2015.07.23
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教師にとっても学び多き夏休みになるために

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師 鈴木 邦明

そろそろ夏休みですね。

お疲れ様でした。

年々、学校を取り巻く環境は厳しいものになってきているように感じます。

忙しく、厳しい環境の中で、「何とか夏休みまで辿り着いた」という人もいるかもしれません。

心から「お疲れ様でした」と言いたいです。

 

夏休みが始まってもしばらくは、補充の学習指導があったり、水泳教室があったりする学校もあるかと思います。

しかし、通常の勤務日よりは少し楽な気持ちで過ごせるのではないかと思います。

しばしの休息ですが、のんびりできるところではのんびりとしてください。

 

今回は、夏休みに教師がスキルアップを図るためにすると良い事を書きたいと思います。

勿論、各種の研修会などに参加することは素晴らしいことです。

若い先生が欲しいと思えるような情報がたくさん提供されるはずです。

可能な限り積極的に参加をすることをお勧めします。

 

私が今回、話題にしたいのは少し違った視点でのスキルアップです。

それは、「好きなことをどんどんやろう!」というものです。

今の学校現場はやることが多く、忙しいという気持ちを常に抱かされます。

私が働き始めた頃(20年前)は、今よりも少し時間的にも精神的にもゆとりがあったように思います。

私はそういった状況の中で、自分がやりたいと思うことをかなりすることができました。

20代の前半では世界中の様々な所へ出掛けていきました。

「サハラ砂漠をラクダに乗ってツアーをする、ネス湖へネッシーを見に行く、東南アジア・オセアニアの戦争遺跡を巡る、NASAのロケット発射場に行く、インドのカレーが美味しいか確かめに行く、エベレストを見る、コンコルドを見る、アウトバーンを車で運転するなど。」

本当にやりたいと思うことをやっていました。

 

「まあ、何とかなる」

「色々な人(子ども)がいる」

「自分の意志でやったことからは学びが多い」

様々な旅の中で感じたことです。

 

旅の中で様々な困難の状況に遭遇したことがあります。

盗難にあったこともありますし、病気になって動けなくなったこともあります。

列車で寝過ごして、車庫まで運ばれてしまったこともあります。

入国管理チェックで怪しまれ、別室に連れて行かれ、徹底的に調べられたこともあります。

サハラ砂漠では、英語が少し話せる日本人(私です)とフランス語と現地の言葉しか話せないガイドと二人で一泊二日のラクダのツアーを体験しました。

言葉が通じなくとも、必要となれば、何とかコミュニケーションを取ることができました。

どんな困難な場合も、何とかなりました。

 

こういったことが、今の私の教育観にも大きく影響を与えています。

学校で何か少しトラブルが起こった際、子どもも大人(教師)もオロオロ、ばたばたしてしまうことがあります。

慌てることで、状況判断を間違え、状況が更に悪くなってしまうことがあります。

「まあ、何とかなるだろう」と少し冷静に状況を見ていると解決の糸口が見えてくることがあります。

困難な状況であればある程、冷静になる必要があるのだと思います。

そういったことを自分自身の基本的な考え方のようなものにしていますし、子ども達にも日々そういったことを伝えています。

それなので、クラスの中のトラブルで大泣きするような子どもがいた場合、私にきつく「泣いても、何も解決にならない!」と言われてしまいます。

まさに「泣きっ面にハチ」と言った感じです。

大泣きしてしまった子どもは、「自分は可哀そう」というモードが全開になり、周りを見ることができなくなります。

それでは解決できる問題も解決できなくなってしまいます。

 

私が旅から学んだようなことを是非とも夏休みに多くの先生に感じて欲しいと思います。

「旅をするとよい」ということではありません。

「自分が好きなことを積極的にしてみる」ということです。

子どもの学びではないですが、教師が自ら意欲的に積極的に取り組んだ場合、得るものがたくさんあることが多いです。

「やらされる」研修ではなく、自分が「やりたい」と思うことにどんどん取り組むのです。

音楽が好きな人は音楽に取り組み、山登りが好きな人は山に登り、料理が好きな人は料理に取り組む。

学校の先生、特に小学校の先生の場合、そういったことが、日々の学級経営に大きく影響を与える可能性があります。

 

自分が好きなことをするのは「楽しい」と感じることが多いです。

 

一回り成長した姿で夏休み明けに子ども達に会えるようになるといいですね。

先生達にとって「楽しく」そして「学び多き」夏休みになることを願っています。

鈴木 邦明(すずき くにあき)

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。

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