2025.10.15
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明日からできる登校支援~小1の登校しぶりにどう向き合う?~(その1)

児童と教師のつながりを育むには、どんな工夫ができるのでしょうか。

大阪府泉大津市立条南小学校 大橋 健太郎

はじめに〜時代と共に〜

先日、授業後のことです。同僚と次のような話をしました。

「自分が小学生の時、学校に行かないという選択肢はなかった。頑張って行きなさいと言われて、行かされた記憶があるんですよね」

確かにそうだなと思いました。私が小学生の時も、「学校は休まず行くもの」という認識が強かったです。休むとなると、体調不良や家庭の都合です。しかも、体調不良は高熱でないと休むことができなかったです。
しかし、現在の子どもたちはどうでしょうか。児童の思いを尊重することもあり、「何が何でも行く」ということではありません。児童が学校へ行くかどうかを選択できる時代だからこそ、私はキーワードとして「つながり」を挙げます。では、どうしてつながりが必要なのでしょうか。

どうして、つながりが必要か

今年度、1年生の担任をしています。私の1年生像は、元気よく登校し、外で遊ぶ。何事にも目を輝かせ、取り組む。そんな姿を想像していました。
しかし、現実は違いました。幼稚園の友だちと離れて学校へ来ることが不安になる児童もいれば、保護者と離れることが心細くて泣き出す児童もいます。また、自分の思いを受け止めてくれるか不安を抱えて登校する児童もいました。
子どもたちは学校でどんなことをするかの以前に、そもそも行くことへ不安や登校した時に受け止めてくれる存在がいないことへの不安を募らせる児童もいるということを改めて感じました。私はその児童の不安を少しでも減らすために、まず、担任とどうつながるかが必要だろうと考えたわけです。

登校支援〜朝の出迎え方を変える〜

これまでの私は教室で出迎えることが基本的なスタンスでした。最初に登校する児童が教室へ来る頃には私も教室へ行き、教室で待っていたものです。しかし、1年生はそもそも教室へ来ることも課題の児童もいます。
そこで私が取り組んだことは、待つ場所を下駄箱へ変えたことです。では、なぜ下駄箱で待つことにしたのか。それは、児童と保護者が離れる場所が本校では下駄箱だからです。本校の校舎の構造上、正門と下駄箱が目と鼻の先です。それくらい近いため、離れることが不安な児童は、この場所が一つ鬼門となります。

保護者の方が学校の正門や下駄箱まで送ってくれます。その後は私が引き取り、一緒に教室へいく。教室へ行くときは、楽しくお話をするときもあれば、黙って一緒に行くだけのときもあります。一緒に付き添うだけでも児童は安心するものです。

ちょいポイント①〜離れられないときはどうするか?〜

「朝の出迎える場所を変えたら、全てが解決する!」

実際はそんなにうまくいかないこともあります。よくあることは保護者から児童が離れられないケースです。読者の皆様ならどうされますか。

保護者は困ることが想定されるため、無理やり引き離しますか。それとも、タイミングを見て、離しますか。

結論から言うと、私は児童の力の入り具合で決めるようにしています。力が入っているときに無理やり離さないのは、明日以降に学校へ来なくなることも想定されるからです。では、待つときに何に気をつけるのでしょうか。それは、児童と保護者の様子を見ておくことです。
私は低学年の担任のため、手をつなごうとしているかどうか、表情はどうか、保護者の受け答えはどうか、この3つを見るようにしています。この3つを観察しながら、児童の興味・関心を探ったり、児童と保護者の関係を把握する材料にします。そして、タイミングを見計らい、児童と一緒に教室へ行くようにしています。

ちょいポイント②〜言葉かけがあるかないか〜

ここでのポイントは児童と保護者への言葉かけです。児童には「頑張って来たね」「昨日より〇〇分早く来たね」「今日は離れるのが早いね」と昨日の児童の変化を見ることです。ポイントは、「変化したこと+賞賛の言葉」です。変化は小さなものでも構わないです。その児童を見た教師だから言える言葉というものがあるはずです。

次に保護者です。「教師は学校で児童を教育し、保護者が家庭教育をする」というスタンスが多くの教師がもたれる考え方であると思います。そうであれば、登校までは保護者の役割になります。そんな保護者に一言声をかけているでしょうか。

「今日もありがとうございます」
「毎日ありがとうございます」
「昨日よりくることが早くなりましたね。何か工夫されましたか」

などです。
毎日の保護者の動きを直接見ているからこそ言える言葉もあるはずです。言葉かけは、教師への信頼関係の形成はもちろんのことながら、両者を支える宝箱のようなものではないでしょうか。

最後に

私が今回、書いたのは登校支援です。そして、教師との関係を築く「縦のつながり」について書かせていただきます。それでは、児童と児童のつながりを作る「横のつながり」をどう作るでしょうか。こちらは次回、記載させていただきたいと考えています。

ここまで、お読みいただき、ありがとうございました。

大橋 健太郎(おおはし けんたろう)

大阪府泉大津市立条南小学校、kyoso's サークル所属、国語教育 大阪探究の会所属


「こどもの思考が生きる」授業を目指して、日々子どもたちと共に学んでいます。
子どもたちが教えてくれたこと、子どもの姿から学んだことを読書の皆様と共有していければと考えています。

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