2020.01.09
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神は細部に宿る ~陰に陽に 及ばず乍ら助太刀を~(第6回)

あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
第5回で「守」の大切さを書かせていただきました。次の「破」につなぐために「自分の強みをいかす」ということを最後に主張しました。外国語、ICT、プログラミングなど、新しい内容が増えていきます。若い先生が新しいことにチャレンジする姿に学ぶことが多いです。しかし、新しいことを取り入れればいい授業ができる、というのは「?」がつきますね。
今回はそのあたりをICTを例にして書かせていただきます。

熊本市立龍田小学校 教諭 笹原 信二

ICTの普及による「陽」と「陰」

ICTの普及は、この数年間で大きく伸びましたね。タブレットを使って、子どもたちが目をキラキラ輝かせて話し合いをしている姿がたくさん見られるようになりました。
教師主導の授業から、子どもたちが主体的に学び、対話的に学ぶ学習に、どんどん方向転換されてきていることがよくわかります。どんな考えをしているか、一目でわかるようになりましたし、考えの共有化も進むようになりました。

しかし……。

子どもたちから出た意見の順位付けをするのは教師、解説をするのも教師、おまけにまとめのスライドをつくるのも教師……これでは何のためにICTを使うのか、よくわかりません。

ノートに書かせる場合なら、3人ほどできていなくても「みんなできている」ように見せることができます。電子黒板で考えが共有できるので、何人提出していなくて、誰が間違っているか、正確に把握できます。どのような支援があって、どのような話し合いが行われて、どのように学びが進んでいったか、よくわかるのです。正解か、不正解か、ということはもちろん、教師やまわりの子どもたちとの関わりの様子がわかるのです。

根拠が必要だ

野村元監督は「負けかたの極意」の中で「配球は、一球一球、根拠が必要だ」と仰っています。「配球」の部分をほかのものに変えてみるとどうでしょう。「発問」「まとめ方」「道具」「教材」など、なぜあのように問いをたてたか?どうしてタブレットでなくノートにしたか?のような場合は原因がわかりやすいです。そもそも教材の読み取りが甘かった、実態把握ができていなかったなどという場合もあります。

授業後によく思う「時間が足りなかった」「子どもたちが混乱してしまった」「子どもたちの意見を引き出せなかった」などは意外なところに原因がある場合があります。「配る場所がよくなかった」「1番の子どもに〇〇を取りに来させるとよかった」「このように書かせるとよかった」など。

指導案に書かれていない部分が大きな原因だったという場合が多いのです。一例として、私は「裏の指導案」とでもいうべき「5W2H」の指導案をたてます。「いつ」「どこで」「誰に」「何を」「どうする」「どのように」「どれくらい」です。

理科の実験では「いつ塩酸を配るか?」「誰に配って、その間ほかの子どもはどうしておくか?」などを考えておかないと、意見の集約ができなかったというレベルではない、事故につながりかねないケースがでることもあるのです。
なぜそうするのか、根拠を考えます。

神は細部に宿る

若い時代にそんなことができたか?と言われると「できませんでした」と言うしかありません。ある程度の経験が必要となることが多いからです。本質となる部分は「若いから」ではすまないこともあります。先生方の授業を見ることができる機会があれば、ぜひ、そんな細かい、そして大切な部分を見てほしいのです。

ICTを使うから、授業が上手になる、というわけではありません。授業の本質を考え、子どもたちの実態を考え、根拠を考え、そのうえでICTを使うことがベストであると判断する、この積み重ねが大切になってくるのです。

今回はICTについて書きましたが、外国語でもプログラミングでも同じだと考えます。「神は細部に宿る」自分の強みをいかしながら、細かい部分を大切にしていきましょう。

笹原 信二(ささはら しんじ)

熊本市立龍田小学校 教諭
37年の教師人生を終えたが、もう少し学びたく再任用の道を選択。過去の経験を生かしつつ、新しいことにもチャレンジしていきたい。

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