目からウロコの「ICT×仕掛ける」学級づくり~YouTubeチャンネルを作ろう~(5)
「皆さんの学校には,YouTube公式チャンネルがありますか?」
GIGAスクール最前線で起こったトラブルや失敗と向き合う毎日、そしてほんのちょっとだけ実を結んだ記録をお伝えしています。
今回の題材は「学校YouTubeチャンネル」。子どもの世界に飛び込み,共に学ぼうと試行錯誤したICTの取り組み例です。
ICTはみんなが幸せになるためのメガネ
東京都東大和市立第八小学校 宮澤 大陸
1.子どもの興味に興味をもつ
突然ですが,皆さんは次の言葉の意味が分かりますか?
「ラグい」「レベチ」「親ガチャ」
これらは,私のクラスで去年飛び交っていた言葉です。
オンラインゲームやSNS上で流行したいわゆる「若者言葉」で,実生活でも子どもたちが使うようになったのです。
最初,耳に入ってきても言葉の意味がまったく分からず,私は子どもたちに「教えて!」とせがんで教えてもらいました。
(余談ですが,子どもから教わるときって,子どもたちは嬉々として「先生そんなことも分からないの」と自慢げに何でも教えてくれますよね笑)
言葉は,時代とともに変化します。
一部の若者のみに通用する言葉を使用することを否定的に考える方もいますが,その良し悪しはひとまず置いておき(ちなみに言語学ではそういった価値判断はしないそうです。 --参考「日本語の乱れ - Wikipedia」),
私は教師として「子どもたちが好きな世界を自分も知りたい」と常に思っています。
言い換えれば「子どもの興味に興味をもつ」ということです。
だから私は子どもたちの使う若者言葉にも興味があります。
例えば,友達と口喧嘩して「あたおか」「キモい」とつぶやいている子。
そっとその子のそばに近付き,「大丈夫かい,何があったのか話してごらん」と話を聞きながら,若者言葉の使い方についてもそれとなく諭します(頭ごなしに否定しない)。
言葉へのアンテナが伸びていた効果だと思っています。
子どもの興味に興味をもつ。
そうやって子どもの世界にアンテナを伸ばしていると,自然と多くの情報が入ってきます。
すべて子どもの成長と幸せに繋げることができるのです。
2.YouTubeチャンネルを作ろう
子どもの世界にアンテナを伸ばし,子どもの興味と私たち教員の願いの周波数を合わせてより良い教育につなげようとする取り組みの一つを紹介します。
それは「YouTubeチャンネル」です。
皆さんの学校は,公式のYouTubeチャンネルをもっていますか。
私立学校や高校などでは,開設している学校が増えてきましたが,公立学校ではまだあまり実現していないのではないでしょうか。
このYouTubeチャンネル,以下に示すように大変優れものです!
・子どもにとっても大人にとっても身近なSNS
・PCからでもスマホからでも簡単にアクセスできる
・動画のアップロードや管理が簡単
・限定公開ができる
・無料で容量も十分ある(128GB 12時間まで)
・ライブ配信が手軽にできる
私のような初級者にとっても,情報発信の手段として最適なツールです。
また,開設するのにはGoogleアカウントがあればすぐに作れるので,試しやすいのもメリットの一つです。
(参考:「YouTube チャンネルの作成 - Google Support」)
もしも校内で反対派に囲まれたときは,「文部科学省は公式YouTubeチャンネルでどんどん情報を発信していますよ」と柔らかく伝えてみましょう笑。
3.YouTubeチャンネルの活用
昨年度,コロナ禍で数多くの行事が中止され,また実施できても密を避けるため参観に来られないという事態が続きましたね。
そのとき「運動会の表現の演技を学年ごとにライブ配信しよう」という同僚のアイデアで,私の学校ではYouTubeチャンネルを開設することになりました。
リアル参観が叶わず,どうしても「子どもたちの頑張りを保護者に届けたい」「我が子の頑張りを観たい」という大人の思いから生まれた苦肉の策でしたが,思った以上の反響や感謝がありました。
その後も本校では
・移動教室の様子の動画配信
・集会の配信
・学校紹介
などでYouTubeチャンネルを活用しています。
(保護者のみにアドレスを知らせる限定公開の形を取り,一定期間の公開にしています)
また,子どもたちも,家庭で保護者と一緒に行事の様子を振り返ることができ,新しい学びにも繋がっています。
まだ私の学校では実現できていませんが,知り合いの学校では,子ども自身がYouTuberとなり学校紹介や地域紹介の動画を作成する取り組みなども行われています。子どもが発信者となることで,情報モラルについて考える必然性も生まれるので,ぜひやってみたい実践です。
4.Wi-Fiよりも大切なアンテナ
教育は不易流行といいます。
「子ども=次の時代の担い手」と捉えると,言葉と同じように「子どもの姿」も時代の変化を反映しながら待ったなしで日々変わり続けています。
時代が変わっても変わらない子どもなどいません。一人一台ICT端末が導入されてからの教育界は,とりわけ激しい変化の流れが起こっています。
私たちもその流れに乗り遅れないように,子どもたち一人ひとりにアンテナを張れるフォロワーでありたいものです。
そして,忘れてはいけないのは,時代が変わっても変わらない「不易」を見つめること。
目の前の子が何に喜び,何を悲しむのか。今どんな顔をしてどんなことを考え,どんなことに悩みつまずいているのか。
そんな子どもの芯の部分を知ろうとし,喜びや成長を共有する空間作りに向かう。
それこそ,Wi-Fiよりもはるかに大切なアンテナではないでしょうか。
宮澤 大陸(みやざわ たいりく)
東京都東大和市立第八小学校
島や国立の小学校を経験し,今は地元でICTを活用した教育と「失敗」を実践中。わくわくを仕掛け、子供たちと作り上げる学級づくりをお伝えします。
YouTubeチャンネルで子供と一緒に解いたり考えたりできる問題を配信中です。
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