2024.09.30
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「個別?協働的?何をさせたらいいの?」これらの謎を解明する「ベストセレクション」〜実践・完結編〜(4)

今回も「個別最適な学び」を取り入れた授業実践を紹介します。
続きをどうぞ。

沖縄県那覇市立さつき小学校 教諭 石川 雄介

まず

これまで3回にわたって「個別最適な学び・協働的な学び」に関するお話をしてきました。今回で完結編となります。前回の「個別?協働的?何をさせたらいいの?」これらの謎を解明する「ベストセレクション」〜実践編〜(3)の続きを展開します。

「起」では、授業を行う上での心構えを。
「承」では、授業の展開を。
「転、転、転…」では、子ども達の変わりゆく学びの流れを。
今回の「結」では、授業終盤についてお話します。

最近、私はまとめの文章を書かないようにしています。これも個別最適を目指した取り組みです。まず、本時の授業をキーワード化させていくつか板書します。そして、そのキーワードを活用してまとめ文を一人一人に作成させています。そのため全員が異なる文章を書きますが、ニュアンスの似た文章がたくさん出来上がります。いろいろな言い回し方から学び、自分の文章を再構築させていきます。まとめのキーワードをしっかり押さえているため、めあてとかけ離れたまとめ文を作成することはありませんでした。また、書き終えた人はPadletに投稿して、全員で共有できるようにもしています。子どもたちは自分のまとめ文に足りなかった言葉や良い文章などを自分のノートに書き足します。ここで最後の協働的な学びが生まれます。

このような学習の流れを取り入れてから板書が以前より半分以上少なくなりました。私が黒板を使うタイミングは、子どもが黒板に板書した解答法に大切なことを付け加えたり、ポイントを見つけたりする程度だけです。黒板に書かれていない他の解答法はPadletを活用して全体共有しています。練習問題もMQ(自作の問題)の写真をPadletに投稿してもらい、全体で共有しています。
板書が少なくて寂しい気持ちもありますが、教師の板書する時間が減ることで自力解決の時間や子どもへのサポートを行う時間を多く持つことができました。また、文字数が少なく見えやすく、本時の学びが分かりやすくなった気がします。しかし、板書の良さもたくさんあるため、授業の内容によって板書の量を変化させていく必要があります。

+−

「個別最適な学び・協働的な学び」を私なりに追求した授業を展開してきました。やはり何かを行うということは、良さ(プラス)も生まれますが、同時に不安感(マイナス)も生まれます。
まず良さとしては「子どもが主体的に学ぶ姿」がよく見られることです。これまでの教師主体のインプット型の授業では、「今日の問題が分からなくて黙っていても、時間が経てば先生が全体に教えてくれる」という気持ちが働くため、自分から学ぼうとしない子もいました。しかし、本研究では「問題と向き合い、様々な手段で自分で解決しよう」という気持ちを子ども達に大きく持たせることができたと感じます。学ぶ意欲の乏しい子どもも主体的に学ぼうとしていました。

不安としては「苦手意識のある子ども達が理解できているのかを授業内に把握しづらい」という点です。Padlet等を活用して友達の考えを参考に解決していきますが、どの程度理解をして自分の考えとしてノートを書いているのかに不安を感じました。そのため、授業終末に練習問題を行い、授業後にノートを回収して一人一人の学力の把握に努めています。

これまでのように、見通しを持たせて学びの方向性を決めるなど、教師が黒板の前に立って説明する時間が極端に減ったため不安感を感じました。「子どもの学びを信じて待つ・任せる」という姿勢が今の教師には求められていると思いました。それと同時に、「授業内における教師の立ち位置」について考え方を改めないといけないとも思いました。
今後は、子ども達自身で単元計画を計画し、自分の学びを自己調整しながら授業を行える展開を研究していきたいと思っています。

最後にまとめ的なことを。

今回「個別最適な学び・協働的な学び」を目指すためにベストセレクションを作成しました。それによって子ども達は主体的に学び、自然に周りと学び始めるようになってきました。まだ研究段階のため、更なる発展を目指していきたいと思います。
最後にこれらの活動をさせるときに大切なことを2点お伝えします。
子ども達に学びを選択させる場面では、自分が好きだから、楽できそうだから選択するわけではなく、自分のベストな力を引き出せそうな学び方を選択させることが大切です。
また、同じ方法ばかり選択したら学び方が固執化してしまうので、様々な学び方に触れさせることが大切です。

今回は算数科での実践でしたが、同様に他教科でもベストセレクションを活用した授業展開を行っています。例えば、国語科では新聞づくりやポップづくりの活動時などに。社会科では資料の読み取りの時などに活用しています。
今回紹介したベストセレクションは私なりの学びの流れになっています。もしよければ、あなたなりのベストセレクションを作成して実践してみてください。

本テーマは以上で終了になります。ご一読ありがとうございました。読者の皆様が個別最適で協働的なお仕事ができますように。

何卒。

石川 雄介(いしかわ ゆうすけ)

沖縄県那覇市立さつき小学校 教諭


沖縄県の小学校教員として10年以上、子どもも担任も楽しむ学級づくりや授業づくりを研究しています。
私のモットーは「合いのある学級づくり」で、特に『思い合い、支え合い、学び合い』に重きを置いています。
また、授業や生活の中で他者尊重の心を育む仕掛けや子どもの興味を惹くアイディアを考えるのが大好きです。
効果的な掲示物の作成や子どもも担任も楽しめるアイディアなど、多種多様な教育場面について伝えていきたいと思います。

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