2021.10.20
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目からウロコの「ICT×仕掛ける」学級づくり~ICTはみんなが幸せになるための文房具~(1)

一人一台端末を使った新しい教育を展開するべく、GIGAスクール構想が進んでいます。しかし、学校現場では、トラブルや困り感を抱えているのではないでしょうか。また、ICTに関連した悲しい出来事や、保護者からの心配の声も絶えません。
そんな最前線で起こったトラブルや失敗と向き合う毎日、そしてちょっとだけ実を結んだ記録をお伝えします。ICTはみんなが幸せになるための文房具!

東京都東大和市立第八小学校 宮澤 大陸

1.全ての教育のベースは幸せ作り

テキストマイニングの図

年度初め。
「先生は、みんなの担任になったばかりでまだクラスのことがよく分からないんだ。
クラスのよいところってなんだろう?みんなで教えて!」

子どもたちは、一人に一台配られた端末の画面に向かって、バシバシ文字を打っていきます。
言われたら元気が出る言葉や、クラスを預かる担任としても嬉しいプラスの言葉などが一人一人の画面に並びます。
その中でも、クラスの多くの子が感じているよさが、クラスの特徴を表すものになります。
そこで、全てのキーワードを集め、頻度順に表示させます。図のようになりました。

「みんなは、お互いに助け合える、思いやりをもったすてきなクラスなんだね」

子どもたちは照れくさそうに笑っています。
私の目指す「幸せな学級作り」のスタートです。

2.ICTで仕掛ける

これは、「テキストマイニング」と呼ばれる手法です。
テキストマイニングとは、膨大な量のテキストデータの中から、キーワードの出現頻度や傾向、相関関係を調べて抽出する手法です。インターネット上で簡単に行うことができます。普段はマーケティングなどに用いられるものですが、今回はテキストマイニング機能を学級作りに活用してみました。
一人ひとりの思いをすべて拾ってあげられることや、全体で見える化されること、それらにかかる作業が一瞬でできること、そして共有することで改めて「クラスのよさを反芻できる」ことなど、ICTならではの有用性がたくさんあるので、オススメです。

このように、GIGAスクール構想がすすんできたことで今までには実現が難しかった効果や発展性が期待できます。
しかし、そういった「ICTのよさ」を最初から知っている人はいません。一人一台端末が現場に入った今年、最前線にいる皆さんが試行錯誤しながら見出している真っ只中ではないでしょうか。
だから、最初から子どもの深い学びや教科の目標達成ありきでICT活用を考えようとすると、とても苦しくなってしまいます。「ICTを使わねばならない」ではなく、失敗があってもいい、まず「楽しんで試してみる」くらいの姿勢でよいのではないかと私は思います。
楽しんで試してみることを、私は「仕掛ける」と呼んでいます。

3.ICTを使うと子どもは幸せになるか?

結論から言うとなりません。
学校で配布された端末を悪用したいじめを苦にした児童が自殺するという悲しい出来事があったのは、皆さん記憶に新しいことでしょう。でも、それはICTが原因ではありません。
ICTを使って幸せな学級(学校)作りに向かえなかったことが原因です。
ICTを活用することも、授業や学校生活を通して子どもたちの学力を伸ばすことも、それ自体が目的ではなく、子どもたちの成長と幸せにつなげることが目的なのです。

「ICTはみんなが幸せになるための文房具」

ICTで誰かが不幸になってはいけないし、させてはいけない。
ICTを使うことでみんなを幸せにさせること、そのように使っていくことこそが我々に課せられた使命です。

4.STOPからGOの教育へ

子どもたちのよさ100個

テキストマイニングのやり方を知った後、子どもたちは自分でも使うようになりました。
授業以外でも、最近では音楽会のスローガン決めや、卒業に向けて心に残る行事の思い出を出し合う場面など、一人一人の意見をまとめたり活かしたりしたいときに、子どもたちはすすんでこの機能を活用しています。
子どもの「真似をする力」「別のものに活かす力」というのは本当にすごい。
まさにICT活用の推進力です。
このように、子どもが自ら「使いたい」と主体的になったときに、自由に使わせると危ないからといって安易に制限してしまうと、ICT活用はうまく進みません。
ICTを使う上で考えられるリスクマネジメントやモラル教育は必要ですが、大人の「ルールだから」「~すべき」をあまりに押し付けてしまうと、新しい発想も生まれにくくなります。子どもの主体性や発想を受け止め、共に活用の仕方を考えながら使っていくことが大切だと私は考えています。

「STOPからGOの教育を」

私の学校の先輩の口癖です。子どものように、良いものは真似をし、取り入れ、私たちもアップデートしていく姿勢を忘れたくありませんよね。

クラスのよさを教えてくれた子どもたちへのお返しとばかりに、私も4月の一ヶ月で見つけたクラスや子どもたちのよさを、100個書き出しました。
どちらも教室の後ろに掲示してあります。
なにかあったときに、初心に戻れる道しるべの一つです。

宮澤 大陸(みやざわ たいりく)

東京都東大和市立第八小学校
島や国立の小学校を経験し,今は地元でICTを活用した教育と「失敗」を実践中。わくわくを仕掛け、子供たちと作り上げる学級づくりをお伝えします。
オープンチャット「目からウロコのひらめき2分テスト」もスタートしました

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