2019.10.18
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いつでも見に来てね ~陰に陽に 及ばず乍ら助太刀を~(第2回)

「陰に陽に 及ばずながら助太刀を」
連載をスタートして、はりきっていこうと思った矢先、神戸からとんでもないニュースが流れてきました。報道されていることを見ている限り、本当か?と疑ってみたり、まわりの先生や管理職はどうしていた?と考えたリ。。。教師としてというより、そもそも社会人としてダメですね。
様々な事情もあるのでしょうけど、これはありえない!何よりこの学校に通っている子どもたちはこのニュースを見てどう思うのだろうと。悲しく、寂しくなります。怒りも覚えます。これを機に、あれもこれもと、各地からそんな報道が大々的にされるのではないかと危惧しています。教師になろうという気持ちをもった若者が減っていくのではないかと。そうならないように、今回の投稿をおこなっていきます。

熊本市立龍田小学校 教諭 笹原 信二

教師である前に

振り返ってみると、私は先輩に恵まれたと感じます。厳しくも指導されました。
例えば、ある日の職員会議。帰りの会が伸びて、会議開始3分前着席した私。「5分前には着席して、資料を読んでおかないといけない」と言われました。
5時間目が体育だったので着替えないで職員会議にのぞむと「その格好は会議にふさわしくない」と言われました。
当時は正直言って「うるさいなあ」と思うこともありましたが、教師である前にきちんとした社会人であれ、と教えてくださったと感謝しています。

「教えること」は。。。

教師は教師になるまでに「教えること」は、それほど学んではいません。「学ぶこと」はものすごく経験していますが、「教えること」の経験はとても少ないです。

アルバイトの家庭教師のような1対1の指導はあるかもしれないですが、多人数となると、教育実習のときの数時間のみと言ってもいいでしょう。となると、教師モデルは、教育実習の担当の先生か、自分自身の小・中学校時代の思い出の先生くらいです。

若い先生からよく聞くのは「指導されているところを見たい」ということです。授業を見てもらったり、話を聞いたりするのは初任研があるので機会があります。

授業を見るのは、ほぼ研究授業や研究発表会。もちろん研究授業は、指導者が練りに練った授業を行い、子どもたちも成長した姿をいっぱい見せてくれるので、ためになります。

若い先生がより見たいのは「日常的な指導」です。例えば、手遊びしているときの子どもへの対応とか、給食の配膳とか、トラブルへの対応とか。授業についても「授業内容そのものを見たい」というより「指導技術を自分の授業にいかしたい」というウエイトの方が大きいように思います。

正しい指導があって、しっかりとした力がつくのだ!

特に聞くのが「体育の指導」についてです。「体育が苦手で、どう教えたらいいのかわからない」こんな声をよく聞きます。私が若い頃、高学年担任のとき、水泳の学習。私は水泳は苦手でした。でも、指導はがんばろうと。

体育専門の先生に「高学年では1時間にどれくらい泳がせたら良いか?」と尋ねてみました。すると「500〜600m」という答えが返ってきました。自分の授業を振り返ると300mがいいところ。私は「泳力が不足しているから、どんどん泳がせていけばよい」と安易に考えました。しかし、それでも無理でした。

そこで、その先生の授業を参観させていただきました。ずっと泳ぎっぱなしなんだろう、と思っていた私。もちろんそんなことはなく、プールから上がって指導されている時間、子どもたちが休息する時間も確保されています。それでいて、子どもたちは目的を達成しているのです。

違うところは?と考えてみると「笛の吹き方」だとわかりました。子どもたちが次の動きがわかっているのです。笛の吹き方ひとつでこんなにも変わるのだ、と感じました。

泳力があるからたくさん泳げるのではなく、正しい指導技術があって、正しい指導があれば、子どもたちの力がつくのだ!と。体育は特に数字などで自分の伸びが実感できるので、どんどん伸びていくことがわかりました。

優しさと厳しさをもって

先輩の先生は「いつでも私の教室を見に来ていいよ!」という優しさと厳しさを(本当は厳しさも優しさですけど)もって接していくことが、若い先生の役に立つと思っていただければと思います。

笹原 信二(ささはら しんじ)

熊本市立龍田小学校 教諭
37年の教師人生を終えたが、もう少し学びたく再任用の道を選択。過去の経験を生かしつつ、新しいことにもチャレンジしていきたい。

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  • 今林 義勝

    福岡市立千早西小学校 教頭 今林義勝

  • 清水 智

    長野県公立小学校非常勤講師

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