教員人生のふりかえり
この度、ご縁をいただきまして、教育つれづれ日誌を執筆することになりました。兵庫県尼崎市立小園小学校の中村隆文と申します。現在、音楽専科教員として働いています。教員として働き始めて、20年が過ぎました。
執筆することで、今までの自分のしてきた教育活動を振り返り、読んでいただく皆様に少しでもお役に立てれば幸いです。
尼崎市立小園小学校 教諭 中村 隆文
教員になるまでの道のり
初回なので、少し自己紹介。
専門は音楽です。ピアノがしたくて、音大などの専門大学の受験を考えました。しかし思い立ったのが遅く、専門でやっていくのはまわりからは無理と言われ、専門分野では受験難易度が比較的やさしい教員養成系大学(音楽教育)を受験し、一浪して入学しました。その頃は教員にはまったくなる気がなく、ピアノや音楽に関わる仕事をしたい考えで大学時代を過ごしました。大学卒業は小学校の教員免許取得が条件なので、教育実習は必須でした。3回生で実習に行かせていただくと考えが少しずつ変わり、教員になることも頭をよぎるようになりました。思い立ったのがその年の終わりごろ、大学受験と同じく、思い立ったのが遅いのか、教員採用試験も対策ができておらず、1次試験で敗退。大学院に進むことになりました。院修了後も採用試験には通らず、臨時採用の教員として働き始めました。
なぜ教員になりたいのか…というところを明確にしていないまま、20代を過ごしました。仕事に没頭してしまい、いつの間にか30過ぎ。今勤めている自治体の教員採用試験を受験しました。はじめは惨敗。当時の校長先生に「1次は筆記やで!」と言われ、翌年は1次を突破。採用試験最後の年、「これが最後」という思いで臨みましたが、最終面接は何を言ったか覚えていないくらい、自分の中でボロボロでした。唯一覚えているのが、最後扉を出るとき、「ありがとうございました」と深々と頭を下げ、頭がなかなかあがりませんでした。感覚として10数秒。今思えば、最後のあがきだったのでしょう。合格発表日、職員室で合格者番号一覧を見ると、やはり自分の番号がない。どん底に落とされました。その時、周りの先生から「補欠欄は?」と言われ、見てみると何と番号があったのです。補欠者は私含めたったの5名。無事名簿登載され、ようやく新しいスタートが切れました。
なぜ教員を…続けているのか
いきなりですが、「教員は自分に合っているのか」と頭をよぎったことは皆さんありませんでしょうか。授業やその他、指導がうまくいかなかったとき、行事等で上手に仕事の段取りができなかったときなどさまざまだと思います。特に中学校に1年間勤めたときは、授業妨害に加えて、対教師暴力、経験のない部活動の指導などが一度に舞い込み、これは自分に合わないのではと自問自答したときもありました。年数が経つにつれ、自分なりのスタイルもでき、仕事に対してある程度自信もついてきて、徐々に「教員は自分に合っているのか」という疑問も消えていきました。
なぜ20年も続けていけているのか考えたところ、自分の強み(音楽とICT)を思う存分発揮できていることが理由の1つではないかと思い始めました。
教員になりたての頃、先輩教員に言われたことがあります。それは「小学校の先生は何でもできる。でも、裏を返せば何もできない」。はじめはどういうことか分かりませんでした。小学校教員はどの教科もまんべんなく指導をしますので、深入りをしなくても仕事はしていけます。ただそれでは、強みというものがない。だからこそ、学校ではこの教科、これについては右に出るものはいないというつもりでしないと、オリジナリティーというものが発揮されないと教えられました。例えば小学校には国語の免許や理科の免許はありません。だからこそ、自分の強みを発揮するためには、何かこれというものを持っておく必要があります。何でもいいと思います。それがこの仕事を続けていく秘訣だと思います。みなさんは何が強みでしょうか。
中村 隆文(なかむら たかふみ)
尼崎市立小園小学校 教諭
教員として走り続けている一教員です。
失速しないよう、適度に調整しながらがんばっています。
数年前までは学級担任をしてきましたが、現在は音楽専科をしつつ、ICT推進主任をしています。
「最小限の労力で、最大限の効果を」をモットーに仕事に励んでいます。
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