2020.03.09
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緊急 臨時休校で考えておくこと ~陰に陽に 及ばず乍ら助太刀を~(第9回)

シリーズ最終号として、ハッピーエンドで学年末をおくるために、というような内容の原稿を考えていました。
しかし、新型コロナウィルスの影響で、全国の大半の学校が臨時休校になりました。卒業式が短縮されるなど、予想できない状況がおきています。
熊本市は3月3日現在、卒業式は行われそうですが、卒業生と保護者、教職員のみの参加で、時間も大幅短縮となります。修了式はまだ発表されていません。
状況は刻々と変化するので、原稿発表時には変化があるかもしれませんが、教師として考えておくべきことを書いて、このシリーズを終えたいと思います。

熊本市立龍田小学校 教諭 笹原 信二

「最善を尽くす」 臨時休校の賛否を議論する場合ではない

臨時休校については、要請があまりにも突然だったため、準備期間があまりにもなく、現場にも動揺が広がりました。
特に、卒業式を控えていた子どもたち、受験を控える子どもたち等には物理的、精神的なショックも大きいものがありました。
臨時休校の措置については賛否両論ありますが、今は、賛否を議論している場面ではありません。
決まった限りは「最善を尽くす」ということです。「最善を尽くす」ために、考えることを今回は3つ書きます。

健康・学習

(1)子どもが安全に暮らすこと(健康)
まずは、子ども一人一人が健康に過ごすことです。子どもたちが全国で多く新型コロナウィルスに感染してしまった、では話になりません。
〇不要不急の外出はさける
〇手洗い、うがいを励行する
〇家でも換気に気を付ける
など、インフルエンザ対策で話しておいたことを徹底させましょう。
今は一斉メール配信が利用できるので、まずは健康面を伝えましょう。
ただ「自分だけ」と語ると、「おれだけならかかってもいいや」という子どももでてくるので、「あなたがかかったら、家族も友達も地域も、みんな大変だよ」というようなメッセージもそえるといいでしょう。
(2)基礎学力を保障する(学習)
これだけ休業日が続くと学習面が不安になってきます。一年のまとめをする時期が、そっくりそのままないわけですので、それは大変です。
熊本市は3月9日を登校日としてもよい、という風になっています。
そこで、9日までの学習内容と、9日以降の学習内容を分けて配布(配信)することにしました。一度に配ってしまうより、計画を立てやすいような工夫をしました。
以下の理科学習のヒントは、9日に配布予定です。ネット環境がある場合には発展的な学習もできるような工夫をしました。
各都道府県や市町村の教育センターからも、学習内容例がでるかと思います。非常事態ですが、できるだけ生活リズムをくずさず、できるだけ自分で計画をたてる、選択する機会を与えることができるような工夫をしたいものです。

心のケアを 長期化に備えて

(3)心のケアを
メール配信では、アンケート機能もあるので、体調について尋ねることができます。「体調がよくない」と答えられればそれはもちろん心配ですが、「大丈夫」と回答されても、教師側は100%安心することができない、それが非常時です。
特に今回は終息が見えません。いつ学校が再開されるのか?仮に通常の日時に始業式が行われても、1か月以上「授業」を受けないで新学期をむかえます。考えたくはないのですが、4月から始まらないという事態になれば……。
再開後、おそらく心のアンケートのようなものがとられるでしょう。
「不安で眠れない」「やる気がでない」「学校に行きたくない」などの項目に〇がつけば、当然気になります。また反対に、何も問題ないと答えられても、教師としては不安なものです。実際、熊本地震からの学校再開の時に経験しました。
4月スタートでも、定期異動された先生、新しく教壇に立つ先生は、地域の様子もわからない上に、子どもの様子もわからず、かなり無理をされることになるでしょう。もし、新学期の開始が遅れればなおさらです。
いつから開始されるにしても、次年度は大変な年度になると思われます。
一番の「最善を尽くす」は、教師自身が疲労しないで、健康に過ごすことかもしれません。それが、ひいては子どものためにつながりますね。

笹原 信二(ささはら しんじ)

熊本市立龍田小学校 教諭
37年の教師人生を終えたが、もう少し学びたく再任用の道を選択。過去の経験を生かしつつ、新しいことにもチャレンジしていきたい。

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