2021.06.10
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感染症対策、理科・プログラミング教材、英語学習教材ブースから New Education Expo 2021 リポート vol.2

3日間で3,000名を超える教育関係者が来場したNew Education Expo2021 東京。vol.2ではウチダの展示ゾーンから注目の新製品(サービス)を12点紹介する。

感染症対策ブース

飛沫防止パネル4種

新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、もはや学校での感染症対策は欠かせないものとなっている。株式会社内田洋行が提供する感染症対策ブースでは、対面での指導シーンに合わせて選べる4つの飛沫防止パネルが注目を集めていた。いずれも軽量で割れにくいPET素材を採用しており、安全性が高く、扱いやすいのが特徴だ。

教卓の前に立てて使う「①スタンド型飛沫感染防止パネル」は、透明パネルの裏面に着脱式のアクティブボードを取り付ければ、ホワイトボードとしても利用できる。オンライン授業でも、黒板に比べて板書全体をカメラに収めやすいため重宝しそうだ。

大型の透明シートを湾曲させて教卓の上に設置する着脱式の「②教卓用飛沫感染防止パネル」なら、もっと手軽に導入が可能だ。こちらは一般的な80〜90㎝幅の教卓に対応している。

子ども達の机用の「③折りたたみ式透明ブース」は、透明パネルを天板に引っ掛けるだけで簡単に固定できる優れもの。畳んで重ねてコンパクトに収納できる点も、スペースの限られた教室ではありがたい。

「④柄付きマウスシールド(透明うちわ)」は、特別支援学級で言語障害のある子どもの指導を行う現場の声に応えて商品化したものだ。口元が見えるので、飛沫防止に配慮しながら発声の確認が可能な上、A4のクリアファイルに入れて衛生的に管理できる。感染防止を保証するものではないため、発言者以外はマスクを着用するなど、対策を行った上で指導に役立てていただきたい。

保健/健康

このほかに、体調不良者を待機させる第二保健室での使用を想定した製品も目を引いた。「⑤ウェーブ診察台」は、アルコールや次亜塩素酸ナトリウム液での消毒にも変質・変色しない抗菌素材を採用。丸みのあるデザインと明るい色使いは、子どもの不安を和らげる効果も期待できる。

また、マスク着用でより懸念される熱中症への対策製品として、「⑥熱中症注意喚起ボード 熱中症指標計付(インジケーター付き)」も展示されていた。温度に加えて、暑さ指数(WBGT)に基づく4段階の熱中症危険度をインジケーターで知らせてくれる。離れた場所からも一目で危険度を確認できるため、教師の指示を待たずとも、子どもたちが自ら判断して適切な安全行動をとることが可能になる。電池式のため、工事不要でどこにでも設置できるのも利点だ。校庭や冷房設備のない場所での熱中症予防に力を発揮してくれることだろう。

語学学習システム・コンテンツブース

他方で、コロナ禍は全国の小中学校に1人1台端末環境を整備するGIGAスクール構想の加速をもたらした。ハードウェアやOSの選定が一段落した自治体では、端末の活用に向けてデジタルコンテンツへの関心が高まっている。展示されていたオンライン英語学習教材「⑦ATR CALL BRIX」は、まさにそうした需要に応える製品だ。

国際電気通信基礎技術研究所(ATR)の研究成果から生まれた日本人の英語学習に特化した教材で、特に音声面の学びが充実している。30名以上のアメリカ人ネイティブによる音声を聞き取りや発音の手本とし、音素単位で発音の正しさをスコア判定することも可能だ。一斉授業では難しい発音指導も容易に行える上、学習履歴を確認して弱点の克服に役立てることもできる。全国の学校で10年以上の利用実績があり、その学習効果は高い評価を得ているという。

注目すべきは、今回登場したGIGAスクール対応の「ATR CALL BRIX for 小中学校向け自治体一括購入パッケージ」だ。上記のオンライン教材と、専門講師によるオンライン講座をセットで提供するもので、年間1人550円(税込、小学校・中学校共通)という導入しやすい価格も大きな魅力となっている。

