社会科)
まずは、学校で領土問題についての概要を伝えました。その後、自宅で領土問題の解決に向けた意見を考え、タブレットに意見を送らせました。意見を共有できるように設定しておき、互いの意見を事前に見ておきます。
次の社会科の授業では、解決に向けた社内会議を行います。話し合ったあとに、各会社が提案を発表します。
大人でも解決が難しい問題を子ども目線で深く考えました。
⑶日本の食料生産(5年生社会科)
「日本の食料自給率を上げるためにはどうしたらいいか、具体的な対策を考えよう」
食料生産の単元末に行いました。現在、行われている自給率を上げるための工夫を学んだあとに、「みんななら、どんな対策を考えますか」と問いかけ、社内会議を開きました。
「国産の食材の良さをSNSを通じて広く伝える」
「自給率を上げるのではなく、日本食材の素晴らしさを海外に発信して輸出量を増やす」
「オリンピックなどの国際イベントで和食の美味しさを発信できそう」
「キャラクターをつくれば、話題になりそう」
などといった意見が出ました。生産性のある話し合いに、子どもたちも意欲的に話し合いました。
⑷伴って変わる2つの量の関係は(6年生算数科)
「次のうち、比例するもの、反比例するものはどれでしょう」
①きまった速さで歩くときの時間と道のり
②きまった道のりを歩くときの速さと時間
③ある商品を買ったときの個数と代金
④買い物をして千円札を出したときのおつりと代金
⑤底辺の長さがきまっている三角形の高さと面積
⑥面積がきまっている平行四辺形の底辺と高さ
子どもたちが意外に引っかかる問題です。自力解決後に会社内で、解答を照らし合わせると、違う部分が見つかります。「だってさ…」「もし、〜なら…」と言いながら、自分が考えたことを伝え合い、正しい解答が何なのか探り始めます。
⑸生活の中にある「比」(6年生算数科)
「生活の中で、比はどんなところに使われているでしょうか」と問いかけ、会社内で意見を出し合いながら、箇条書きで記録していきます。
その後、ジャンケンで勝った会社から順に、それを一つずつ発表していきます。途中で言えなくなったり、実際には比が使われていない場面を言ってしまったりした会社は脱落します。「優勝するのはどの会社だ」なんて言えば、さらに意欲的に取組みます。
⑹おわりに
私の場合、「個人で考える時間」「グループで話し合う時間」の区切りを教師側から設けません。分からなければ最初から相談し合えばいいし、各々の見通しが立つのであれば個人の考えをまとめる時間をとればいいと思います。
一人では考えつかないようなアイデアを得たり、困ったときに助けてもらったり、逆に助けたり、それを自分達の判断でするのが、この「会社制度」です。
特に、正解のない課題や解・解法が様々存在する課題、間違えやすい課題などで、協働的な学び合いが生まれます。
平野 正隆(ひらの まさたか)
東京都品川区立学校
研究会での実践報告や校内での若手教員育成などの経験を通して、自分の経験や実践が広く皆様のお役に立てるのではないかと考えております。大人・子どもに関わらず、「明日から頑張れそうです」「明日が来るのが楽しみです」と言ってもらえるのが私の喜びです。
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