2022.04.07
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震災を知らない世代に向けた授業の実践(10) 「3.11の新聞記事を読む」~震災授業のまとめ~(さいたま市立海老沼小学校 教諭 菊池健一さん)

東日本大震災を取り上げた授業を、さいたま市立植竹小学校 教諭 菊池健一さんが連載形式で紹介します。最終回となる第10回では、3月11日に掲載される東日本大震災関連の新聞記事を読んで、感想を話し合いました。

3.11を迎え……

震災関連の記事を見つける児童

今年度の震災を取り上げた取り組みが終わりに近づきました。本実践のメインの活動である「大地震が起きたときにどのように身を守るか」というテーマで意見文を書くことも無事に終わりました。子どもたちはこれからさらに震災について学びたいという気持ちをもったようでした。毎年、震災を取り上げた授業の最後には、3月11日の新聞を読み、感想を述べ合う活動を行っています。今年度も、児童と3月11日の新聞記事を読むことにしました。

子どもたちはこれまでの学習で震災について詳しく学びました。被災地の語り部の方から話を聞いたり、新聞記事を読んで被災地のことを学んだりしました。また、家族や担任から東日本大震災当時の経験を聞くことで、震災を自分事として学習できるようになりました。そして、防災の必要性を感じ、地震が起こった際の身の守り方について調べ、意見文としてまとめました。

これまでの活動を通して、子どもたちの意識が大変高まっているので、子どもたちは家族とも震災について話をするようになっていました。

「先生、昨日は震災のことをテレビで取り上げていたので家族と観たよ」
「うちにも大地震の時のために、食料が蓄えられていたよ」
「家族とどこに避難するかを話してみたよ」
など、報告をしてくれる子も多くいました。

今回の学習では、子どもたちが震災や防災を自分事として感じられるようにする工夫をしてきました。被災地とつながる体験も行ってきました。そこで、学習の締めくくりに、子どもたちと3月11日に掲載される東日本大震災関連の新聞記事を読むことにしました。

3.11の新聞記事をスクラップする

スクラップをする児童

3月11日は東日本大震災関連の記事を新聞社各紙が掲載します。特に被災地の様子を取り上げた写真がたくさん掲載されます。子どもたちはまだ、新聞記事を読むことが難しいので、自分の印象に残った新聞写真を選んでスクラップすることにしました。

新聞は学区にある新聞販売店に協力いただき、子どもたち全員に複数紙を配布することができました。新聞を配ると子どもたちは夢中で新聞をめくり、震災関連の写真を探し始めました。

「先生、砂浜にお花を供えている人がうつっているよ。もしかしたら、ここは家族か誰かが津波にさらわれたところかもしれないね」
「先生、亡くなった孫のランドセルをなでているおじいさんの写真があるよ。とっても大きな写真になっているね」
「原発の写真も大きく載っているよ。まだまだ東日本大震災の被害は終わってはいないんだね」
「壊れた建物の前で手を合わせている人がたくさんうつった写真があるよ。きっとここで大切な人が亡くなったんだね」
など、感想を述べ合いながら新聞写真を選んでいました。
見つけた写真の中から自分の印象に残った写真を切り抜き、シートに貼りました。そして、その写真を選んだ理由と写真をみた感想を書き、友達同士で発表できました。どの子の発表も、自分なりにしっかりと震災と向き合ってきたことが感じられる内容でした。大変すばらしい学習になったと思います。子どもたちにはこれからも震災について考え続けてほしいと思っています。これから、社会科等の学習で防災を取り扱う単元もあります。また、自治体の防災の取り組みを学習する機会もあります。その際に、常に今回の学習を頭において学んでもらえたらと考えています。

これからにむけて……

福島第一原発から5kmの双葉町の防潮堤で

私自身11年間続けてきた震災を取り上げた授業が今年度も終わりました。授業を無事に終えることができてほっとしています。今回の授業づくりにもたくさんの方に協力いただきました。毎年、様々な方に教室に登場いただいています。私も今年度の取り組みをする中で貴重な出会いがいくつもありました。実践にかかわっていただいた方々に感謝の気持ちでいっぱいです。

今年度の実践は終了しましたが、私は新たな取り組みに向けて動き出したいと考えています。これからの1年は、福島県の原発の問題がクローズアップされることが多くなると思います。そこで、この春休みは再び福島県の双葉町・浪江町を訪ね。福島第一原発の被害を大きく受けた地域の現状を見てきたいと考えています。浪江町には、最近震災遺構として公開された請戸(うけど)小学校があるので、見学をする予定です。津波の恐ろしさを改めて実感できればと思います。また、これまであまり訪ねたことのなかった、いわきを訪ね、現地の語り部の方に当時の様子を聞いたり、現地を案内していただいたりする予定です。私自身、改めて震災について学びながら、来年度の授業についても考えてみたいと思います。震災を取り上げた実践の12年目に向けて早速始動したいと思います。来年度も震災を取り上げて授業をしたいと考えています。そして様々な方と出会えたらと考えています。これからも「震災を忘れない」のコーナーに実践紹介をしてまいりたいと思います。今回のレポートをもちまして、今年度の実践紹介を終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

文・写真:菊池健一

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