2017.07.17
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夏休みの教師の過ごし方

ようやく夏休みですね。

まずはお疲れ様でした。

学校現場は、年々課題が増えていっているように感じます。

それなりの経験年数のある人でも大変なのですから新採用の人など若い教員はもっと大変だったことでしょう。

今回は、夏休み入るこの時期に「教師にとっての夏休みとは」というテーマで書きたいと思います。

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師 鈴木 邦明

まず体と心を休める

まずは、ゆっくりと心と体を休めることをしてください。

きっとプール教室、補充学習、部活など、完全に休みにはならないかもしれませんが、授業を行っている日々と比べたら、少しのんびりできるはずです。

学校に行く時間、帰る時間、またお昼の休憩時間などもいつもとは変わるはずです。

緊張状態がずっと続いていると体の色々な部分に不具合が生じてしまいます。

意識して、脱力するような機会を作ってください。

そういったメリハリが次への活力になります。

世の中を知る

現在の学校現場は少し異常な感じがします。

私はこの3月に22年間勤めた小学校の現場を離れました。

小学校の現場から離れたことで、今まで見えていなかった世の中の色々なものが見えてきました。

学校の先生は、当たり前ですが、学校内で過ごす時間が多くなります。

また、関わる人も子どもと同僚の教師が中心になります。

仕事量も多いので、学校から出て、学校外の人と会うようなこともなく、自宅と学校を往復しているという人も多いと思います。

その学校(特に公立学校)は社会の縮図だと言われます。

色々な境遇の子どもが通ってきます。

そういった様々な境遇の子どもと関わる上で教師に必要とされるのが「世の中の事をよく知る」ことです。

もちろん、指導すべき学習内容をきちんと理解していることなども大事ではありますが、それ以前の問題として、世の中の様々なことを知っておかなければならないはずです。

そういったことが求められているのに教員はなかなか世の中を知る機会がありません。

大学を出てすぐに教員になった人(私もその一人です)も少なからずおり、世の中のことをしっかりと理解できていない場合もあります。

そういったことがきっかけで、保護者などとトラブルになることもあります。

それと、新聞を取っている(最近の若い人は取っていないかもしれませんが)のならば、少し時間を掛けて新聞を読んでみます。

世の中で起こっている様々なことが見えてきます。

新聞をとっていない人はテレビのニュースなども同様です。

少し時間的にゆとりのある夏休みには、積極的に世の中の情報を入手して欲しいと思います。

昼間にファミレスで食事をすることやスーパーで買い物をすることも良い学びがあります。

世の中ではどのように人が活動しているのかを観察することができます。

教師はこれからの時代、常識というものを強く求められます。

中長期のスパンで物事を考える

日々の生活ではどうしても目の前のこと(短期的なこと)に意識がいってしまいます。

揉めている子ども達がいたら間に入って話を聞かなければなりませんし、宿題が出ていない子どもにも個別の対応が必要です。

夏休みには、目の前に子どもがいない時間が多いです。

一人一人の子どものこともそうですし、クラスのこと、そして、自分自身のことなども中長期的に考えることができます。

こうやって少し客観的に自分自身や子ども、クラスを見つめることで成果や課題が見えてきます。

本を買う

何度も書きますが、教師の日々の生活は忙しいものです。

どうしてもじっくりと本を読む時間などを取りにくいはずです。

夏には是非とも本を読みたいです。

そうは言ってもなかなかできないことも多いです。

まずは、本を買ってしまいましょう。

本屋に行ってぶらぶらしながら、気に入った本を一冊買ってしまうのです。

そばに本があるだけで読む可能性が高くなります。

本に関しては、もっとお勧めなのが、電子書籍です。

タブレットなどで電子書籍を読めるようなセッティングをするということもおすすめです。

電子書籍は本当に便利です。

私は月に千円で読み放題のプランに加入しています。

雑誌も書籍もどんどん読むことができます。

電子書籍は買う手間を大きく省くことができるので、忙しい人に特にお勧めです。

本に関してもう一つお勧めなのが、教員採用試験で利用した参考書などを見ることです。

教育原理、教育心理、教育史などのテキストです。

試験勉強をしていた時とは違った発見があるはずです。

現場で日々子ども達と関わっている今だからこそそういったテキストが有効に働きます。

自分が受け持っている子どもや苦労している内容などに参考になることがいくつも書かれているはずです。

実践の無い学生の時には理解できなかったことが、現場に出て苦労をしたからこそ理解できるようになっているのです。

そして、大きなヒントを与えてくれるはずです

異業種の人と関わる

先程書いた「社会を知る」に似ていますが、教員以外の人との付き合いを是非お勧めします。

学校の常識が、世の中の常識とは違っていることもあります。

どうしても教師は学校で過ごす時間が多くなり、時に感覚がずれてしまうことがあります。

昔からの友人でも構いませんし、住んでいる地域の知り合いでも構わないと思います。

お子さんがいる方は子どもつながりの知り合いでも良いと思います。

教員以外の人と積極的に関わることが望ましいです。

そういった中での発見などが日々の教育活動へ良い影響を与えるはずです。

やらされているのではなく自らやる

私は小学校の学級担任をしている時、子ども達に「やらされている勉強と自らやっている勉強では10倍の差がある」と伝えていました。

教師も同様だと思います。

「行かされる」研修と比べると「自分の意志で行く」研修は10倍価値があります。

自分の時間を使って、お金を使って、研修に参加をするのです。

豊富な学びがあります。

新しい発見もあります。

新しい出会いもあります。

そういった刺激が次への活力へとつながっていきます。

学べば学ぶ程、自分の至らなさに気づきます。

更に学ぶ必要を感じるようになります。

教師は、学び続ける人であることが大事なのだと思います。

終わりに

夏休みを如何に過ごすかで夏休み明けのパフォーマンスに大きな違いが出てきます。

仕事のことばかりを考えるのが良いことではありません。

メリハリが大事です。

ゆっくりと休む時は休み、研修をする時は研修する。

質の良い「休み」、質の良い「学び」が大事なのだと思います。

充実した夏休みとなることを願っています。

これまで夏休みや教員の力量育成について書いた文章がいくつかあります。

時間に余裕のある時にお読みください。

また、私の研究用のHPがあります。

これまで作ってきたパワーポイントのデータなどもあります。

インプットの質が教師の力量育成に与える影響

子どもが幸せな人生を送るために ~教師が長期的な視点を持つために具体的にすべきこと~

子どもの行動変容を促す方法 ~厳しい指導でなく、子どもが納得できる説明を~

教師にとっても学び多き夏休みになるために

学習の積み重ねの大切さ ~学習の石垣理論~

学力上位層の子どもの可能性を伸ばすためにできること

教室で笑っていますか?

鈴木 邦明(すずき くにあき)

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。

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