2024.09.19
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習熟度別算数指導

習熟度に差が生まれやすい算数学習。加配教員や講師を入れて、クラスを習熟度に分けて指導することが多いのではないでしょうか。
そんなときに、どういうことに気をつけて授業すればいいか、私の実践をいくつか紹介させていただきます。

東京都品川区立学校 平野 正隆

習熟度別にする理由

算数は、積み上げ型教科と言われ、既習事項の定着が不十分であれば、その先の内容の定着にも影響を及ぼしてしまいます。そのため、習熟度に差が出やすく、既習の内容に立ち返ったり、つまずき方に応じた支援をしたりする必要があります。そこで、習熟度クラス編成をして指導をすることで、個別最適な学びを実現することができます。

また、習熟度に差がありすぎると、ただの「教える」「教えられる」の関係だけになってしまいがちです。ある程度、習熟度をそろえていくことで、充実した学び合いが生まれ、協働的な学習を実現することができます。

しかし、習熟度別に指導をすすめていくうえで、難しくなってくるのが、算数を担当する教師が、習熟度に応じて統一するべきことと、実態に応じて変えていくべきことを理解しながら進めることです。

評価方法の統一

評価の仕方が担当する教師で大きく違わないように、まずは、どんな材料を用いて、各観点をどのように評価するかをまとめて可視化します(下記「※」参照)。次に、担当する教師でそれらの共通理解を図ります。最後に、子どもたちや保護者に評価の仕方を伝えます。

※可視化する内容

・評価規準:「形や大きさが同じ図形に関心をもって、合同な図形の調べ方を工夫して考えようとしている。」のように、単元で最終的に子どもにつけたい力を観点別に示す

・評価材料:「学び合いの様子」「学習内容に対する取組」「ノート」「自己評価アンケート」「他者評価アンケート」「提出物」「発言」「テスト」など、評価に使うものを観点別に示す。

・評価方法:「ABC等の段階別の評価」「数値による評価」「文章による評価」など、どのような方法・基準で評価するかを示す。また、それらを入力するファイルの入った共有フォルダがどこに入っているかを記載する。

・カッティングポイント:通知表に記載する評価を「達成率8割以上でA(よくできる)、6割以上でB(できる)

授業進度の統一

授業進度はある程度そろっていたほうが、評価テストの時期がそろったり、教材作成が分担できたり、教師側はやりやすいです。

そこでまずは、単元指導計画を出し、進め方の目安を提示します。しかし、習熟度によってつまずく部分も違うので、進度を合わせることに固執する必要はないと思っています。あまりに固執しすぎては、「個別最適な学び」や「協働的な学び」の妨げになってしまいます。単元の終わりの時期がそろうように進度を調整しながら進めていきます。

授業展開の工夫

達成すべき「本時のねらい」は同じでも、「発展的な学習」や「補充的な学習」の割合は習熟度に応じて変えます。また、授業の前半にどこまで課題の見通しをもたせてから自力解決に切り替えるか、何通りの解法を提示出させるかなども習熟度によって調整する必要があります。

授業中に扱う適用問題は、適度な難易度であり、子どもたちに無理のない量にします。教科書の問題で扱いきれなかったものについては、宿題として課題を出す方法もありますが、習熟の遅れがちな子ほど宿題が多くなる状態が続けば、意欲の低下につながりかねないので注意が必要です。私の場合は、定着が難しい内容や子どもたちの意欲が高い場合に出すようにしています。また、習熟度が進んでいる子には、量を増やしたり、難易度が高めの問題にしたりしています。こうした工夫は、個別最適な学びにつながります。

算数通信の発行

 

算数通信

子どもたちに学習進度のある程度の目安を提示したり、小テストの範囲を示したり、算数や生活に生かせる話題を伝達するため、週1回のペースで算数通信を発行しています。
評価方法についても、ここに載せて子どもたち向けに紹介しました。


こうすることで、私が担当しないクラスにも、同じように情報を与えることができます。 

まとめ

算数は、積み上げ型という教科の特性から習熟度に差が生まれやすく、個別最適な学びや協働的な学びを充実させるためには、習熟度別学習が有効です。そこでは、評価方法、授業進度を統一したり、授業展開を工夫したりします。また、子どもたちに向けて発行する算数通信は、統一感を図るひとつのツールとなっています。

この記事が、子どもたちが算数の学習の面白みを感じ、算数担当する教師が指導のやりがいを感じる一助になればいいなと思っています。

平野 正隆(ひらの まさたか)

東京都品川区立学校


研究会での実践報告や校内での若手教員育成などの経験を通して、自分の経験や実践が広く皆様のお役に立てるのではないかと考えております。大人・子どもに関わらず、「明日から頑張れそうです」「明日が来るのが楽しみです」と言ってもらえるのが私の喜びです。

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