今後、GIGAスクール対応端末は家庭への持ち帰りが推奨されていくものとみられるが、ATR CALL BRIXはマルチOS対応のため、授業はもちろん、休校時や放課後などに自宅にある端末で学習することもできる。紙のドリルに代わる新たな教材として、様々に活用できそうだ。

SCIENCEブース

小学生向けプログラミング教材

理科関連教材を展示した「UCHIDA SCIENCE」ブースで、来場者の注目を集めていたのが、プログラミングロボット「⑧toio(トイオ)」だ。スクラッチで組んだプログラムで、手のひらに乗る小型ロボットを操ることができる。プログラミング教育の例として新学習指導要領で示された小学校5年生算数・多角形の単元に対応しており、たとえば正五角形を描くプログラムをスクラッチで作成し実行すると、その通りに動く。「ロボットという実物を動かせるので、子どもの興味関心をより高められる。子どもになじみのあるスクラッチを使うので、導入のハードルも低い」と先生方にも好評だ。

もちろん他の学年や単元でも活用可能。紙のプログラミングカードを並べてロボットに読み取らせて動かす、「アンプラグド」にも対応しているので、小学校低学年向けのプログラミング入門としても最適。現在、小学校を対象に無料貸出キャンペーンを実施中なので(抽選500台。7月7日〆切。お申込みはこちらから)、興味のある方はぜひ試してみよう。

新学習指導要領に対応した理科教材が続々登場

人気のデジタル顕微鏡シリーズでは、ChromeOS対応機種「⑨D-SK5」が登場した。GIGAスクールで整備されたChromebookとUSBケーブルで接続すれば、顕微鏡で覗いた映像をPCの画面に大きく映し出せる。しかもChromebookにアプリ等をインストールする必要はなく、専用のサイトにアクセスすれば、顕微鏡映像の撮影やスケールの表示等の機能を利用できる。顕微鏡本体にモニタが搭載された機種に比べて価格も手頃になっているのもうれしいところだ。

小学校の新教科書では、「流れる水の働き」の単元で、流水の量が増えると侵食の様子がどう変わるかを比較する内容が盛り込まれたが、その新たな学びに対応したのがこの「⑩流水実験機」だ。砂を盛ったトレイを2つ並べてそれぞれの流水量を変えることで、その違いを比較観察できる。粒子の細かい砂を厳選しており、少ない水量でも違いがハッキリとわかるのもうれしい。

中学校の新教科書で追加された「⑪ダニエル電池」の実験器具も登場。2種類の溶液を入れる槽が一体化しており、間に半透膜を差し込むだけで、簡単に実験ができる。槽は透明なので反応の様子も観察しやすく、溶液も各20ml程度の少量で済むため、後始末も楽だ。展示ブースでは、発電した電気で小型扇風機を回していた。

同じく中学校の新教科書では、光の屈折や反射等の実験を行う時、水の入った水槽ではなく固体レンズを用いる例も掲載された。その改訂に対応したのがこの、アクリルレンズを用いた「⑫小型光学水槽」。固体レンズなのでレンズの位置を上下左右自在に動かせ、光の通り道もハッキリと観察できるのが特長だ。

記者の目

新しい教科書に対応した新教材が、次々とリリースされている。理科の教材は、自分で制作・準備しようとすると、とても時間と手間がかかり、先生は疲弊し、働き方改革にも逆行する。市販の教材を上手に活用し、先生の負担を減らすとともに、より効果的な学びを提供することが、今後はより一層求められるだろう。(SCIENCEブース取材担当)

関連情報

特別支援教育教材ブースの新製品情報はこちら

左上:タブレット用スイッチインターフェース、室内カーリング

左下:めもりタイマーぷらす、きもちモニター

右:カームダウンハウス

取材・文・写真:学びの場.com 編集部

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