2021.12.16
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目からウロコの「ICT×仕掛ける」学級づくり~グループSNSを作ろう~(4)

「教師と子どもが一緒にグループSNSを楽しんでいる。そんなのアリ!?」

GIGAスクール最前線で起こったトラブルや失敗と向き合う毎日、そしてほんのちょっとだけ実を結んだ記録をお伝えしています。

今回のテーマは,「子どものSNS利用の実態と私たちにできる行動」です。

ICTをみんなが幸せになるための文房具に!

東京都東大和市立第八小学校 宮澤 大陸

1.SNSが増えてSOSが増えた

「教師と子どもが一緒にグループSNSを楽しむ!?
そんなのダメに決まってるでしょう!SNSでのトラブルがどのくらいあるのか分かっているのですか」

令和元年度の文科省の調査では,SNSでの誹謗・中傷といったいわゆる「ネットいじめ」は過去最多の1万7924件でした。5年前と比べて2倍以上に達しているという結果が明らかになりました。
文部科学省「令和元年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」

また,
「オンラインゲームでチャットをしていて友達とケンカになった。だから学校でも口を利いてない」
「グループLINEから外されたのがショックで学校を休んでいる」
など学校生活でもSNSが原因でのトラブルの多さを実感し,頭を抱えている教員は少なくないでしょう。

SNSの利用が子どもたちにどんどん広がり,間違った利用の仕方もどんどん広がってしまっているのかもしれません。
全ての子どもが幸せに向かうための使い方(そのための教育)は,現状では残念ながら実現できていないと言わざるを得ません。
「SNSが増えてSOSが増えた」
そしてその責任は間違いなく,この時代を担っている我々大人にあるのです。

2.子どもたちにとってSNS利用は当たり前

クラス(小学6年生)のほとんどの子がSNSを毎日利用

子どもたちにとってより良いSNS利用やICT活用のための教育はほとんど進んでいません(コロナ禍での学びを保障するため一人一台端末の配備を急いだことなど,仕方がない原因もありますが)。
その原因の一つは「子どものSNS利用の実態を身近な大人がつかめていないこと」です。

考えてみれば当たり前ですよね。
教師や保護者など身近な大人に見守られた時間や空間の中で育ってきた今までとは違い,SNSは大人が見守る範囲を簡単に超えて24時間いつでも外の世界とつながることができるのですから。
子どもは簡単に大人の世界に行き,大人は簡単に子どもにアクセスできてしまう。
もし,そこに悪意のある誰かが来たらどうでしょう。拒否するでしょう。
では悪意を隠した善意だったらどうでしょうか。拒否できるでしょうか。

そう考えていくと,私たち教師が学校生活の中で見守っているだけで子どもたちが正しく安全にSNSを利用できるようになるとは到底思えません。
では,子どもたち自らが善悪を判断しより良く利用する力を付けるにはどうすればよいのでしょうか。

私の答えは,「だったら子どもたちと一緒のグループSNSを作ればいいじゃん」です。

3.クラスのグループSNSを作ろう

Microsoft Teamsのチャネルを子どもの練習の場に

写真は,今年私の自治体で導入された一人一台端末に入っている「Microsoft teams」の画面です。
クラス全員と担任,そして管理職が所属しているチームがあるのですが,そのチームの中に「チャネル」と呼ばれる話題ごとの掲示板を(担任が)作ることができます。

「学習のために」ICTを使うという約束がある本校ですが,私は「学習のために」敢えてここにグループSNS(チャット)ができる「雑談コーナー」を設けています。
コメントや写真を互いに投稿できたり,評価をし合ったりすることができます。
グループLINEなど他のSNSと中身はほぼ同じです。
私はこの雑談コーナーを「より良いSNS利用のベース作り」と捉えています。

子どもたちの目的はあくまで「雑談」。
ですから,今日の宿題の話から晩ご飯のおかずの話,趣味など様々な会話が書き込まれます。
「自由なテーマで書き込んでよい」からこそ,相手への言葉遣いや思いやりのある言動ができているかどうかが浮き彫りになります。

実は,開設当初は顔が見えない相手への配慮の欠けたコメントが見られたり,ちょっとした言い合いになったりすることも何度かありました。
そんなときは,当事者にそれとなく「今の会話はどうだったのかな」と自身の言動について振り返りを促してみる。
そのうち,「相手のことを考えた言葉遣いをしよう」と呼びかける子も出てくる。
まさにピンチがチャンスであり子どもにとっての学びになりました。

前提として必要なのは,担任の私を含め学級全員が会話を閲覧したり参加したりすることができるオープンな環境だということです。
(今では係ごとのコーナーがあったり,自主学習を見合ってコメントし合うコーナーがあったりと,少しずつ活用の幅が広がっています)

いかがでしょうか。
今も毎日,クラスのグループSNSを通じて,私と子どもたちが失敗しながらお互いにより良い使い方を体験的に見出しているところです。
SNSそしてICTという大人にとっても掴みきれない道具から子どもたちを遠ざけてきたのがこれまでの日本の教育でした。
でも,これからは活用の仕方を子どもたちと共に考え,共に幸せに向かっていきたいのです。

4.共に幸せに向かうために

「教師と子どもが一緒にグループSNSを楽しむ!?
そんなのダメに決まってるでしょう!SNSでのトラブルがどのくらいあるのか分かっているのですか」

はい。

だからこそ使うのです。

大切な子どもたちと一緒に,皆が幸せになる使い方を「共に使いながら」見つけていくのが大切なのです。

宮澤 大陸(みやざわ たいりく)

東京都東大和市立第八小学校
島や国立の小学校を経験し,今は地元でICTを活用した教育と「失敗」を実践中。わくわくを仕掛け、子供たちと作り上げる学級づくりをお伝えします。
オープンチャット「目からウロコのひらめき2分テスト」もスタートしました

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