2021.09.18
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若い先生たちに伝えたいこと「子どもたちとの出会い」(NO.1)

【はじめに】
初めて教壇に立とうとしている先生や着任して数年の若い先生たちのために、長い間教師を続けてきて気付いたことを書き残そうと思いました。
以前にも、若い先生たちへ向けた投稿をしていますが、気持ちも新たにシリーズを始めたいと思います。教師を目指す学生の皆さんにも読んでもらえたら嬉しいです。

特定非営利活動法人TISEC 理事 荒畑 美貴子

【出会いの秘密】

子どもたちとの出会い、それは教師にとって最も緊張する瞬間です。

事前にどのような子どもなのかを知らされていたとしても、多くの子どもたちの名前や個性を知っていたとしても、新しいクラスというのは未知なるものに溢れているからです。

だからといって、「自分がうまくやっていけるだろうか?」という不安を大きくする必要はありません。なぜなら、出会う子どもたちは、あなたに相応しい子どもたちだからです。それは、周囲の先生たちや管理職が気を遣って、力量に合わせた子どもたちと出会わせてくれるという意味だけではありません。もっと大きな力が、教師が十分に役目を果たせるように出会いを調整してくれているのです。

それでも、この子どもは対応が難しいなと感じることがあるかもしれません。自分だけが上手く対応できないと思ってしまうこともあるかもしれません。しかし、年齢を重ね、経験を積んでいる教師にとっても、必ずそういった出会いはあるものです。それは、私たち教師がこの子どもと関わることによって、しっかり学びなさいという合図だと思います。「子どもたちが自分を育ててくれるという感謝の気持ちがあれば、必ず乗り越えられる」、私もそう自分を励ましながら教師を続けてきました。

不安が大きくなったら、同じ世代や先輩の先生と話をしてください。誰もが不安を抱えつつ頑張っていることに気付くはずです。また、話しているうちに、解決のための方法が見つかるかもしれません。

子どもたちを教師一人が責任をもって受け持つというやり方は、古い考え方に基づいているように感じます。学校全体の教師が協力して、全ての子どもたちの教育にあたっていくという前提の元で、クラスがあり担任があるのです。

【教師に必要な資質】

ずいぶん前のことになりますが、「でもしか教師」という言葉がありました。「教師にでもなるか」「教師にしかなれない」という安易とも思えるような考えで、教師を目指していることへの皮肉があったのです。そんな中で、学生時代の先輩は、「成績がいい人ではなく、子どもが好きな人が教師になってほしい」と言っていました。もちろん教師としての知識や技能は必要ですが、それ以上に子どもが好きで子どものために頑張ろうとする人が教師になってほしいというのは同感です。

さて、私は同じ頃、神智学者であり教育学者でもあったR.シュタイナーと出会いました。実のところ、私の教師人生は、彼の教育観抜きには語れません。シュタイナー教育を実践してきたというのではなくて、シュタイナーが子どもたちに寄せた愛情を見習ってきたということです。まさに座右の銘としてきたシュタイナーの言葉の一部を、皆さんにもご紹介したいと思います。求められる教師像について多くの示唆を残してくれています。

「純粋に子どもを観察すること。そして、自分の心を平静に保ち、子どもに対して心を開くこと。それによって、どのような教育が必要かということを子どもが教えてくれる。子どもから学ぶことによって自分を高めていく仕事であることに感謝する。

子どもに対して強い責任感をもち、ひとつひとつの判断に勇気をもつ。ときに熱意を丸出しにするような言動をとること。

愛をもって関わる。そうすれば必ず、全ての子どもたちと心の通路で繋がり合うことができる。

教師が若干の概念を振り回して教育したと思い込むようなことがあってはならない。子どもに対して鈍感であったり、椅子に座りっぱなしで立ち上がるのを億劫がったり、動きたがらなかったりすれば、教育的な効果を上げることはできない」
(R.シュタイナー著『治療教育講義』『オックスフォード教育講座』などより)

これらの言葉に触れるとき、いつも背中を押されるような気持ちになります。何年経っても、教師はこれらの言葉に戻ってこなければならないと思うのです。皆さんもぜひ、自分を支えてくれる教えに出会い、それを心の底に据えて励んでいってほしいと思います。

荒畑 美貴子(あらはた みきこ)

特定非営利活動法人TISEC 理事
NPO法人を立ち上げ、若手教師の育成と、発達障害などを抱えている子どもたちの支援を行っています。http://www.tisec-yunagi.com

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