まずは「守」から始めましょう ~陰に陽に 及ばず乍ら助太刀を~(第5回)
これまでに、教師は教師になるまでに、それほど多くのことを学んでいない、ということを書いてきました。そのために、チームで対応することの大切さなどを書いてきました。最初は誰でも「慣れない」ものです。こうしたらどうなるか?という見通しがたたないのです。
しかし「若い」というのは、それだけでもアドバンテージとなります。「若い」強みを生かして、授業力をつけていく、ということを今回は書いてみたいと思います。
熊本市立龍田小学校 教諭 笹原 信二
「守」から始めよう
指導書を見れば、今日の授業の目標や展開が、簡単に書いてあります。この通りやれば授業はうまくいく、と思いながら授業をしてうまくいかなかった、という経験はたくさんあるのではと思います。
予想した反応がでない、子どもたちの考えをうまくまとめられない、というような悩みから、いつプリントは配る?どのように話し合わせる?どんな補助発問をいつする?など、指導書に書いてないことがいっぱいあります。
こう流せばいいよとアドバイスをうけたり、5W1Hを意識した、いわば裏の教材研究が大切だと言われたり……そうは言われてもどうしたらいいの?と悩むばかりです。つまりは、自分の型がないのです。
野村克也氏の名言に「自分の型を身につけるには模倣から始めよ」(『理は変革の中に在り』ベストセラーズ,2014)があります。ますは「まねる」ことから始めていいと思っています。武道や芸道で言われる「守・破・離」の「守」ですね。
素直な心をもつ
「守・破・離」の「守」。基本をしっかりと守り、お手本のいいところを守ることです。
「守・破・離」の話では、よく稲盛和夫氏の話がでてきます。その中ででてくるのは「素直な心」。自分自身の至らなさを認め、そこから努力するという謙虚な姿勢。
そのためには、いろいろな人の話を聴くことです。いいお手本を見つけることです。価値観を自分のものにしていくことです。ひとつのやり方だけを信じることも大切ですが、これは私には合わないと思うこともあるはずです。セミナーで話されたことや書籍に書いてあることでも、これは?と思うものもあるでしょう。
どれが自分のお手本になり、子どもたちを伸ばすことになるのか、よく考えて自分の価値観をかためていきましょう。
若さの強みを生かす
「守」で精一杯で、次の段階までは、というのが正直なところでしょう。私は若い頃、校内研修や職員会議で、何と発言したらいいのか?わかりませんでした。
しかし「若い」というのは良くないことばかりではありません。子どもたちにとって、自分により年の近い先生は、それだけで魅力です。一緒に遊んでくれることも魅力です。
さらには、ICTを使うことや外国語を話すことなどについては、すでに先輩より上、という部分もあるでしょう。守ってきていることに、ICTを活用するなど自分の強みを生かしていきましょう。それが、次の「破」につながっていくと思うのです。
ただ、例えばICTを使えばいい、と言うわけではありませんよ。そのあたりを次回書かせていただきます。
笹原 信二(ささはら しんじ)
熊本市立龍田小学校 教諭
37年の教師人生を終えたが、もう少し学びたく再任用の道を選択。過去の経験を生かしつつ、新しいことにもチャレンジしていきたい。
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