2020.05.15
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コロナに負けない・流されない教育を!

新型コロナウイルス感染症の拡大が収まらない中、学校再開になった際に、私たち教師ができることは何なのか......。私なりの考えを今回は紹介していこうと思います。

明石市立錦が丘小学校 教諭 川上 健治

「急がば回れ」という言葉を大切に

さて、私の勤務する学校がある自治体では、始業式、入学式を終えた後は、しばらくの休校が決定しました。当然、4月に予定していた授業は行えていない状態です。今後、子どもたちが登校した際に、私たち教師は、どう学級経営をし、どう消化しきれていない授業を含め展開していくのか、今後、教師の力量が非常に問われてきます。

そんな中、私は、「急がば回れ」という言葉を大切に子どもたちと向き合っていこうと思います。当然、現段階でさえ1カ月程度抜けている期間があります。本来なら、この時期には、そのクラスでの文化や人間関係も、少しずつ見えてくる段階で焦る気持ちもあります。しかし、焦るからと言って「あれもこれも、教師が先回りして決まり事を決めていく」、「授業は、内容を詰め込んで次々単元を終わらせていく」。このようなことがあっていいわけがありません。そうなってしまっては、この一年間、教師にとっては月日を追うごとに学級経営が難しくなり、子どもたちにとっては、何の力もつかない一年間になってしまいます。
我々教師が行う教育の目的は、教育基本法の第1条が示しているように、「人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成」にあります。当然、いかなるときも、これを念頭に置きながら指導を行うべきです。だからこそ、私は、このようなときも、まずは「自治的集団」(教育の目的に置き換えると「民主的な社会の形成者」の素地を育成すること)を目指すべく、急がば回れで教育を行っていきます。

学習について

はやる気持ちがありますが、こんなときこそ、学習のフレームを教えることが有効だと考えます。学習のフレームとは、2つあります。

①台本を用意する

1つ目は、その授業の1時間単位の流れを示した台本を用意し、子どもたちが中心になって進める方法です。最初こそ、時間はかかりますが、「急がば回れ」です。慣れてくると、子どもたちは信じられないくらいスムーズに授業を進行してくれます。最初に時間をとっても、後半には、グイっと進度の速度をあげられます。(詳しくは、2019年11月5日同年11月22日の記事参照)

②話し合いの仕方を教える

2つ目は、話し合いの仕方を教えることです。私は、授業の中に話し合い活動をルーティンの1つとして取り入れているので、これも、流れに沿って子どもたちが進められるように仕方を教えます。(詳しくは、次回以降に説明します。)

この2つのフレームをしっかりと最初に教えることで、後々の授業の進む速さが全く違ってきます。時間がないから、単元が終わらないからといって、ここを疎かにしてしまうと、教師が全て行う教師主体の授業が当たり前になってしまいます。これは、近年の教育界、もっと言うと社会の流れと逆行しています。「社会の形成者」を目指す学校教育が社会の流れに逆行してはいけません。ただ、そうは言っても、この新型コロナウイルス感染症の影響で、社会的距離をとることが必要になっており、学校教育においても、フレームの2つ目である話し合い活動に制限がかかっています。それを押し切ってまで、話し合い活動を優先するわけにも当然いきません。

国語科の場合

そこで、次により大切になってくるのが、国語科の場合であると、言語活動の設定だと考えます。この社会状況で本来10時間かけられていた単元が10時間かけられない状況になっています。しかし、子どもたちには、その単元を通して育成すべき力があります。では、短縮した時数で、変わらない力をつけるにはどうすべきか。それは、とことん、子どもたちの学ぶ文脈に寄り添った活動を設定することです。焦りがあると、ついつい子どもたちの姿を置き去りにして、「これはこの時数だったら無理かな」という考えが浮かんでしまいます。そこをなんとか踏ん張って、「この時数の中で、子どもたちに力を培わせるにはどうすべきか」と考えを切り替えるべきです。(当然、飛ばす単元や他の単元、教科と結び付けて一気に学習することもあるでしょう。要は見極めです。)

例えば、東京書籍3年生の最初の物語文の単元での育成すべき力は「様子を浮かべて音読をする」ことです。この単元での言語活動を、「離任されたお世話になった先生へ音読を届けよう」と設定する予定です。というのも、私の学校は、休校の関係で離任式がなくなり、しかも、今担任させてもらっている子たちの前学年の先生が離任されているのです。だからこそ、よくある学級での班ごとの発表会という形ではなく、「ビデオを撮るから○○先生へ、この物語の音読を届けない?」と子どもたちに伝えます。もちろん前述した社会的距離というものがあるので、運動場などの屋外でする等の配慮を考えていかなければなりません。しかし、本来は離任式でお別れを伝えられるはずだった機会を奪われてしまった子どもたちには、ビデオで成長した姿を届けるのが、最良の言語活動だと判断しました。なおかつ、班ごとの発表会のような時間も取らなくてもいいので時数の問題もクリアできます。また、この授業については、今後、この日記に書けたらと思います。

未曾有の体験ですが、こんな状況でも、常に子どもたちに寄り添った教師でありたいと思います。学校の先生方。頑張りましょう!!

川上 健治(かわかみ けんじ)

明石市立錦が丘小学校 教諭
クラスの全員が楽しく学び合い「分かる・できる」ことを目指して日々授業を考えています。また、様々な土台となる学級経営も大切にしています。

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