2013.06.17
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教室で笑っていますか?

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師 鈴木 邦明

梅雨の時期になってきました。

外で遊ぶことのできない子ども達が教室で元気に飛び回って、怪我などをしやすい時期です。

注意したいものです。

 

さて、今回は「教師の笑顔」についてです。

ところで、皆さんは、教室でよく笑っていますか?

私は、教室に笑いのあるクラスは良いクラスなのだと考えています。

教師の笑いも、子どもの笑いも、どちらも良い物です。

 

そんな時に、気を付けたいのが、教師の「体調」です。

寝不足の時は要注意です。

寝不足の時は、普段ならば、気にならないことも気になってしまい、ついカッとなりやすいものです。

私は、仕事が立て込んで、寝不足の状態で学校に行かなければならない時には、「睡眠不足だから叱っては、ダメだ。」と心の中で何度も言いながら一日を過ごしています。

教師のせい(寝不足)で、子どもが叱られてしまっては、何だか理不尽です。

鋭い子どもは、そういった部分も見ています。

 

最新の脳科学について調べてみたところ、睡眠不足の状態は、脳内の扁桃体の影響で、ネガティブな刺激に対して反応しやすいのだそうです。

だからついカッとなってしまうのです。

睡眠不足が続くと、不安障害やうつ病のリスクも高まるとのことでした。

こうやって科学的な説明を知ると、少しだけカッとなるのを押さえることができます。

 

ところで、クラスのあり方は色々とあるのですが、教師の厳しい指導でクラスがそれなりにまとまっているというクラスがあります。

クラスの子どもがきびきびと動いていたとしても、厳しい指導によってそれが作られているのだとしたら、それは少し違っているのではないかと私は思います。

大声で怒鳴ったり、少し脅すようなことを言えば、小さい子ども程、それに従います。

そういった手法でクラスをまとめていても、結局、効果は一時的です。

その怖い先生がいる時は、きちんとできるのですが、その先生がいない状況になると途端に乱れてしまいます。

また、次の年に持った先生が非常に苦労します。

強い刺激でしか動くことができなくなった子どもは、正論を言う穏やかな教師の言うことをなかなか聞けないようになってしまいます。

 

「大声で叱ること」などは、「笑い」の対極にあるものだと思います。

教育は、長期戦です。

その時だけ、問題なく過ごすことが目的ではありません。

3年、5年、10年、30年、50年後を意識して、教師は、何がその子どものためになるのかを考え、関わっていくことが教育です。

「生きていく上で必要なことは何なのか」ということを教師が日々しっかりと考える必要があります。

それは、教師が大声を出して子どもを叱り、一時的にその場を整えることの数倍も大事なことだと思います。

私は、教師と子どもが穏やかな関わりの中で、何が大事なのかを話し合いながら日々考えていくことがとても大事だと思っています。

子どもが正しくないことをしたら、なぜその行為が正しくないのかをきちんと説明し、理解、納得させます。

ただ叱るだけでは、子どもは刺激に対して反応しているだけで、本質を理解した上で行動を変容させているのではないからです。

 

「笑う門には福来る」です。                                                                                               

 

笑いは人をリラックスさせます。

リラックスした状況で、何がよいのかを皆で必死に考えていきたいものです。

色々と議論しながら、作り上げていきます。

そういった過程が子ども達を、そして教師を育てていきます。

 

皆さんにとって毎日が福多きものとなることを願っています。 

鈴木 邦明(すずき くにあき)

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。

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