「慣れ」から生まれるもの
オリックスファンとしては悲しいニュースが起きてしまいました。
そのニュースで目にしたある言葉についてまとめたいと思います。
兵庫県西宮市立甲陽園小学校 教諭 羽渕 弘毅
「慣れ」から生まれるもの
オリックスファンとしては、10月7日(月)は衝撃的な朝を迎えました。
あるニュースが掲載されていました。
“オリックスの中嶋監督が退任“
野球コラムではないので、詳細は省きますが退任の理由は「慣れ」でした。
教育現場においても「慣れ」は子どもでも、指導者である大人でも生じます。
今回はそんな「慣れ」から生じるものについてまとめたいと思います。
「慣れ」のメリット
学校においては、「慣れ」のメリットはたくさんあると思います。
「慣れ」という安心感のおかげで、学校生活を送ることができます。
自分とは違う他者にも「慣れ」てくるおかげで、一緒に生活することができ、子どもたちの社会性を育むのだろうと感じています。
授業での「慣れ」
私の外国語科の授業でも「慣れ」がたくさん生じています。
・外国語を担当している教員が同じであるという関係の「慣れ」
・6年間過ごしてきた仲間との「慣れ」
・授業スタイルが「方法同じ、内容変える」という「慣れ」
・授業の雰囲気が「間違っても大丈夫」という「慣れ」(安心感)
学校で学ぶことへの「慣れ」のおかげで、仲間ととともに学校でしかできない学びをすることができることを意図して授業をデザインしています。
「慣れ」のデメリット?
そんな「慣れ」にもデメリットはあるのです。
「慣れ」は突然やってくる!?
ある学級の様子をのぞいてみましょう。
10月になり、新しい学年(学級)がスタートして半年が経ちました。
黄金の○日間の中で、4月は子どもたちが目を輝かせて教員の話を聞いています。
指示がしっかり通って、「いいね!」、「素晴らしい!」という言葉が教室のいたるところで響いていました。
さて、今はどうでしょう?
教員の言葉は4月より響いてなさそうです。なぜでしょうか?
これが「慣れ」かもしれません。
4月から大切にしてきた一人一人に「寄り添う」ことで安心感が生まれます。
安心感という中で過ごせていますが、「慣れ」がどこか邪魔をしているような気がします。
「慣れ」は新年度でも
4月当初にも「慣れ」は出てくる。何度も経験してきました。大きく2つのパターンがあると思います。
①持ち上がりの「慣れ」
②同じ学年の「慣れ」
①は同じ子どもたちを目の前にして、ある程度の「阿吽の呼吸」が4月当初から存在します。
もちろん子どもたちとの関係性から生まれるものであり、悪いものではありません。
指導者から見ると、スムーズなスタートができるように感じますがある程度の時間が経つと悪い「慣れ」が生じます。
②の同じ学年の「慣れ」というのは、私のような高学年ばかりを担当する教員が経験することが多いのではないのでしょうか。
同じ学年ばかりを担当していると1年間の流れがよくわかり、「この時期にこんなことが必要だな」、「昨年と比べて○○だから、~してみよう」という作戦が立てやすくなります。
しかし、「慣れ」の悪い側面が出てくると…「去年の学年はできていたのに、今年は…」なんて思うこともあるかもしれません。
①、②どちらの「慣れ」も持ち上がりで担任をすることや同じ学年を担当することの良さでもあり、怖さでもあります。
しかし、間違いなく1つ言えることは「目の前にいる子どもが変われば、全て変わる」です。
私自身も何度も痛感してきたことです。教員の方が「慣れ」に甘えてしまわないようにしたいですね。
何が必要なのだろう?
では、悪い側面としての「慣れ」に対してできることはなんでしょうか?
私自身いつも自問自答していることは、「できていることを認めているかどうか」です。
子どもたちの「輝いている部分」を捉えることができているかが重要です。
どうしても、目の前の子どもたちへの「慣れ」から、子どもたちのできる姿を当然のものとして考えてしまわないように心がけています。
私自身もそうですが、教員が子どもたちに「慣れ」てしまったことで、子どもたちの良いところが見えにくくなっていないかについて気にしています。
今年度も残すところあと半年。子どもたちのいいところ、できているところを認めていきたいですね。
私も輝いている姿をたくさん見つけて、子どもたちに還していきたいです。
子どもたちと黄金の毎日を過ごしたい
黄金の3日間、1週間、1ヶ月という言葉を初任者の頃からよく伝えられていました。
初任者の頃から、黄金の○日間を過ごせた!という自信はありません。
4月は「できなかったな〜」という思いで過ごす日々の方が多いです。
そこでここから黄金の○日間を取り返そうというつもりで頑張っている期間の方が長い気がします。
黄金の毎日を過ごせるように頑張ります。
自戒の念をこめて
私も一区切りの教員生活の10年を終えました。
何年も教員をやっていると「慣れ」が生じてくるのはたしかです
職員室にも「慣れ」てしまい、色々と甘えているのも私です。(皆さん、いつもありがとうございます!)
ここからはもう一度ギアを入れ直して、どんどん新しいことへチャレンジしていきたいと思います。
追伸
個人的なメッセージ、お許しください。
中嶋前監督、お疲れ様でした。
岸田新監督、応援しています!
羽渕 弘毅(はぶち こうき)
兵庫県西宮市立甲陽園小学校 教諭
専門は英語教育学(小学校)、学習評価、ICT活用。 広島大学教育学部を卒業後、高等学校での勤務経験を経て、現職。 これまで文部科学省指定の英語教育強化地域拠点事業での公開授業や全国での実践・研究発表を行っている。 働きながらの大学院生活(関西大学大学院外国語教育学研究科修士課程)を終え、「これからの教育の在り方」を探求中。 自称、教育界きってのオリックスファン。
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