人生の初めてに出会う
夏休みに入りました。初めて小学校に入学した1年生の子どもたちも、少しゆっくりと過ごす時間が持てるでしょう。私が小学校教員時代、小学校1年生と過ごす時間が大好きでした。
大阪大谷大学 教育学部 教授 今宮 信吾
先生ずるいよ
小学校の担任をしていて、保護者からよく言われたことばが「先生ずるいよ」でした。それは、初めて人参が食べられた、初めて逆上がりができた、など、子どもたちの人生の「初めて」の瞬間に立ち会うことが多かったからです。
連絡帳や電話、懇談会の際に伝えると、「私より先に見られるなんてずるいな」ということばをよくもらいました。小学校教師冥利に尽きる瞬間でした。
心の洗濯屋
小学校1年生の担任をしていて「心が洗われるな」と思うことが多かったです。
学習に関しては「先生、早く漢字教えてよ。賢くなりたいんだから」。
家の出来事を話す時は、「どうしてパパとママは喧嘩をしちゃうのかな。見ている私が悲しくなるんだから」など、大人が忘れてしまっていることをよく話してくれました。
「先生が子どもの時のことを知りたいです。先生が先生に叱られているところが見たいです。そうしたら私も先生が叱っている時に怖くないです」。
そうですよね。
鉛筆の持ち方
昔から気になっていたことがあります。
それは、鉛筆の持ち方です。
最近、研究授業などで授業参観をさせてもらうことが多いのですが、ますますひどくなっています。
早期教育が原因なのか、そもそも鉛筆の持ち方に関心がないのか、原因は様々考えられますが、大学生には「鉛筆の持ち方とお箸の持ち方は教養だからしっかりと身につけるように」と話しています。
教師としてのやりがい
最近、教師をしていて良かったと思う出来事がいくつかありました。
まずは大学での授業のこと、「先生、この電話に出て」と1年生の学生が。出てみると小学校1年生から3年生まで担任していた男の子が「久しぶり」。その学生の友達だったのです。
また、教員採用試験の面接指導のこと。
文学部の学生で中学校国語科の教師を目指す学生と面接練習、どこかで見たことがある顔だなと思って名前を聞くと、聞き覚えのある名前。「君、お兄ちゃんいない?」「はい、います」。
なんと前任校でのゼミ生の弟、こんな出会いもあるのかと驚く。教員不足が伝えられていますが、教師はやめられません。
今宮 信吾(いまみや しんご)
大阪大谷大学 教育学部 教授
国公私立の小学校で教員を経験し、現在未来の教師を育てるために教員養成に携わっています。国語教育を核として、学級づくり、道徳教育など校内研究にも携わらせていただいております。ことば学びのできる教師と学校づくりを目指しております。
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