2022.08.24
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あなただけの授業のレシピを創ろう

夏休みに入り、多くの場所で、様々な研修会が設定されている。毎年、兵庫県尼崎市の新任の先生方に国語科の授業づくりについての講話、ワークショップをおこなっている。今年も8月初旬に実施されました。先生方の輝くような新鮮さに私も学びを得た時間でした。

大阪大谷大学 教育学部 教授 今宮 信吾

教師になってよかったこと

私の新任時代

4月に教師になって4ヶ月が過ぎ、今振り返って思うことを訊ねてみた。「毎日同じ日がない」「時間の過ぎ方が違う。1日が早く過ぎる」「子どもたちの意外な面を知ることができる」など、新鮮な感想から研修会は始まった。「責任感が高まった」「周りの人が自分を見る目が変わった(いい意味で)」など、人間的な成長を感じる声もあった。
30年以上前の自分を思い出し、子どもたちの写真を撮りまくっていた自分がいた。最近の先生方は、私が新任であった頃と比べると非常に真摯に仕事に取り組んでいることも感じた。私はただ、子どもと一緒にいることが楽しくて、子どもたちにどんな力を育みたいとかはその次になっていた。今では笑い話だが、初めての職員会議の時、運動場で子どもたちと遊んでいて「今宮先生、職員室にお戻りください」という放送をかけていただいた。

あなただけの授業のレシピ

授業のレシピを考える

学習指導要領、教材研究など授業を単元として創っていることを話し、実際にどんな取り組みができそうなのかを交流した。「指導書は神様ではない。指導書を見ない教師を目指してほしい」「授業は子どもたちと創る芸術作品だから、自分だけの授業を創ることを目指してほしい」とも話した。
驚きと戸惑いの表情を見せてくれる先生もいたが、多くは「それでいいのか、少し気が楽になった」「でもそのためには常にアンテナを高く張っておかないといけないな」「子どもたちの実態をきちんと踏まえないと」など、私の話からその裏側も読み取ってくれた。新任の先生方は子どもたちに負けず劣らず、スポンジのような吸収力を持っていると感じた。

未来の教育と子どものために

グループで話し合う

教師を続けるためには、毎日が曇り空の中で過ごすようなもので、そこに晴れ間を探すんだという最近の私のメッセージと共に、教師という仕事の素晴らしさを語ってもらった。AIに負けない、人が人を教えるという営みは、絶対に続くという信念をsociety5.0の社会に向かっている現状も伝えながら話した。先を見通していく俯瞰的な目と自分の足元をしっかりと見つけながら、日々を充実させることの意味も伝えた。
終わってから一人の先生が「朝のモジュールでプリント学習に取り組んでいるのですが、効果的な指導の方法はないですかね」という質問だったので、「モジュール学習は、何のためにそれに取り組んでいるのかを子どもたちに意味を語って、それぞれの教科と紐づいた指導をしないと単なる修行、訓練に終わるよ」と話した。表情がパッと明るくなった。これも新任の先生方の良い部分だと思った。

教師のライフヒストリーのために

あなただけの教師人生を

「国語の授業の中ではこの夏休み期間に1学期の実態を振り返りながら準備を行おうと思いました」

「今、2学期の研究授業に向けて指導案を考えているところだったので、今日の研修を自分が授業する単元に置き換えて受けることができました。鉛筆で書くことが苦手な子どもも、タブレットを通してなら文章を作れる子が多いので、ICTの活用をもっと学びたいと思います」

「国語の授業を考えるのにすごく難しいなと感じていたので、今日のお話を聞いて、答えに正解がある教科ではないことを生かして子どもたちが楽しいなと少しでも思える授業作りを行っていきたいと思いました」

今宮 信吾(いまみや しんご)

大阪大谷大学 教育学部 教授


国公私立の小学校で教員を経験し、現在未来の教師を育てるために教員養成に携わっています。国語教育を核として、学級づくり、道徳教育など校内研究にも携わらせていただいております。ことば学びのできる教師と学校づくりを目指しております。

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