2020.05.27
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オンライン支援をやってみての雑感

臨時休業中、全国各地でオンラインによる支援が注目されています。程度の差こそあれ、何らかの支援を検討したり、始めたりした学校も多いと思います。勤務校は地方の公立高校で、ICT機器やWi-Fi環境に恵まれているとは言い難い面もあるのですが、そんな中で現状できることを考えて取り組んでいます。有償の教育系サービスは未加入、新たなアカウント取得は困難、登校できる日はごく限られているなど、さまざまな制約がある中で模索してきました。最先端のオンライン支援の紹介ということでなく、限られた条件下でできることをやってみたという事例ですので、そこはご理解ください。

前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭  山形県立米沢東高等学校 教諭 高橋 英路

Googleフォームの活用

休業中は生徒たちの家庭学習の様子や生活リズムなども気になるところです。例年、長期休業中には「生活の記録」のような用紙に記録してもらってはいるのですが、今回はそれを提出してもらう登校日もいつになるか分からない状況でした。また、誰がどんな悩みを抱えているのかを把握することも難しく、生徒たちの状況把握が課題の一つだったと思います。

しばらく登校できない日が続いていたため、生徒たちに新たにアカウントを作成させたり、新たなサービスに申し込んだりするのは現実的に厳しい状況でした。そうした中で、現状ですぐにできることとして活用したのが、欠席連絡などで使われていたGoogleフォームです。新たなアカウント取得などは不要で、QRコードさえ読み取れれば入力が可能です。さまざまな質問項目を設定することができ、アンケートや小テストに活用できます。結果もエクセルシートにダウンロードできるので、全体の傾向も一目で分かります。

限られた登校日の日に、スマホでQRコードの読み取りと試験的な入力までやってもらうことで、翌日からはスムーズに入力できていました。質問項目としては、学習や生活リズム、進路学習についての振り返り(自己評価)、悩み・相談ごとに加え、日替わりの質問(「自分なりのリフレッシュ方法は?」「最近読んだ本は?」など)も入れてみました。入力結果は毎日確認し、必要に応じて電話したり、入力内容を学年通信・学級通信に掲載してメール配信するなどしていました。生徒たちの反応は良好で、「学校とつながっている感じになる」「学校がなくても登校した気持ちになれる」といった声が聞かれました。私たち教員としても、生徒たちの生活の様子や考えていることを知ることができ、顔を合わせられない中で可能なサポートを模索することにつながりました。

Zoomの活用

Googleフォームに続いて活用したのがZoomになります。こちらも生徒側で新たなアカウント取得が不要というところがポイントです。また、学校の回線を使うことになるので、サービスによってはアクセスできずブロックされてしまったり、インストールするための制約が厳しかったりするものもあり、これも現状ですぐに活用できるという点でZoomになりました。実施にあたっては、すでに取り入れている学校の先生から資料をいただいたり、試験的に教員同士でやってみたり、試行錯誤してルールなども定めた上での実現になりました。いくつかの支援をやってみた中で効果的だと感じたものを紹介します。

(1)ロールモデル・カフェ
現役大学生に「ロールモデル」として参加してもらい、大学生活や進路、勉強方法などについて話を聞いたり、質問したりする企画です。地元の地域おこし協力隊の方の協力を得て、さまざまな分野の大学生を紹介していただいて実施しました。流れとしては、前半は司会者からロールモデルへの質問形式で進め、後半はブレイクアウトルームを活用し、より興味を持ったロールモデルの部屋に行って個別に質疑応答をしました。オープンキャンパスが中止になったり、学校が再開されても外部からのゲストを呼ぶのが難しい現状ですので、非常に良い機会になったようです。

(2)ビブリオバトル
参加者が本を持ち寄って紹介し合い、投票によって1番読みたい本(チャンプ本)を決める「ビブリオバトル」(書評合戦)もオンラインでやってみました。本の紹介までやっても良いし、聞くだけ参加もOKです。参加者がみんなで一気に話し始めると聞き取りにくい場面もあるわけですが、ビブリオバトルの場合は発言する人、時間がハッキリ決まっているので、Zoomでの実施に向いていると感じました。(1)のロールモデル・カフェも同様ですが、学校ではマスク着用でなかなか見えない生徒たちの生き生きとした表情が見えたことがスゴク印象的でした。

以上の2つがZoom活用で、特に効果的だったと感じたところです。授業とはまた違った支援にはなるわけですが、このような面からの支援も重要ではないでしょうか??

再開しても活用したい

以上のように、十分に機器がそろっていなかったり、Wi-Fiの接続が円滑でなかったりする中でも、できる支援を模索してみました。勤務校では段階的に学校再開が示されており、制約がありながらも生徒たちが登校できるようになります。しかし、だからといってオンラインでの取り組みをすべてやめてしまうのは勿体ないと思います。今回のさまざまなオンラインでの支援は、生徒たちにとっても、スマホを含めたICT機器を学びのために使う機会になったわけです。この機会を逃さず、中身はアレンジしながらも引き続き活用していくことで、教員も生徒もより効果的な活用方法を考えることもできると思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

高橋 英路(たかはし ひでみち)

前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭
山形県立米沢東高等学校 教諭


クラス担任と、地歴科で専門の地理を中心に授業を担当。生徒達の「主体的・対話的で深い学び」が実現できるよう、p4c(philosophy for children)やKP(紙芝居プレゼンテーション)法などの手法も取り入れながら日々の授業に取り組んでいます。

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