2022.07.13
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今日の授業が明日の教育を創る

もうすぐ夏休み、先生方にとっては普段の忙しさから少しだけ解放される時である。教師としての腕を磨くために、研修を受ける機会も多くなる。主体的に参加するためにはどうすればいいのか。

大阪大谷大学 教育学部 教授 今宮 信吾

研修は管理されるものなのか

文部科学省が6月27日に、2023年4月から始まる教員研修制度の枠組み案を明らかにした。教師が学び続けることの大切さはいうまでもなく、教員の資質・能力の低下を懸念した制度には一定の理解を示している。
しかし、校長が職務命令で研修を受けさせることや受講履歴のデータベース化など、現状打破を考えると致し方ない部分はあるが、教員不足を加速させないかという危惧もある。

自主的に行う研修とは何か

私は現在3つの研究会を主催している。
国語教育を主にしている「ことばと体験の会」。
学級づくりを子どもの主体性から進めていく「関西学級力向上研究会」(全国に3部会あり、早稲田大学の田中博之先生が提唱されたものである)。
そして教師としての力量を高めるための「教師力向上研究会」である。
これらはすべて休日に自主的に先生方が参加され、自らの教師としての資質・能力を高めておられる。

模擬授業で感じること

先生を目指して

国語科教育法の授業で学生に模擬授業をさせている。ここ数年感じることがある。それは音読の方法である。
10人中9割の学生が「丸読み」という方法をとる。ある時、「なぜ丸読みがいいと判断したの」と問うと、「自分達が小学生の時にしてきたから」と答える。「丸読み」とは、句点ごとで交代しながら読む方法である。この方法の良いところは、多くの児童が交代しながら読めることである。しかし、問題点もある。切れ切れに読むことになるので文脈が把握しづらいことである。
このエピソードから思うことは、「今日の授業が未来の教育を創る」ということである。何気なく取り組んでいる授業が実は未来の教育を創っているのである。

学生時代から学び続ける

学生グループ発表

先日、大阪市内の小学校の研修会に3回生のゼミ生8人を連れて参加した。
校長先生の計らいで、校長先生からの話と授業参観、事後研究会にも参加し、発言までさせていただいた。学生だから引け目を感じるのかと思いきや、授業に対しての質疑を全体に伝えてくれた。校長先生からは「現役の先生方、学生に負けないように頑張りましょう」とお褒めのことばもいただいた。
この子たちが教師として歩み始める頃に、この国の教育はどうなっているのか、現場と文部科学省だけではなく、本気で日本の教育の未来を考える時に来ている。

今宮 信吾(いまみや しんご)

大阪大谷大学 教育学部 教授


国公私立の小学校で教員を経験し、現在未来の教師を育てるために教員養成に携わっています。国語教育を核として、学級づくり、道徳教育など校内研究にも携わらせていただいております。ことば学びのできる教師と学校づくりを目指しております。

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